共通ポイント導入の課題は「マルチペイメントゲートウェイ」で解決

2020年6月まで実施された消費需要税率引き上げに伴う還元事業では、「共通ポイントサービス」が注目を集めました。直近では大手コンビニチェーンの「マルチポイント対応」や、大手共通ポイントサービスとキャリア決済と提携などが報じられており、共通ポイントサービスがクローズアップされています。
こうした流れをうけ、共通ポイントへの加盟を検討する企業も少なくないでしょう。しかし、導入・運用にかかる負担の大きさから、二の足を踏む企業も見受けられます。特にシステム面では、追加開発の必要性などが生じ、加盟店側の負担が大きくなりがちです。
ここでは、共通ポイントサービスの導入・運用において、汎用性やコストメリットに配慮した仕組みを紹介します。

目次

1.共通ポイントサービスの仕組み
2.共通ポイントサービス導入時に発生しがちな課題
3.マルチペイメントゲートウェイサービスで負担を軽減
4.まとめ

1. 共通ポイントサービスの仕組み

共通ポイントのサービス導入に際しては、ポイントサービスを提供する事業者との契約が必要です。また、契約後は、主に以下のような流れでポイントサービスが提供されます。

ポイントカード申込時

利用者がポイントサービス運営事業者に対し、ポイントカードの申し込みを行います。このとき、利用者側からは「氏名」「住所」「メールアドレス」など、会員登録に必要な情報が提供されます。申し込み手続きが完了すると、ポイントサービス運営事業者から利用者に対し、加盟店で使用可能なポイントカード(もしくは電磁的な会員証)などが提供されます。

ポイント付与時

利用者が加盟店で何らかの製品・サービスを購入すると、代金や付与率に応じてポイントが付与されます。このとき、加盟店はポイントサービス運営事業者に対し、利用者に付与したポイントと同じ額を「ポイント原資」として、ポイントに応じた手数料を「ポイント発行手数料」として支払います。ちなみに、ポイント原資は他の加盟店に対するポイント精算金(後述)として支払われ、ポイント発行手数料はポイントサービス運営事業者の収入やシステムコストに充当されるのが一般的です。

ポイント利用時

利用者が加盟店での買い物にポイントを利用する場合は、加盟店が利用ポイント数に応じて製品・サービスの割引を行います。また、加盟店に対しては、ポイントサービス運営事業者から「ポイント精算金」が支払われます。

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※Pontaサービスの一例

共通ポイントサービスのメリット

このように、共通ポイントサービスは、加盟店がサービス運営事業者に対し「ポイント原資+手数料」を支払うことによって成立しています。ただし、加盟店側に対しても手数料を支払うだけのメリットがあります。

顧客層拡大、来店率などの上昇

大手共通ポイントサービスは、数千万人規模の会員数を誇ります。共通ポイントサービスの導入によって、膨大な会員を新規顧客として獲得できる可能性が高まるでしょう。また、共通ポイントサービスへの加盟によってお得感が強まり、既存顧客の来店率向上も期待できます。

共通ポイントサービス運営事業者のサポート

共通ポイントサービス運営事業者は、加盟店に対してマーケティングサポートや販促施策の提案、分析・コンサルティングサービスといった付加サービスを提供する場合があります。巨大な会員基盤を活用し、必要最小限のコストで効果的なマーケティング・販促が期待できます。

顧客単価の向上

共通ポイントサービスを導入した店舗では、全国平均でポイント付与にかかる手数料出費以上に購入金額がアップしたという結果が得られています。つまり、共通ポイントサービスを導入することで顧客単価の向上が見込めます。これは、ポイント付与にかかる手数料を考慮しても、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

2. 共通ポイント導入時に発生しがちな課題

このように共通ポイントサービスは、運営事業者が保持する巨大な会員基盤と、それをベースにした分析・コンサルティングサービスなどを活用し、即効性の高いマーケティング・販促施策を打ち出せるというメリットがあります。一方で、導入・運用に際しては次のような課題が想定されるでしょう。

