2020/1/14

「高機能フィルム展」特別講演:機能性フィルム関連の取り組み

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2019年12月4日〜6日、千葉県の幕張メッセで開催された「高機能フィルム展2019」で実施した、DNPの「大日本印刷の機能性フィルム関連製品に対する取り組み状況」(高機能マテリアル事業部長・執行役員・飯田満)の概要をご紹介します。

講演する飯田執行役員

会場の様子

目次

1.「印刷」で培った高度な技術力

DNPは「P&I」(印刷と情報:Printing and Information)の強みを掛け合わせて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に努めています。印刷事業の3部門(情報コミュニケーション部門、生活・産業部門、エレクトロニクス部門)及び清涼飲料部門の主なビジネスと売上高構成比は、図の通りです。

印刷事業3部門及び清涼飲料部門の主なビジネスと売上構成比

一見すると「なぜ、印刷会社が」と思われる事業があるかもしれませんが、実はそのすべてに印刷事業で培った高度な技術力が活かされています。印刷の工程に沿って見ていくと(下図参照)、「企画設計」工程からセキュリティ・画像処理認識・デザインなどの情報処理技術が、「製版・刷版」工程からエッチング加工・精密彫刻・賦型(ふけい)・ホログラムなどの微細加工技術が、「印刷」工程からコーティング・真空蒸着・電子線(Electron Beam)関連などの精密塗工技術が、「製本・加工」工程から解析・ラミネート・成型・無菌充填などの後加工技術が育まれてきました。世界最大級の総合印刷企業として、蓄積された技術力は他の追随を許さない多様性と奥行きを備えています。

DNPは、これらのコアテクノロジーを応用・発展させることで、「4つの成長領域」〜「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」〜において、企業や生活者、そして社会に価値を届ける多彩な製品・サービスを提供しています。中でも機能性フィルムは、複数の成長領域に関わるポテンシャルの高い事業です。DNPの他の技術やノウハウとも親和性が高く、大きな可能性を秘めています。

2.多彩な分野で活躍するDNPの機能性フィルム

DNPは、機能性フィルムの付加価値を「光を制御する」「表面を彩る」「中身を護る」「異種材料を接着する」「表面を強くする」「電気を通す」という6つのカテゴリーに分類し、多彩な分野に製品・サービスを提供しています。

例えば、包装事業においては、環境配慮を追求した「GREEN PACKAGING」シリーズ、“ヒトから考える”使いやすさを追求した「SMOOTH PACKAGING」シリーズ、中身を保護するなどの機能性を追求した「ADJUST PACKAGING」シリーズの3つのラインナップを展開しています。特に、環境配慮については、DNPが中心となってパートナー企業の輪を広げるなど、持続可能な社会の実現に向けて意欲的な活動を続けています。それがリーディングカンパニーとしての社会的責任だと考えています。

電子線照射のイメージ、EBコーティングの床材イメージ
左:電子線照射のイメージ
右:EBコーティングの床材イメージ

また、住宅やオフィス、商業施設などの内外装材から、空間のトータルデザインまで総合的に手がける生活空間事業を展開しています。コアテクノロジーであるEBコーティング技術とスペースデザインの豊富なノウハウを強みとしています。特に電子線を当てると瞬時に硬化して、耐候性などの機能が高まるEBコーティングは、DNPオリジナルの技術です。成形が自在な加飾製品は、自動車の内外装においてもさらなる普及が見込まれており、モビリティ分野の事業を拡げていく計画です。

左:ナノインプリント用マスターテンプレート
右:フォトマスク

金属製の印刷版をつくることで培われた、微細加工やパターニングなどの世界最高水準の技術に支えられているエレクトロニクス部門では、ディスプレイ製品、電子デバイス、光学フィルムの3ジャンルを中心に、世界シェアトップの製品などを展開しています。

3.多様な社会課題に応え、「未来のあたりまえ」をカタチにするDNPの製品・サービス

リチウムイオン電池用バッテリーパウチ
リチウムイオン電池用バッテリーパウチ

ラミネート、コーティング、エッチング、製膜といった技術を中心に、新たな価値を持つ機能性商材を提供する高機能マテリアル事業では、近年成長が著しいリチウムイオン電池を包むバッテリーパウチや太陽電池用部材を展開しています。

次世代のクルマ社会のキーワード「CASE」※のひとつにも掲げられている自動車のEV化は、世界の主要メーカーにとって喫緊の課題です。DNPは、当初から車載用を含めたリチウムイオン電池用のバッテリーパウチの開発を進め、現在では多くのメーカーから採用されています。金属缶タイプからの置き換えが進むなか、トップメーカーが求める高度な要件定義に合わせ、当社は技術力を日々アップグレードしています。

※「CASE」=2016年のパリモーターショーで提唱されたキーワード。自動車産業の変革を象徴する4つのテーマである「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(カーシェアリング)」「Electric(電気自動車)」の頭文字をとっている。

また、世界的に市場が拡大している太陽電池についても、DNPのオレフィン材を利用した封止材は、海外でも高く評価されています。

そのほか、高機能マテリアル事業の商品として、透明蒸着フィルム「IB(Innovative Barrier)フィルム」や、環境性能と価格競争力を両立した植物由来包材「バイオマテック」、リサイクルしやすいように単一の素材を使った「モノマテリアルフィルム」などの一連のバリアフィルム製品を展開しています。

特に、透明蒸着のIBフィルムは、水蒸気や酸素等に対する高いバリア性はそのままに、中身が見えるという機能を付与したことで、食品用途から医療用途まで利用シーンが大きく広がっています。特にヘルスケア分野については、これまで他の領域で培ってきたDNPの技術をもとに、多様なニーズにお応えしていきたいと考えています。

透明蒸着フィルム IBフィルムのイメージ図

DNP多機能断熱ボックス
DNP多機能断熱ボックス

2019年春には「DNP多機能断熱ボックス」が、第28回地球環境大賞の「大賞」を受賞しました。この製品の高い断熱性を活用し、物流分野などで、環境負荷低減・フードロス低減・ドライバー不足・医薬品流通の管理負荷軽減といった、さまざまな社会課題や企業のニーズに応えていきます。

DNPは、社会や人々に価値を提供する私たちの製品・サービスが、いつも身近に、あたりまえのように存在していくように、「未来のあたりまえをつくる」ことを目指しています。そのなかで、機能性フィルムは非常に重要な役割を担っており、さらなるイノベーションを推進していきます。

※記事内に登場したシェア比率などは、すべてDNP調べ

※「高機能フィルム展2019」のDNPの出展内容は こちら をご覧ください。