2019/11/6

全国4自治体・学校における「個別最適化学習」の実践➀
データを活用して、一人ひとりに最適な学びを提供する

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これからの予測不可能な社会で子どもたちが未来の創り手となるために必要な資質・能力を育むため、学校教育に「EdTech」(教育×テクノロジー)を取り入れて、個に応じた指導の充実・深化を図ることが求められています。
こうしたなか、全国の自治体・学校では個人の学習状況等の学習履歴(スタディ・ログ)を学びのポートフォリオとして蓄積し、その分析結果に応じて「個別に最適化された学び」を提供する取り組みが始まっています。
コラムでは、奈良県奈良市の事例と、奈良市と同様の取り組みを進める3自治体での実践事例を紹介していきます。

<奈良市>
「学びなら」事業で子どもたち一人ひとりにそれぞれの学びを

■データに基づいた指導法の改善に着手

奈良市では、来る「Society5.0」時代を見据え、子どもたちに質の高い教育を実現することを目的に、2016年度より「学びなら」事業として、小学校において児童のスタディ・ログを活用した取り組みを始めました。その背景には、経験豊富な教員の大量退職に伴って指導技術の継承が困難な状況を迎えていることや、全国学力・学習状況調査の結果から、学年が上がるにつれて学習へのモチベーションが低下していることがありました。
そこで、「このような状況を踏まえて一人ひとりに最適な学びを提供していくためには、データに基づいて、正確な児童の見取りを行うことや様々なデータを活用した指導法の改善が必要であると考えました。」(教育委員会担当者)

■児童個々の習熟度に応じた復習が可能に

「学びなら」事業は、市内全43小学校において4~6年生の児童が取り組んでいます。日常行う算数の単元テストの結果をAI的に分析し、児童の習熟度や苦手分野に応じた「レコメンドシート(復習教材)」が提供されます。
「学びなら」導入後の変化として、児童一人ひとりのつまずきに応じた指導が可能になりました。「児童の習熟度が正確に把握できるようになり、教員は児童に合ったきめ細かな指導ができるようになりました。また、児童自身も自分の習熟度に合った問題が提供されるため、学習意欲の向上にもつながっています。」(教育委員会担当者)
これを裏付ける事例として、各児童の1学期間のデータを蓄積した「個人カルテ」を使っての効果的な指導実践例を紹介します。奈良市立大宮小学校の松下教諭は個人カルテを、児童に"学びが定着しているか"に注目して活用。単元テストと期末テスト(単元テストの類似問題が出題される)の結果を比較して、「児童Aさんについて、単元テストではできたが期末テストではできなくなる傾向を見つけ、復習問題に繰り返し取り組むことの大切さを伝えたところ次の学期では期末でもきちんと解けるようになりました。

児童Bさんは単元テストでできなかった問題を"レコシートで全部やり遂げたら期末テストはできるようになるよ"と声掛けしたところ、期末テスト時には定着し、できるようになった。」など定着度に応じた指導を実施。すると、児童は"自分がどんな問題ができなくなったか"、"どんな問題ができるようになったか"について関心を抱くようになったといいます。

このように、今まで先生方が経験や勘に頼っていた部分に、データによる裏づけを追加することで、「児童に何が身についているのか、いないのか」を読み取る、「児童の内面の変化に手立てを講じる」といったことが、より正確に行えるようになっているのです。

■データ活用範囲の拡大にも意欲

今後の取り組みとしては、分析データの利活用をより進めていくことを挙げており、その1つが、経年データを児童への学びのサポート資料として活用することです。
「本システムでは算数という系統的な学習において、学年を遡ってどの段階でつまずきが見られたかなどを見つける『ナレッジスコア』が提供されます。これにより、ベテラン教員が経験により持ち得てきたノウハウが、資料を通して若手教員でも身につけられるようになると期待しています。」(教育委員会担当者)。

他にも、学校現場で日常使われる単元ごとの評価用テスト(出版会社発行)の自動集計、集計データ活用の検討が進んでいるとのことで、算数以外の教科への拡大も取り組みを始めました。将来的な中学校での活用も視野に、今後もより一層データの利活用を進めていくために必要な統合的にスタディ・ログを管理・分析・活用する体制づくりに力を入れていく方針です。

■ひとりひとりを伸ばしたい先生の思いに応える、学習サービス

「学びなら」の取り組みを支えるのが、DNPの「Realtendant®(リアテンダント)」学習サービスです。
リアテンダントは、「様々な教材」 と「学習支援機能(データ蓄積、集計・分析)」で、「個別に最適化された学び」の実現を目指すクラウドサービスです。(※センターサーバへの導入も可能です。)先生の業務を効率化しながら指導の質を高める、学校の「働き方改革」を推進することができます。
奈良市をはじめ、全国8自治体・70校で導入される※このサービスに、ご関心を持たれた方はぜひお問合せください。
※2019年度6月末現在

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