2019/11/20

全国4自治体・学校における「個別最適化学習」の実践② データを活用して、一人ひとりに最適な学びを提供する

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これからの予測不可能な社会で子どもたちが未来の創り手となるために必要な資質・能力を育むため、学校教育に「EdTech」(教育×テクノロジー)を取り入れて、個に応じた指導の充実・深化を図ることが求められています。
こうしたなか、全国の自治体・学校では個人の学習状況等の学習履歴(スタディ・ログ)を学びのポートフォリオとして蓄積し、その分析結果に応じて「個別に最適化された学び」を提供する取り組みが始まっています。
コラムでは、福岡県北九州市と東京都荒川区の実践事例を紹介します。

<北九州市立中原小学校> 
教員の指導力向上にAI分析を活用

■若手と熟練教員クラスのテスト結果を分析

中原小学校では、奈良市同様の取り組みを2019年4月より4年生の2クラスで開始しました。同校での取り組みの特徴は、単元テストの結果が返ってくるごとに、2クラスの集計データを4人の先生(校長先生、教務主任の先生、担任の先生二人)がチームになって比較、そこから読み取れた“クラス間の差”原因を分析し、教員の指導力向上に活かしていることです。「4年生の担任は、若手の先生と熟練の先生でペアを組んでいます。長年の指導経験を持った熟練の先生クラスの結果と、若手の先生クラスの結果を比較することで、どのような指導改善が必要か検討、実践を進めています。」(藤川主幹教諭)

■改善点を発見、今後の指導につなげる

こうした取り組みの一例が、「折れ線グラフの“縦の軸”が何を表しているか?」という問題の分析です。「この問題は、熟練の先生クラスの正答率が100%だったのに対し、若手の先生クラスは61%に留まっていました。誤答分析したところ、正しくは“気温”と解答すべきところ多くの児童が“温度”と誤答していることが分かったため、正しい表現で解答する様に若手先生から児童にあらためて指導をすることにしました。」
また一方で、熟練の先生が指導するクラスの正答率が19%なのに、若手の先生のクラスでは76%と全く逆の結果になる問題もあり、熟練の先生の指導をより良くすることにも活用できる可能性が見えてきました。

<荒川区立大門小学校> 
学び合いが生まれる教室に変化

■問題解決の過程や学びの本質を知る

大門小学校では教育課題の1つに、学力の向上(基礎的・基本的な学力の確かな定着)を掲げています。そんな中、従来の学校文化の常識で基礎的基本的な大量の問題を繰り返すと学習が得意な児童はもてあまし、苦手な児童はこなすだけで満足してしまう恐れがあったと同校の菊﨑教諭は話します。「つまり、問題解決の過程や学びの本質を知ることを厭うようになってしまう。これは、単元が終わってすぐのテストで児童の93%が正解した問題でも、期末テストではそのうちの30%の児童が不正解になってしまうデータから見ても明らかでした。」
そこで、「学習が苦手な児童こそ問題の本質を考えてほしい、得意な児童にはさらに探究心を掻き立てたい」と考え、個別最適化学習に取り組むことで真の「学力向上」を目指しました。

■個人の特性を分析した復習教材で

同校では児童自身に、“学びたいという欲求”に気づく機会を与えようと、奈良市同様の取り組みを18年度に試行、19年度からは全学年(4~6年生)で本番採用しました。18年度の試行開始当初は従来のテストとの違いに戸惑った児童もいましたが、レコメンドシートの意義(個々の特徴に応じた手当)を先生から伝え続けたところ、2学期末のアンケートでは「楽しい」「自分のことがよくわかる」「やる気がでる」という児童の感想が見られるようになりました。

■本取り組みにテストを一本化、成績表の作成にも

その上で、これまでの成果については「自分はどこが苦手で、どこが得意なのかを、一人ひとりの児童が把握できるようになったことです」(菊﨑教諭)。これは「児童生徒の学習評価の在り方について」で中央教育審議会が述べている「自己調整力」※にも通じる資質になります。また、そのことを表す児童の変容として「授業でも、ここではみんなの役に立てる、ここは友達に質問しようなど、得手不得手にかかわらず積極的に取り組むようになり、教室に学び合いが生まれるようになりました」と評価。こうした成果を踏まえ、19年度は従来の評価用テストの使用をやめ、単元末・学期末テストを本取り組みに一本化し、成績表づけにも活用するようになっています。
※「児童生徒の学習評価の在り方について(報告) 」(文部科学省・2019年1月公表)

■「個人カルテ」の活用も視野に

今後の課題としては、「簡単な復習問題が返されると、"自分はできないんだ"と感じる」、「難しい問題が届くと、頑張って損した」と思う児童が一部にいることと指摘。自己の学びに向かう姿勢に目が向き、「レコメンドシートに一生懸命取り組んでよかった」と実感できるように教師が導いていくことを挙げ、「そのためにも、単元テストで継続的に蓄積した『個人カルテ』を活用して児童の理解を深め、一人ひとりの成長を促していきたい」と抱負を語りました。

ひとりひとりを伸ばしたい先生の思いに応える、学習サービス

これら2つの学校の取り組みを支えるのが、DNPの「Realtendant®(リアテンダント)」学習サービスです。
リアテンダントは、「様々な教材」 と「学習支援機能(データ蓄積、集計・分析)」で、「個別に最適化された学び」の実現を目指すクラウドサービスです。(※センターサーバへの導入も可能です。)先生の業務を効率化しながら指導の質を高める、学校の「働き方改革」を推進することができます。
奈良市をはじめ、全国8自治体・70校で導入される※このサービスに、ご関心を持たれた方はぜひお問合せください。
※2019年度6月末現在

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