単品リピート通販を成功させるためのポイント

利益率が高く価格競争が起こりにくいなどのメリットから、ECにおける販売手法のひとつとして市場規模を拡大している単品リピート通販。健康食品などのオリジナル商品をPRするWeb広告やLP(ランディングページ)を、誰でも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。 ECサイトに商品を並べるだけで売れていた時代は過ぎ去り、今やさまざまな企業が工夫を凝らし、しのぎを削るようになりました。そんななか単品リピート通販を成功させるためにはどうすればよいか、重要なポイントを解説していきます。

目次

1.単品リピート通販とは
2.単品リピート通販に適した商品
3.単品リピート通販の注意点
4.単品リピート通販に必要な機能
5.顧客育成の視点を持つ
6.顧客の状態を正確に把握する
7.単品リピート通販を成功に導くために

1.単品リピート通販とは

単品リピート通販とは、1点または数点の商品に絞って販売する、リピート購入(定期購入)をベースとしたビジネスモデルのこと。利益率の高さと価格競争が起こりにくい点が大きな特徴で、主に自社ブランドのオリジナル商品を売り出す場合にみられ、仕入れた定番商品を多数扱う総合通販とは対照的な位置づけにあります。定期購入ベースで優良顧客を育成しやすく、商品とあわせてECサイトを記憶してもらえることからブランド認知面でもメリットがありますが、知名度の低い状態からスタートするため新規顧客の獲得までにコストがかかる点がデメリットといえます。また、マーケティングの難易度が高いので、その効果を最大限に引き出すためには、総合通販とは異なるノウハウをもとに適切な販促を行う必要があります。

2.単品リピート通販に適した商品

一定のペースで買い続けたくなる商品とはどういうものか、という視点で考えると想像しやすいでしょう。
一度購入したら長期間使用する家電や、同じものを再購入することの少ない家具などは定期的な購入サイクルを生み出すことが難しく適しているとは言えません。一定のペースで消費される化粧品や健康食品などの消耗品が適しています。また、ここでしか買えないオリジナル商品であることも重要なポイントです。

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マーケティングにおいては、商品を通してどのような価値を提供できるのか、実感できる効果はどのようなものか、といった点を重点的にPRしていくことになります。商品に込めた思いや開発へのこだわりが強いほど、単品リピート通販には適しているといえます。

3.単品リピート通販の注意点

定期購入がベースの販売手法ですが、無理に定期購入させるようなやり方は逆効果です。顧客に対してマイナスイメージを与えてしまうほか、消費者庁により定期購入の規制強化が実施されているので、単品リピート通販を検討する際は必ず最新情報に目を通しておきましょう。

定期購入までにステップを設ける

顧客にとって購入ハードルの低いトライアル商品から始めて、無理なく定期購入へとステップアップできる設計が望ましいです。大半はトライアルからの開始になりますが、初回割引のある定期コースをあわせて用意しておき、選択肢を増やすのも有効です。

定期購入したくなる魅力の追求

継続することで定価よりも安く購入できる割引や次回の購入以降で使えるポイント、特別感のあるバースデー特典や会報誌などが代表的です。商品を継続することで得られる効果のPRはもちろん、顧客目線で「このようにするとより効果を実感しやすくなります」などのアドバイスを添えると、商品や企業の信頼性向上につながります。

4.単品リピート通販に必要な機能

単品リピート通販は、継続的な購入を促進したい企業と、毎回注文の手間をなくしたい顧客の需要がマッチした販売手法。商品をただ定期的に届けるだけでなく、継続するなかで不便を感じさせないためのきめ細やかな機能も重要です。

定期機能

基本的な機能として、定期コースの初回割引などを設定できる「お届け回数別金額(割引率)設定」と、商品にあわせて同梱物を設定できる「お届け回数別同梱物設定」は必須です。これらは、継続特典などの設定をする際にも必要になります。

マイページ機能

消耗品であっても、何らかの理由により使用ペースに変化が起こることは珍しくありません。マイページで「お届け間隔の設定」や「お届けのスキップ」を行えるようにしておくと、顧客が任意で調節できるうえ、使用ペースの変化による定期購入の解約も防ぐことができます。中止の設定までマイページでできてしまうと解約を防止することが難しいため、「中止のみコールセンターにて対応」のように制限を設けることも効果的です。

