マーケティングのDXに必要な「コンテンツ供給力」とは?

インターネットで買い物をする人が増え、ECサイトのニーズが高まり、マーケティングにもDXの波が押し寄せています。業務効率化はもちろん、売り上げの向上にもつなげていくことのできるDXは、企業の成長に必要不可欠なものとして注目を集めています。しかし、その陰にある「コンテンツ供給力」という課題を認識できている企業はそう多くありません。

今回は、マーケティング担当者が見落としがちなコンテンツ供給力とその重要性について、2回に分けて解説していきます。

1. コンテンツ供給力とは

コンテンツ供給力とは、「安定して継続的に新しいコンテンツを制作し、顧客に提供し続けられる力」のことを指します。インターネット上に広告を出し、多数のチャネルで顧客の興味を引き続けるためには、クオリティの高いコンテンツの継続的な提供が不可欠です。
しかし、マーケティングのDXを支援するサービスは分析やデータ管理に関するものが主流となっており、コンテンツ供給力については置き去りになっているのが実情。DXの基礎となるコンテンツ供給力が改善されないままでは、チャネルごとに必要となる大量のコンテンツを用意しきれず、近いうちに効果的なマーケティングもままならなくなってしまうでしょう。

マーケティングのDXで効果を発揮するためにも、コンテンツ供給力を重要視する必要があります。

2. なぜマーケティングのDXにコンテンツ供給力が必要なのか

マーケティングのDXは、データの統合やMAなど顧客行動を分析・理解する基盤を整える部分にフォーカスしたサービスがほとんどです。しかし、顧客を次のステップに進めるための魅力的な情報が詰まったコンテンツを提供し続けられなければ、顧客とのコミュニケーションが途絶えてしまい、商品の購入へとつなげることが難しくなります。このように、投資したテクノロジーを最大限に有効活用できない状況は、企業にとって機会の損失に他なりません。

例えば、データ統合やMAにより可能になるパーソナライズ施策は、顧客一人ひとりに合わせたマーケティングが行えるため効果的で、顧客満足度やコンバージョン率の大きな向上が見込めます。その反面、コンテンツ制作の負荷が高く、慢性的な人手不足に陥りやすいデメリットがあります。このようなコンテンツ不足が原因で一部の施策しか実施できず、企業の成果が小さくなってしまうケースは、決して少なくありません。

コンテンツ供給力は、マーケティングのDXが持つ可能性を最大限に引き出すための必須条件といえるでしょう。

3. コンテンツ供給力獲得の第一歩は、コンテンツ管理の一元化

3-1. なぜコンテンツ管理を一元化しなければならないのか

コンテンツを安定的かつ継続的に提供していくために、なぜコンテンツ管理の一元化が必要になるのでしょうか。まず、マーケティングのDXに対応できるよう新しいコンテンツを制作し続けるには、次に挙げる2通りの方法が考えられます。

  • 予算や人員を増やす
  • リソースはそのままに生産効率を上げる

予算や人員に余裕のある企業は少なく、前者の対応は現実的でないため、後者の「リソースはそのままに生産効率を上げる」方法を選択するケースがほとんどでしょう。一見するとコンテンツ制作業務自体には問題が無く、現在の環境で生産効率を上げれば良いと考えがちですが、いざふたを開けてみるとルーティンワークや属人的なやり取りで業務が構成されていることが分かります。

具体的には、「他部署で制作済みのコンテンツと同様のものを重複して制作している。」「各チャネルの仕様にあわせたフォーマット変換などのルーティンワークに多くの時間を費やしている。」「どのようなクリエイティブで訴求するべきかの判断が担当者個人の経験や勘に依存している。」など、コンテンツ制作の現場そのものが、DXとは遠い状況にあるといえるでしょう。

制作のムダをなくして生産効率を上げるには、コンテンツを「資産」として考え、その価値を視える化することが重要になってきます。その上で、誰もが社内に存在するあらゆるコンテンツ資産を正確に把握でき、即座にアクセスできる環境を整えなければなりません。そのような環境整備がすなわちコンテンツ管理の一元化であり、制作の生産効率を上げてコンテンツ供給力を獲得するのに必要不可欠なステップなのです。

3-2. コンテンツ管理の一元化で重要な3つのポイント

①メタデータや分類タグの付与

コンテンツ管理の一元化は、あらゆるコンテンツをやみくもに1カ所に集めれば良い、ということではありません。全てのコンテンツは、誰でも見つけやすく検索性の高い状態で管理することで初めて、社内で活用できる「資産」となります。そのためには、メタデータや分類タグの付与が有効です。

例えば、商品情報やキャンペーン情報、著作権や使用期限などのコンテンツに関する情報をメタデータとしてコンテンツにひもづけるほか、各コンテンツの内容を端的に表すキーワードを分類タグに設定することで、確認したいコンテンツの迅速な抽出が可能になります。コンテンツ制作では既存データへのアクセスが頻繁に発生するので、検索性の高さは生産効率の向上に欠かせない要素です。また、商品やキーワードごとにコンテンツ数を集計してコンテンツの過不足を確認するなど、目的に応じて広く活用できる点もメリットでしょう。

