CMSツール紹介
~コンテンツ管理だけに留まらない、自社の顧客体験最適化にフィットするツールはどれか?~

「イマドキのCMSの選び方」コラムでは、CMS製品がWebサイト管理ツールから顧客体験最適化ツールに変わりつつあるトレンドと選び方について解説しました。
CMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)は管理機能から顧客体験最適化するための機能にシフトするのがトレンドであり、顧客体験最適化視点でCMSを見た時に、主に、静的か動的か、オムニチャネル対応、オムニデバイス対応、クリエイティブ機能、ターゲティング機能、AI連携、セキュリティを選定ポイントとするべきとご説明しました。

今回のコラムでは、特に顧客体験最適化に力を入れている、中~大規模向けサイトでの利用を前提としたエンタープライズ向けCMSベンダーとそのツールを紹介します。
セグメントの方法は、「動的出自」と「静的出自ハイブリッド」としました。
いくつかある選定ポイントのうちこのポイントに絞ったのは、CMS導入目的で顧客体験最適化を重視した場合、やはり、もともと動的か静的のアーキテクチャーの違いが最適化レベルに影響すると考えたからです。出自の表現を使ったのは、もともと静的CMSでも、動的機能を追加し、ハイブリッドCMSとしてアピールしているツールもあるためです。
どちらにするかは、自社の顧客最適化レベルや必要とする管理機能レベルによってきますので、まずはしっかりと自社分析をすることが重要です。自社分析した上で、次からご紹介するツールの情報を参考にしていただければ幸いです。

1. 動的出自CMS

AEM(Adobe Experience Manager)

PhotoshopやIllustratorなどを提供しているアドビシステムズ社(Adobe Systems Incorporated)からリリースされているCMSツールです。
デファクトスタンダードのクリエイティブツールを持っているだけに、Illustrator連携機能やDAM(Digital Asset Management)に強みがあり、作成から管理までの業務をスムーズに行えるところが、まずは大きな特徴と言えるでしょう。
本田技研工業株式会社では、日本およびグローバル向けWebサイト上の数十万にもおよぶページを、AEMで構築・管理・運用しています。

Sitecore

デンマークに本社を置くサイトコア社(Sitecore Corporation)が提供しされているCMSツールです。
コンテンツ管理機能、アクセス解析機能だけでなく、MA(マーケティングオートメーション)機能も搭載している、マーケティング業務全体を支援できるツールです。世界3000社以上で採用されています。
CMSの基本管理機能を備えた「Experience Manager」、MAや分析を付加した「Experience Platform」、さらにECサイトの管理機能を付加した「Experience Commerce」と製品が分かれており、自社のマーケティング業務ニーズにあわせて選択できるようになっています。
このツールの最大の特徴的は.NETプラットフォームといってよいでしょう。すでに社内の情報系アプリケーションが.NETで開発されていて、連携の必要性が高い場合は選定される可能性も高くなるようです。
Microsoft社(Microsoft Corporation)と提携をしており、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で稼働する製品も提供しています。
ロレアル社(L'Oréal S.A.)、P&G社(The Procter & Gamble Company)などのグローバル企業で採用され、優れたカスタマーエクスペリエンスを演出しています。

Oracle WebCenter(旧:Fatwire)

CMSツール「Fatwire」を提供していたFatwire社を、オラクル社(Oracle Corporation)が買収して提供しているエンタープライズ向けCMSです。
「コンテンツ管理」「業務生産性の向上」「社内コミュニケーションの迅速化」「マーケティング効果の最大化」を目的に、オラクルの製品群をパッケージしてスイート化したツールです。
実績の傾向から、グローバル管理のニーズがあり、PIM(Product Infomaiton Management)との連携、オラクルDBをすでに利用しているなどの条件が重なると、選定される可能性が高いようです。
カシオ計算機株式会社では、Oracle WebCenterを活用して、ターゲット別のWebエクスペリエンスをユーザーに提供しています。

HeartCore

ハートコア株式会社による、日本国内で550社以上のCMS導入の実績を持つCMSと顧客体験最適化機能を加えたCXMです。必要となるデジタルマーケティング機能のすべてがひとつのツールに集約された、オールインワン製品であることがこの製品の特徴です。
最近はRPAやプロセスマイニングもラインナップに加えて万能性を高めながら、ITP(Intelligent Tracking Prevention)問題の解決となるハートコアビスケットやAIのハートコア教授など話題性も提供しています。

2. 静的出自ハイブリッドCMS

TeamSite(OpenText TeamSite)

カナダに本社を置くITベンダー、OpenText社(OpenText Corporation)が提供しているエンタープライズ向けCMSです。数年前にHP社(Hewlett-Packard Company)から事業譲渡されました。従来強みとしていたインターナルのコンテンツ管理製品に加え、エクスターナルのWebコンテンツ管理製品を増やしたことで、コンテンツ管理ベンダーとしての強みが増強されたイメージがあります。
静的CMSのトップシェアであるこの製品は、全世界で約4,700社に採用されており、大規模Webサイト運用に必須の管理機能、制作機能をバランスよく提供しているのが特徴です。

NOREN

2002年に販売開始され、国内トップクラスの690社以上の導入実績を誇る株式会社のれんによる国産CMSです。国内の静的CMSでは、圧倒的なシェアを持っています。
NORENのベースは「静的CMS」ですが、従来型のコンテンツ配信と、閲覧者のアクセスに応じたリアルタイムパブリッシュ、2つの経路が用意される「Dynamicモジュール」を実装。「静的CMS」と「動的CMS」を併せ持っているのが特徴です。静的なページの管理が中心で、一部を動的に出し分けたいニーズにはマッチする製品と言えるでしょう。
三菱重工株会社や大日本印刷会部式会社などで導入されWebサイトリニューアルの支援をしています。

3. まとめ

動的出自か静的出自かでよいか悪いかということではありません。どちらがより自社の事業に合致するかということです。
導入すべきCMSを決定するために、まずは、動的に出し分けるべきコンテンツがどれくらい自社に存在するのか、から選定をはじめることが、ボタンの掛け違いを防ぐ第一歩と考えます。そして次に、出し分けのレベル感、対応すべきチャネルの種類などを分析した上で、自社に合うCMSがどれかを決めていきましょう。このようなステップで選定を進めていくには、自社の顧客体験における課題と、理想の顧客体験がしっかりと作られてなければなりません。間違いのない選定のために、まずは顧客体験分析からはじめましょう。

関連記事