多様な決済手段

商品カテゴリやターゲット層によって適切な決済手段は変わりますが、定期購入を継続しやすい決済手段は一度登録してしまえば自動で決済される「クレジットカード」と「口座振替」です。情報入力の手間を省ける「ID決済」、どなたでもご利用いただきやすい「代引き」、顧客にとって安心感のある「後払い」、代金の回収漏れが防げる「前払い」など、できる限り豊富な決済手段を用意しましょう。また、決済手段もマイページ上で変更することができると利便性が高く、コールセンターの負荷軽減につながります。

申込フォーム一体型LP(ランディングページ)

Web広告経由の新規購入を促進する手段として効果的です。商品詳細ページからカートに遷移させる方法とは異なり、LPに申込フォームを併設することで購入完了までのステップが最低限で済むため、新規顧客の離脱を防ぎ、スムーズな新規獲得を可能にします。

5. 顧客育成の視点を持つ

単品リピート通販を成功させるには、顧客育成の視点を持つことがカギになります。トライアルから開始した新規顧客を育成して安定した定期購入につなげるために、次のようなポイントを意識するとよいでしょう。

新規顧客のターゲット像を定める

新規顧客の獲得には、商品をどのような顧客に届けたいかをまず明確にする必要があります。そのターゲット像をもとに出稿メディアを選定し、広告内容を精査してPDCAサイクルを回し、最適化を行っていきます。CPO(Cost Per Order)も大切ですが、継続的な購入がベースとなる単品リピート通販では、LTV(ライフタイムバリュー)が非常に重要になります。

理想の顧客に育成する

顧客と長いお付き合いとなる定期購入は、企業にとってもチャンスといえます。販促目的だけではない、雑誌の連載記事のような読み物やメールマガジン、特別感のあるバースデー特典などを用いて顧客と継続的なコミュニケーションをとり、関係性の向上を意識しましょう。コンタクトセンターやアンケートなどにより集まった顧客の声を商品に反映させるだけでなく、離脱や解約のタイミングを知る手がかりとしても活用し、解約防止のプログラムに役立てることも大切です。

継続年数も考慮する

優良顧客というと1回あたりの購入金額が大きい顧客を想像するかもしれませんが、単品リピート通販では継続年数も重要なファクターとなります。継続年数に応じたキャンペーンを実施し、マンネリ化を防ぐのも有効でしょう。新規顧客の継続施策だけでなく、継続顧客のさらなる継続施策にも注力することが、優良顧客を増やすことつながります。

6.顧客の状態を正確に把握する

行動履歴、購買履歴を収集

顧客を育成し、長期的に関係を築くためには、顧客の情報をしっかりと収集する必要があります。購買履歴、頻度だけでなく、サイト内での行動履歴、メールの開封履歴など、可能な範囲で情報を収集し蓄積していくことが望ましいです。

顧客情報の分析

行動履歴や購買履歴などから特定の条件で顧客セグメントを切った上で、セグメントごとにどのような傾向があるのかを分析していきます。ただ、闇雲に分析をするのではなく、可能な限り仮説をもって、その仮説の検証を行うような視点で分析することが重要です。

効率的な施策展開

分析をした上で、顧客セグメントごとに施策シナリオを策定し、実施・効果検証・改善シナリオ策定を繰り返します。このプロセスにおいては情報収集、施策の展開、分析をシームレスに行うことが重要となるためMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が非常に効果的です。

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7.単品リピート通販を成功に導くために

生活者の価値観や嗜好が多様化したことで、明確なセールスポイントを持つこだわりの商品が注目されるようになり、独自の価値を提供する商品を開発して単品リピート通販に参入する企業が増えてきています。それに加え、すでに総合通販サイトを運営している企業も売上向上のために単品リピート通販を始めるなど、注目度の高さがうかがえます。

定期購入の継続が基本となるビジネスモデルですが、初回購入のハードルを下げることでまず商品を体験してもらい、そこからいかにして定期購入へとつなげていくかがカギとなります。自社ブランドのオリジナル商品を売り出す際は、ぜひ検討したい手法のひとつです。

一度接点を持った顧客に対して、継続による効果を適切に伝え、利便性の向上を顧客視点で追求し、コミュニケーションをとりながら、将来の優良顧客に育成していくことが、より多くの購入者を定期購入につなげ、良好な関係性を構築することにつながります。

※2021年5月時点の情報です。

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