②素材やパーツ単位での管理

目的のコンテンツに素早くアクセスできても、そのデータが加工に適さないものであった場合、再加工にかかる作業負荷は無視できません。これは、制作コストの増加や顧客に提供するまでのリードタイムの延長だけでなく、結果としてROIの低下やビジネスの機会損失を招き、あらゆる面でロスにつながります。制作済みのコンテンツだけでなく、必要に応じて加工しやすいよう素材やパーツ単位で管理することも、生産効率の向上に欠かせないポイントです。

例えば、カタログに掲載されている商品画像とテキスト情報を広告配信用のバナーで転用するとします。多くの場合はカタログのDTPデータを取り寄せるところから始まり、掲載ページの特定、該当商品の画像・テキスト情報の抜き出し、画像のカラープロファイルの確認・変換、アウトライン化されたテキストの打ち直しといった工程を経て、ようやくバナー作成に取り掛かることができます。このように加工済みのコンテンツのみを管理していると、同様の工程を他メディアへ展開するたびに行わなければならず、社内全体で考えた時に非常に多くの時間をロスしていることになります。こういったムダをなくすために、作成したコンテンツをレイアウトとあわせ、素材やパーツ単位で管理することが重要になってきます。

③成果指標(クリック率やCVなど)とのひもづけ

コンテンツを一元管理する上で、コンテンツ資産の価値をクリック率やCVなどの成果指標を用いて視える化する必要があります。過去に制作したどのようなコンテンツがターゲットの心に刺さったのか、高い評価を得られたのかを知ることで、新しく制作するコンテンツの方向性を定めることができ、デザインに関する判断を迅速に行えるようになるからです。

例えば、アクセス解析ツールと連携し、クリック率やCVなど顧客の行動喚起につながる統計情報を取得・蓄積しているコンテンツが複数あるとします。コンテンツが成果指標とひもづけて管理されていれば、クリック率やCVなどの情報から成果が高く価値のあるコンテンツ素材を抽出し、ターゲットに響くクリエイティブの共通項や必要条件を分析することが可能になります。さらに、Web上で評価の高かったコンテンツを優先してカタログやサイネージで使用するなど、効率的なメディア展開にも役立てることができるでしょう。

3-3. コンテンツ管理に役立つサービス

コンテンツ管理の一元化を社内の既存環境で行ったり手運用で行うことは現実的でないため、デジタルアセットマネジメント(DAM)システムと呼ばれるサービスを活用するのがお薦めです。ここでは、代表的なサービスをいくつか紹介していきます。

Adobe Experience Manager(AEM)

Adobe Experience Managerは、コンテンツ制作に欠かせないクリエイティブツールを提供するAdobeが開発したデジタルアセットマネジメントシステム。PhotoshopやIllustratorなどとシームレスに連携でき、クリエイティブの制作業務とコンテンツマーケティング業務の総合基盤として利用できるのが大きな特徴です。クリエイティブツールの延長線上で扱えるためコンテンツ制作の場になじみやすいほか、開発者による機能拡張も可能で、AIや機械学習を活用した自動処理が行えるなどのメリットがあります。

CIERTO

CIERTOは、マイクロソフト社認定パートナーである株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパンが提供するデジタルアセットマネジメントシステム。画像や動画、商品情報、Adobe制作データなどさまざまなデータをプレビュー付きで一元管理でき、制作関係者間でのオンライン共有を実現します。導入に関してはライセンス契約のほか、スモールスタートに対応したクラウドサービス契約も用意されています。

OpenText Media Management

OpenText Media Managementは、情報管理事業を展開するカナダの企業オープンテキストが提供するデジタルアセットマネジメントシステム。画像や動画、ポッドキャストなどリッチメディア資産の管理に適しており、メタデータを使用することで簡単に検索が行えます。また、スマートフォンに対応しているため、外出先でもコンテンツにアクセスすることが可能です。

4. コンテンツを活用しやすい環境づくりがマーケティングのDXを加速させる

マーケティングのDXが注目され、顧客行動を分析・理解する基盤の重要性についての認知が進みつつあります。しかし、煩雑なコンテンツ制作環境が手つかずのままでは、マーケティングのDXが持つ可能性を引き出すことは難しいでしょう。コンテンツ管理を一元化し、誰もが見つけやすく活用しやすい環境を整備することで、クオリティの高いコンテンツをスピーディかつ大量に生産可能な「コンテンツ供給力」を獲得できます。自社のコンテンツ制作に関する課題は顕在化しづらく、担当者の盲点になりやすいですが、このことはマーケティングのDXにあたって避けては通れない重要なポイントといえます。

次の記事では、コンテンツ供給力の獲得に必要なもうひとつの要素、「コンテンツの作り方改革」とその考え方について解説していきます。

コンテンツ供給力の獲得に欠かせない「コンテンツの作り方改革」とは?

おすすめコンテンツ