キャッシュレス時代の必須施策「共通ポイント」とは?

2019年10月に開始された消費税の増税に伴い、需要減の防止や平準化策としてキャッシュレス利用時の還元事業が行われ、「共通ポイントサービス」も還元事業の対象となりました。還元事業自体は2020年6月に終了となったものの、共通ポイント加盟店は大幅に増加しました。また、大手コンビニエンスストアが複数のポイントサービスに対応する「マルチポイント化」へ対応、さらに大手共通ポイントがキャリア決済と提携を開始するなど、共通ポイントと決済サービスの融合が進んでいます。企業としては拡大・融合が進むキャッシュレス決済に対応するため、まずはポイントサービスの基礎を押さえておくべきでしょう。ここでは、共通ポイントの概要とメリット、メジャーな共通ポイントの概況などを解説します。

1. ポイントサービスとは

ポイントサービスの概要

ポイントサービスは、ポイントプログラムとも呼ばれ、企業におけるマーケティング施策のひとつです。大枠としては、企業が顧客に対し、自社サービスの利用状況に応じてポイントを付与し、顧客側はためたポイントを使って割引や特典といった恩恵を受けることができる仕組みです。

こうしたポイントサービスは、かつて自社発行のポイントカードのみで提供されるケースが多いものでした。しかし近年は、顧客管理・マーケティング施策への活用を見越して、ITシステム上でデジタル管理する方法が一般化しています。また、ポイントサービスへの加入においては、入会金や年会費などを設けず、心理的なハードルを下げています。さらに、自社独自・店舗独自のポイントサービスではなく、他社・他店舗でも使用できる「共通ポイントサービス」を導入する企業が増えていることも見逃せません。

ポイントサービスのメリット

ポイントサービスは、消費者・企業双方にメリットがある施策です。具体的には、次のようなメリットが生じます。

消費者のメリット

「ためる」「割引」という2つのお得感

企業側から付与されたポイントは、有効期限の範囲内であれば、ほぼ無制限にためることができます。また、ためたポイントは製品・サービスの購入時に通貨と同様の役割を果たし、ポイントの適用によって割引を受けられます。つまり、消費者にとっては「製品・サービスの購入」と「貯蓄」を同時に行うことができ、さらに割引も受けられるために、2重のお得感があるわけです。

生活のなかでシナジーが発生

共通ポイントサービスなど、店舗や分野を限定しないポイントサービスにおいては、「食と娯楽」「旅行と通信」など、全く異なるサービス間でポイントが循環します。例えば、コンビニエンスストアでの商品購入時にためたポイントで、レンタルビデオサービスの割引を受けられたり、毎月の携帯電話料金で付与されたポイントを使って旅券を安く手に入れたりするわけです。このようにポイントサービスの利用によって、「生活のなかでよく使うもの」がお得になるというメリットがあります。

企業のメリット

来店率や購入単価がアップ

ポイントサービスのメリットを把握している消費者が増えると、ポイントサービス自体が来店や購入の動機になり得ます。結果的に来店率や購入単価が増え、中長期的な売り上げ向上につながります。

競合他社に対する優位性

消費者が製品・サービスの購入を検討しているとき、同価格・同レベルのサービスならば、ポイントが付く方にお得さを感じる傾向が強いようです。したがって、競合他社に対して優位になります。

新規顧客の獲得、顧客の囲い込み

ポイントキャンペーンなどを契機に新規顧客を獲得しやすくなります。また、ポイントサービスのうまみを知った消費者をまた別のサービスへ誘導するなどし、いわゆる「囲い込み」を発生させやすくなります。

マーケティングデータの蓄積

ポイントサービスをITシステムによってデジタル化することで、顧客データ・購買データの蓄積が進みます。蓄積したデータを分析することで消費者ニーズや購買時の行動などが明確になり、効果的なマーケティング施策の立案につなげることができます。

2. 近年のトレンド「共通ポイント」とは

ポイントサービスは、主に「共通ポイント」と「独自ポイント」に分類されます。

共通ポイントと独自ポイントの概要

共通ポイントの概要

共通ポイントサービスは、複数の企業・店舗が加盟できるポイントプログラムです。共通ポイントは、ポイントを発行する事業者に対して参加を申し込むことで導入できます。消費者は共通ポイントに加盟する企業・店舗での買い物でポイントを獲得し、そのポイントを全く別の企業・店舗において代金の一部もしくは全部に充当できます。