システムコストの大きさ

共通ポイントサービスの導入においては、各ポイントが採用する決済システムに接続する必要があります。つまり、接続部分についての追加開発が必要になり、そのコストが加盟企業の負担として重くのしかかります。

マルチポイント化における追加コスト

冒頭でも紹介したように、大手コンビニチェーンのファミリーマートは、複数の共通ポイントサービスに対応する「マルチポイント化」に踏み切りました。このようなマルチポイント化の流れは大手企業を中心に加速しており、今後は複数の共通ポイントが持つ顧客基盤をフル活用する施策が一般化すると考えられます。したがって、特定の共通ポイントに加盟したとしても、将来的にはまた別の共通ポイントに加盟することになり、そのたびに追加のシステムコストが生ずる可能性があります。

3. マルチペイメントゲートウェイで負担を軽減

これら共通ポイント導入時の課題に対しては、クラウド型の決済サービスである「マルチペイメントゲートウェイサービス」が有効です。マルチペイメントゲートウェイサービスは、クラウド上に「各種決済サービスへの接続を担う汎用的なゲートウェイ」を配置し、加盟店の負担を最小化しつつ、可用性の高い決済システムを提供する仕組みです。

流通小売業におけるキャッシュレス化の課題

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マルチペイメントゲートウェイサービスを利用したイメージ

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マルチペイメントゲートウェイのメリット

システムコスト低減

前述したように加盟店側は、各共通ポイントサービスが採用する決済システムへの接続が必要です。マルチペイメントゲートウェイは、あらかじめ複数の共通ポイントが採用する決済システムに標準対応していることが多く、接続部分の開発コストを最小限に抑えることができます。

マルチポイント化へスムーズな移行

マルチペイメントゲートウェイは、クラウド上に配置された「ゲートウェイセンター」において、主要な共通ポイントを集約・一元管理することが可能です。したがって、複数の共通ポイントに加盟する場合でも、特段の追加コストが発生しません。ゲートウェイセンターへの追加登録のみで、新たな共通ポイントの導入が可能です。

POS連動、独立型(スタンドアロン型)のどちらにも対応可能

加盟店の決済システムは、一般的に次のいずれかが想定されます。

POS連動型
既存のPOSシステムと共通ポイントサービスに対応した決済端末を連動させる方式です。既存のPOSシステムを流用できるため、処理や集計ロジックはそのまま活用できる一方、既存POSシステムの改修や専用ソフトウエアの導入が必要となるケースが多いでしょう。

独立型(スタンドアロン型)
既存POS端末と接続しない完全独立型(スタンドアロン型)の決済端末を導入する方式です。既存のPOSシステムには手を加える必要が無いため、イニシャルコストは小さくなる反面、POS・決済端末双方に打ち込みの手間などが発生するなど、運用面のデメリットが発生しがちです。

マルチペイメントゲートウェイは、一般的に上記いずれにも対応可能なため、既存POSシステムとの接続が容易です。

キャッシュレス決済への汎用的な対応

コロナ禍において非接触・オンライン決済の需要が高まり続けています。こうした状況から、今後はクレジット・電子マネー・QRコードなどいろいろなキャッシュレス決済に対応する必要があるでしょう。マルチペイメントゲートウェイはクラウド上で複数のキャッシュレス決済を集約できるため、各サービス事業者への個別接続が不要です。追加開発なしで汎用的なキャッシュレス決済へ移行することができます。

4. まとめ

この記事では、共通ポイントの仕組みや、導入・運用における加盟店側の課題について解説してきました。共通ポイントは加盟店に対し、商機拡大・売上向上など複数のメリットを提供します。一方で、システム対応コストの大きさがハードルとなり、加盟に踏み切れない企業も少なくないでしょう。最小限のシステムコストで共通ポイントの恩恵を受けるためにも、マルチペイメントゲートウェイサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

2020年12月時点の情報です。

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