D2C事業を成功に導くために必要な3つのこと

D2Cは、企業が今最も注目しているキーワードの一つ。多くの企業がD2C専用ブランドを立ち上げ、D2Cサイトを展開し、中には大成功を収めるブランドも出てきています。そこで今回は、D2C事業を成功に導くために必要なことについて考えていきます。

D2C事業の成功をどのように定義するか

認知度、売上、利益など、事業における成功の定義は様々です。D2Cにおいては企業ごとによる違いが特に大きく、一律に定義できるものではありませんが、例としては次のようなものが挙げられます。

消費者との接点拡大を重視

企業のプレゼンスを上げることを目的に、利益よりも消費者との接点拡大を重視するもの。D2Cを一種の広告コストとして考え、ユーザーの目に触れる機会や購入経路を増やすことで、結果として売上拡大が期待できます。

利益拡大を重視

費用を含めた売上ではなく、純粋な儲けである利益を重視するもの。これまでの累積損失を一掃したい場合などにみられ、数年ほどかけて計画的に行われることが多いです。

顧客とのエンゲージメントを重視

利益や売上よりも、顧客をファン化させることを目的とするケース。ユーザーとの密なコミュニケーションにより顧客を育成し、企業と顧客の双方にとって良好な関係性を作ることで、中長期的な売上拡大のベースとすることができます。

覚えておきたいのは、D2Cは直接的に売上を伸ばす手段ではなく、顧客接点を増やし企業からのメッセージをダイレクトに伝えることでエンゲージメントを促し、その結果として売上拡大へとつながる、という性質のものであることです。これらを踏まえた上で、どのような目的を達成するためにD2Cを立ち上げるのか、という点を明確にすることが重要です。重視するポイントによって最適な手法も変わってくるため、目的設定段階からのサポートや、幅広いケースで柔軟な提案が可能なパートナー選びを心がけましょう。

D2Cを成功に導くために必要な3つのポイント

D2Cの強みは、既存チャネルでは提供できない価値を提供し、顧客とのダイレクトなコミュニケーションを実現できる点です。このメリットを活かして顧客満足度を高め、ファン化を促進するためには、カスタマーエクスペリエンス(CX)を起点とした顧客視点のビジネスモデル設計が必要です。具体的には、次のような点を意識するとよいでしょう。

期待を上回る価値を提供する

既存チャネルにおける不便を解消し、D2Cならではの付加価値を付けることは、選ばれるサービスの条件のひとつです。例えば、重いものを持ち運ばなくて済む、品切れしていない、特別なサービスを受けられる、価格的なメリットがある、などです。企業にとっては半ば習慣化しており気付きにくい部分でもあるため、顧客視点で改めて見直す必要があります。

継続顧客を育成する

D2C事業を安定させ、持続的成長を実現するためには、新規顧客の獲得だけでなく継続顧客の育成が必須となります。商品の価格以上の価値を提供することでリピーターを育成できる点は、D2Cが持つ大きなアドバンテージです。客数と客単価のどちらを優先するかも重要なポイントとなるため、自社の状況をもとに慎重に検討しましょう。

プロモーションとシステム・インフラの連携

例えば、「キャンペーン時の購入特典として、ノベルティを付ける」企画を立てた際、景品のサイズが大きいと、通常より送料が高くなってしまう。一方、景品のサイズのみを気にして、施策を考えると、マンネリ化による飽きから顧客が離反してしまう、など個別に検討していたのでは、成果は望めません。プロモーションとシステム・インフラを密接に連携させることも、D2C事業成功へのカギです。
また、D2Cにおいては小売店舗の売り場と顧客を奪い合うのではなく、組織部門間で協調し、新たな価値を創出していくという考え方が重要です。例えば、顧客のニーズを商品開発部門にフィードバックする、営業部門にD2Cの成果を共有することで販促の精度を高めるなどです。これらをもとに高速でPDCAサイクルを回して改善を重ねることで、D2Cは顧客にとってより魅力的なものとなっていくでしょう。

D2Cの事業モデル設計の進め方

通販事業の新規立ち上げ・既存の見直しに関わらず、CXを追求した顧客視点で設計されるD2Cは、従来の通販とは勝手が異なる点も多くあります。どのような流れで事業モデル設計が進行していくのか、実際のフローをもとに解説しましょう。

D2Cの立ち上げには、大きく分けて「設計」「検証」「精緻化」の3つのフェーズがあります。

設計

事業の目的や課題に応じて事業方針を検討し、競合やベンチマーク企業の分析をもとに、大まかなビジネスモデルを設計します。D2Cを通じて顧客に伝えたいメッセージを明確にするため、企業が重視する価値観(コアバリュー)を定めるのもこのフェーズです。

検証

設計したビジネスモデルを検証し、消費者にサービスが受け入れられるかどうか、また、事業コストがどの程度かかるかなどを明らかにします。現場オペレーションもこれまでとは変わってくるため、D2Cに対応するためのオペレーション業務設計もこの段階で行われます。

精緻化

ビジネスシナリオを策定し、数年間運用した場合の損益計算書をシミュレートします。これらの数字を加味してビジネスモデルを調整し、立ち上げまでのロードマップや組織体制について具体的に取りまとめていきます。

実際はこのフローをもとに、企業に応じた適切なカスタマイズが加えられます。これら3つのフェーズが完了するまで半年ほどの期間が必要となるため、D2Cの事業計画は余裕をもって行うようにしましょう。

まとめ

流通経路や出店企業が増加し、数多くの商品が並ぶ半面、企業が商品に込めた想いは小売やECモールを介する中で断絶しやすく、顧客へ届けることが容易ではありませんでした。消費者の周囲には似たような情報が氾濫し、価値ある商品を選びにくい状況となっているのです。

しかし、D2Cを活用して企業のメッセージやメーカーの中の人が持つ温度感をダイレクトに伝え、顧客の共感を呼び起こすことで、ただ商品が選ばれるだけでなく、その理由に「価格以外の価値」が含まれるようになります。これこそがD2Cに取り組む意義であり、業界として目指すべき姿ともいえるでしょう。

スマートフォンさえあれば誰でも買い物ができ、同様に企業の理念や取り組みを知ることも可能になった今、顧客が共感や意思をもって特定の商品を選ぶことは、企業においても大きなメリットをもたらします。商品が持つ魅力や価値を高め、モノづくりを尊重する視点を育むD2Cの考え方は、D2C事業を成功に導くばかりでなく、これからのマーケティングにおいても欠かせないものとなっていくはずです。

おすすめコンテンツ