独自ポイントの概要

一方、独自ポイントは、自社店舗もしくは特定の店舗でのみ使用可能なポイントです。共通ポイントよりも狭い範囲の「得意客」に対してお得感を提供しやすく、自社の顧客育成に有効です。また、自社独自のポイントルールを作れるなど、自由度が高いといった特徴もあります。

共通ポイントのメリット

近年、共通ポイントへ加盟する事業者が増えています。その理由は、「業界が異なる幅広い顧客層に対し、ポイントサービス自体のブランド力や認知度を利用したアプローチが可能」だからです。例えば、共通ポイントに参加している企業の会員基盤を活用すれば、メルマガやDMなどさまざまなマーケティング施策がより手軽に行え、かつ一定以上の効果が見込めます。このほか、加盟企業に対して次のようなメリットが生じます。

  • 店舗をまたいで一括導入できるため、多店舗展開が容易
  • ポイントや顧客情報の管理コストが削減できる
  • 共通ポイントを自社サービスの割引などにそのまま使えるなど、ポイントプログラムの考案、運用にかかる手間が小さい

このようなメリットから、急速に共通ポイントを導入する企業が増えています。

3. 主な共通ポイントのトレンドと概況

共通ポイントのトレンド

近年、共通ポイントは大手企業同士の連携が相次いでいます。特に、国内の主要な携帯通信事業者とポイント事業者の連携は大きなトレンドのひとつです。2020年には、大手共通ポイントの一角である「Ponta」がKDDIと連携したことで、「共通ポイント戦国時代」とも言える時代の幕開けとなりました。

主な共通ポイントの特徴と概況

dポイント

  • 会員数…dポイントクラブ会員数7,657万人、dポイントカード登録数4,472万(※1)
  • 発行量…約2,000億ポイント

物理カードであるdポイントカードのほか、iD・d払いなどキャッシュレス決済にも対応。2020年6月より、国内最大級のフリーマーケットアプリ「メルカリ」との提携が開始。2020年9月以降は、d払いとメルペイが同一のQRコードで利用可能になるなど、ポイント消費の利便性が向上しています。(※2)

Ponta

  • 会員数…9,400万人以上
  • 発行量…2,000億ポイント超

「Pontaカード」の提示によって付与されます。大手レンタルビデオチェーン「GEO」やファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン」のほか、「日本航空」などとも提携。
2020年5月21日にKDDIの提供する「au Walletポイント」がPontaへと統合され、推定1億人以上の会員基盤をもった共通ポイントが誕生しました。

Tポイント

  • 会員数…7,066万人以上(※3)
  • 発行量…1,000億円規模(年間発行額)

「Tポイントカード」の提示で付与されます。大手レンタルビデオチェーン「TSUTAYA」やガソリンスタンド、ドラッグストアチェーンなどを中心に提携しています。2014年7月より大手通信事業者「SoftBank」との提携が開始。同社の携帯電話料金の支払いや、QR決済「PayPay」での利用などで利便性を増している。

楽天ポイント

  • 会員数…1億人以上
  • 発行量…3,200億ポイント以上(2019年年発行額)、累計2兆ポイント超(※4)

国内最大級のECショッピングモールである「楽天市場」で利用可能なことが強みです。また、「サンドラッグ」や「ツルハドラッグ」など、大手ドラッグストアとの提携が特徴的です。同社の携帯電話事業「楽天モバイル」との提携により、同サービスの利用でポイント獲得・料金充当が可能になり、利便性が向上しています。

参考:
※1,2
NTTドコモ 2020年度 第1四半期決算概況
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/binary/pdf/library/presentation/200803/presentation_fy2020_1q.pdf
※3 T-POINT公式
https://tsite.jp/fs/contact/index.pl
※4 楽天株式会社
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2020/0924_01.html

4. まとめ

この記事では、ポイントサービスの基礎知識や、主要な共通ポイントの概況について解説してきました。共通ポイントは、来店頻度や購入単価の向上はもとより、大規模な会員基盤によってマーケティング施策の効能を強め、中長期的な利益につなげられる仕組みです。ポイントサービスの構築・運用の手間を削減しつつ、そのメリットを享受するために、まずは共通ポイントへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

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