2020/3/6

こんなところにも、接着フィルム

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次世代の接合技術として、各種工業製品から住宅設備、医療に至るまで幅広い分野で欠かせないものとなっている接着/粘着フィルム。あなたが普段利用しているこんな製品にも、使われています。

■事例1:スマートフォン

生活になくてはならないスマートフォンですが、内部には多くの精密な電子部品が内蔵されています。内蔵される電子部品は、接着のみならず、「導電」と「絶縁」という相反する特性を部品ごとにクリアしなければなりません。また、表示部分には、透明度が求められる光学用フィルムをはじめ、飛散防止フィルムや防水フィルムなど多くのフィルムが貼られています。

スマートフォンに使われる粘着・接着フィルム

◎Pick up:機能性付与と省スペース化に貢献する粘着シートが活躍

静電気を利用して指の位置を認識するタッチパネルモジュールは、液晶モジュール、タッチパネル、カバー材、飛散防止フィルムなど異種材料で構成される多層構造で、「導電性」「絶縁性」「耐久性」「透明性」などさまざまな機能が必要となります。そこでは、コンパクトなボディに収まり、液剤のはみ出しがない、極薄の粘着シートが多用されています。
また基板に使われている半導体の製造工程では、リフロー工程などの高温工程に耐える耐熱粘着フィルムや、ICチップを切り分けるダイシングの際、一時固定と取り外しができる粘着フィルムが使われています。

■事例2:自動車

乗る人を守る強度と、燃費を高める軽さ。さらに人を惹きつける高度な意匠性。相反する特性を求められる自動車は、接着フィルムがさまざまな部分に利用されている工業製品のひとつです。重いバッテリーが必要な電気自動車には、軽量化のために金属だけでなくプラスチックなどの異種材料(マルチマテリアル)を接合する技術が重要で、今後その流れはますます加速していきます。

自動車に使われる粘着・接着フィルム

◎Pick up:CFRP導入で、高まる異種材料接着のニーズ

内装やエンジン部での利用に加え、近年、高い強度と軽量性をもつCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が使われるようになった外装で、車体の骨格にあたる高張力鋼板(ハイテン)との異種材料接着材としてニーズが高まっています。特に、熱ひずみを低減できる常温硬化タイプが注目されています。また、スポット溶接とは異なり面接合ができるため、従来よりも車体剛性を高められるというメリットもあります。

■事例3:航空機

強度と軽さの両立が必要な点は自動車と同様ですが、強い応力がかかる航空機ではさらに高い信頼性が求められます。従来、その構造体はアルミニウム合金などの金属板をリベットで接合していましたが、リベットは穴から亀裂が入る恐れもあるため、早くから接着剤利用の研究が進んでいました。

飛行機に使われる粘着・接着フィルム

◎Pick up:メンテナンス時の部品取り外しのため、粘着フィルムも活用

強度と軽さを両立できる素材として基本フレームの中に採り入れられているハニカム構造体の多くは、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の表面板とAFRP(アラミド繊維強化プラスチック)のコアといった異種材料接着が前提となるため、早くから接着剤利用の研究が進んでいました。課題となった強度については、高い接着力をもち、隙間に浸透しやすく、熱にも強い、フェノール樹脂からつくった接着剤を利用することで対応。また、安全性を保つために必要なメンテナンス時に、部品を取り外す必要があるため、粘着フィルムを利用している箇所もあります。

事例4:建築物

施工性、防音性、美観性、気密性や断熱性の向上といった特徴から、すでに合板、シーリング、養生、補修などさまざまな用途で利用されている建築物用の接着剤。近年では、耐震性のさらなる向上を目的として、柱や壁、筋交いなど建物の骨格を支える構造部分の接着にも多く使われるようになっています。

住宅に使われる粘着・接着フィルム

  • ブーフィング=アスファルトがロール状になったもの。遮熱のために屋根に貼る。

◎Pick up:需要が高まる接着シート&フィルム

現在普及している建築物用の接着剤の多くは液状ですが、近年ではシートやフィルム形状のものへのリプレースが進みつつあります。前者の場合、作業者によって塗布量にばらつき、出来栄えや使用量が安定しないケースがありましたが、シートやフィルム形状であれば、出来栄えや使用量が安定します。また、重量も液状のものより軽量なため、搬入作業の負担も軽減できます。長年にわたりさまざまな分野で使われてきたことで強度や耐久性の信頼性も確保されつつあり、構造部分での利用も研究が進んでいます。

 


【資料ダウンロード】粘着・接着フィルム製品ラインナップ(別ウィンドウで開く)




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モノとモノを接合する。工業製品の製造に欠かせないこの技術に、今、イノベーションの波が押し寄せています。それは、従来主流だったボルトや溶接を利用する「機械的接合」に加え、接着剤や粘着剤を利用する「化学的接合」の技術革新が進み、その利用シーンが大きく広がりつつあること。モビリティや電子機器の進化に合わせ、そのニーズはますます高まっていくとみられています。

近年の技術革新によって、新たな機能や用途が次々と生まれている粘着・接着製品。製造現場における課題を解決したり、さらなる効率化を果たしたりしている事例の一部をご紹介します。

DNP熱溶着フィルム

金属、樹脂、ガラスなどの異材質を接着できるフィルムです。糊のはみ出し、残留溶剤、アウトガスの発生が少ないです。

DNP粘接着フィルム(熱硬化タイプ)

初期粘着力があるため、両面テープのように仮固定でき、加熱すると、ネジ止め並みに強固に接着できます。液状接着剤の配合やネジ止めなどが不要になり、工程の簡素化が可能です。

DNP耐熱粘着フィルム

電子部品の製造工程で加熱工程やエッチング、メッキ等の工程にも耐薬品性があり、 使用後は容易に剥離が可能で糊残りがない粘着テープです。

異種材料を接着する

熱や化学反応により溶融・硬化するフィルムの特性を活かし、2つの素材を接着することができます。 DNPは、リチウムイオン電池用部材のほか、モビリティ製品などでの利用・研究に取り組んでいます。