「価値観データ」は顧客体験で競合に差をつける切り札となる
~革新的なデータドリブンマーケティングに向けた顧客データ戦略~

MAなどのツールを活用してデータドリブンマーケティングを実行しているものの、想定通りの成果があげられていないということがないでしょうか。それは、異なる価値観を持つターゲットを同一の属性で捉えて、単一的な施策を打っていることが原因かもしれません。今回のコラムでは、価値観データが必要になってきた背景と顧客の異なる価値観を把握し、それに応じた最適なマーケティングを行うための方法を紹介します。

1. データドリブンマーケティングの課題とは?

近年、データドリブンマーケティングは、そのコンセプトとともにMAなどのデジタルマーケティング基盤の導入が進み、PDCAサイクルが回り、成果をあげる企業も増えてきたため、一般的なマーケティング手法となりつつあります。しかしながら、ある課題によって成果に陰りが見えはじめています。

データドリブンマーケティングで分析対象とする顧客データは、業種、業態によりますが、性別、年齢などの基本属性データ、商品、サービスの購入データ、Webサイトの行動データなどが一般的ではないでしょうか。
これらの顧客データを活用すれば、「いつ」「誰が」「何を」次に買ってくれそうなのかは、ある程度は予測できるようになっています。おそらく、データドリブンマーケティングを実行している企業も、その企業の競合他社も同様に予測している状況にあるでしょう。

では、この前提でマーケティング施策を受けるお客さまの視点で考えてみましょう。

コモディティ化が進んでいる商品カテゴリーの競合3社が、同じデータを使って、同じようなMAを使って、同じお客さまにプロモーションをかけていくと、その顧客はどのような状態になるでしょうか?
その顧客は同じチャネルで同じタイミングで複数社から同じような商品のオファーを受け取ることになるでしょう。
このような三つ巴の状況で選ばれるポイントはどこになるのでしょうか?
それは、「訴求ポイント」です。
どれだけ顧客それぞれの価値観に合った「訴求ポイント」になっているかどうかが、顧客が「自分に合っている」と思い、購入につながるキードライバーになります。
要するに、製品やサービスを「いつ」「誰に」「何を」訴求するかに加えて、「どのように」訴求したら最もその顧客に響くのかが、非常に大事になってきます。

下記は飲料メーカーの例ですが、価値観に合った訴求によって「顧客に選ばれる」イメージが湧くのではないでしょうか。

モノやサービスがあふれ、飽和状態にある市場環境と生活者の価値観が多様化する時代に、自社製品・サービスを選んで貰うことは簡単ではありません。もはや、訴求する商品とタイミングが合っていれば買ってもらえる、そんな甘い期待ができる市場環境ではないのです。
従って、競合他社と顧客データで差別化できなければ、顧客体験で差別化もできないと言えるでしょう。

次の章では、顧客体験で差別化するための価値観データの活用について説明していきます。

2. 価値観データを活用して訴求ポイントを最適化する

顧客体験を差別化するためには価値観データが必要です。価値観を特定する考え方は、実は今はじまったものではなく、以前より、調査・研究している企業も実際にありました。しかしながら、調査した結果はペルソナに定性情報として加えるレベルにとどまり、データドリブンマーケティングに活用するまでには至ってないのが現状です。

「価値観の定量データ化」
この課題を解決するために開発されたのが「価値観クラスター」です。
生活者の価値観やライフスタイルに関する意識データを統計化し、価値観や心理という普遍的で度合をつけにくい情報をデータドリブンマーケティングで使えるように定量化し、個人に紐づける仕組みも開発しました。既存の購買データや行動データと組みあわせて分析することで、より精度の高いデータドリブンマーケティングを実行できるようになります。

価値観クラスターマーケティング概念図

価値観クラスターとは

価値観クラスター(以下価値観CL)とは、日本の人口構成に基づき収集した生活者の意識調査データから、価値観やライフスタイルなどの意識データを統計化した「価値観データベース」をもとに、生活者の価値観をライフスタイル・感度、メディア、コミュニケーションに関する因子で定義・分類したクラスターです。価値観データベースに蓄積した過去10年分の日本人のさまざまな消費意識と価値観クラスターを紐づけたため、日本人向けのマーケティング施策で、より高い精度を発揮できます。
価値観CLを活用することにより、従来のセグメンテーションや購買行動データでは見えなかった、異なる価値観を持つ生活者グループの細かな特性を把握し、価値観CLごとに最適な訴求を行い、顧客の体験価値の向上や、顧客満足度を高めるためのさまざまな施策実行が可能となります。

3. 価値観データ活用事例

活用事例①:食品通販で購入率が2倍に

ある食品通販事業者では、買い物に対する生活者のニーズが多様化してきていることから、最適なターゲットに最適な商品を訴求し、レコメンドの効果を向上させたいと考えていました。自社会員の購買データを分析したマーケティング施策は、すでに実施していましたが、レコメンド効果は伸び悩んでいる状況でした。
そこで、レコメンド効果向上のため、通販サービスを利用している会員向けチラシのデザインを、価値観CLごとに訴求コピーや掲載商品を変えて刷り分けるという施策を実施しました。

はじめに会員に価値観CLを付与して、会員のペルソナを作成。次に価値観CLを付与した会員の購買データと、ペルソナを分析し、訴求コピーや掲載商品など、チラシのデザインをCLごとに最適化し、会員へ配布しました。
またレコメンド効果の検証として、価値観CLが一致している人に同価値観のチラシを配布した場合と、異なる価値観CLの人に異なる価値観のチラシを配布した場合で、購入率の変化を分析しました。

その結果、価値観CLに適したチラシを配布した場合は、異なる価値観CLの人に配布した場合と比べて、購入率が約2倍増加することが確認されました。
このように購買データのみならず、顧客の価値観を把握し、ペルソナを作成し、意識データを活用して訴求を行うことは、よりパーソナライズされたレコメンドの効果向上に大きく貢献します。

活用事例②:書籍通販のメールマガジン開封率が約3倍に

ある通販サイトでは、MAツールを活用したメール配信を行っていましたが、メールの開封率が悪く、とにかくKPI(開封率・サイト訪問率)を向上させたいと考えていました。
そこで、価値観CLで会員を分類。価値観に合わせた訴求タイトルでメールを配信した場合と、異なる価値観CLに同一のメールを配信した場合のKPIの変化を分析しました。

その結果、そのCLが好む傾向にある訴求タイトルを送った会員のメール開封率は約3倍、サイト訪問率は約2倍と大きな差が見られました。
価値観CLに紐づいたペルソナを活用して、配信メールの件名や見出し、リード文の作成をわけることにより、以前よりも効率的で効果的なメール配信に繋げることに成功しました。

4. まとめ

モノがあふれ、コモディティ化し、売れづらくなる時代であるからこそ、顧客体験価値を最大化し、競合他社に対して差別化していく必要があります。
他社に先んじて顧客の価値観を捉え、購買欲求に火をつけるような最適な訴求を行うことで、短期的な売上に貢献するとともに、顧客がパーソナライズな体験に満足し、継続的に購買するファンになり、結果、LTV最大化の実現につながっていきます。
データドリブンマーケティングは継続的な成長を促す効果的な手法として確立されましたが、分析対象とするデータが他社と変わらなければ成果に限界が出てきます。
他社に先んじて価値観データを捉え活用することで、革新的なデータドリブンマーケティングを目指しましょう。

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