2020年2月18日

DNPの学習支援プラットフォーム「リアテンダント」を全校導入した相模原市 集計業務の効率化から、データに基づく指導の改善に着手

大日本印刷(DNP)の学習支援プラットフォーム「リアテンダント®」*1は、教員の「働き方改革」を実現しながら、児童生徒一人ひとりに応じた学びや先生の指導を支援するものとして、フルクラウドモデル、自治体導入モデル、校内導入モデルなど、自治体・学校の環境に応じてサービス提供を行っています。

全国で「リアテンダント」の導入が進む中、政令指定都市である神奈川県相模原市においては、全市立小中学校108校で導入され、活用が進んでいます。同市は2018年度に、教員の長時間労働の要因であるアンケートの集計業務の改善を目的に「リアテンダント」校内導入モデルを導入しました。回答済みのアンケートを学校の複合機やスキャナで読み込むだけで結果が自動的にグラフ化されることから、集計業務が効率化されました。この利便性が評価され、同じく業務負荷の高い『定期テストの採点や集計業務にも使いたい』という要望が学校から上がり、2019年度には中学校全校の採点・集計業務でも利用を開始し、アンケートと同様に効率化の効果が出ています。

採点の結果をもとに蓄積される正誤情報等のデータ(スタディ・ログ)を指導に活用する学校も出始めていることから、同市では今後、蓄積されたスタディ・ログの教員間での共有や、詳細な分析による、データに基づく指導の改善についての実証研究に取り組む意向です。

導入経緯

相模原市の情報化施策

相模原市は、市立小中学校の児童生徒の情報活用能力育成や、校務の効率化を目的に「学校の情報化推進計画(平成29年度~31年度)」*2を策定、ICTを活用した授業改善や校務の情報化などを進めてきました。その一環として、2018年度に校務支援システムの導入や校務用パソコンの更新と同時に、学校現場の課題であったアンケート集計業務の効率化を目的に、「リアテンダント」を全小中学校109校*3に導入しました。

回答済みのアンケート用紙をスキャナで読み込むだけで、集計結果が自動的に表やグラフ化され、記述回答も一覧で参照できるなどの利便性が市内各校で評価され、学校評価アンケートや授業アンケートなどで「リアテンダント」の活用が進みました。また、教育委員会が、「リアテンダント」を活用することでこれまで取り組めなかった大規模なアンケート(市内小中学校の児童生徒5,000人を対象)に踏み切るなど、集計作業の負荷軽減に伴いアンケートの実施規模の拡大や回数の増加を実現しました。

アンケート集計から、テスト採点へ利用を拡大

さらに、アンケートと同様に課題となっていたテストの採点効率化においても、「リアテンダント」活用のニーズが高まったため、モデル校にて期末テスト(英語・数学・理科の3科目)で、採点機能の実証評価を実施しました。その結果、数学のテストでこれまで2時間かかっていた採点から結果入力までの作業が、約1/3の40分に削減されるなどの効果が表れたため、2019年度、中学校全37校に「リアテンダント」のテスト採点・集計機能が追加されました。

相模原市の「リアテンダント」導入ステップ(同市教育委員会作成)。「ステップ1」のアンケート集計を経て、現在は「ステップ2」のテスト採点での活用が進んでいる。今後は「ステップ3」のデータ分析による指導の改善に向けた取り組みを目指す。

「リアテンダント」活用の発展的効果

教員が自作した定期テストを教員のパソコンでデジタル採点することで、観点別集計を効率的に行うことが可能であり、学校によっては、全科目・全教員での活用も進んでいます。また、全校生徒800名規模のマンモス校では、採点業務が効率化されたことを受け、単元テストや小テストを増やすことで、より正確な評価につなげる取り組みが始まるなど、効率化で生まれた時間を個別指導や授業の改善に充てるといった、教員の意識の変化が生じています。さらに、採点の結果、設問別の正誤結果がスタディ・ログとして蓄積され、個人やクラスの学習傾向が見える化されるため、これらのデータを指導に活用する事例も出ています。

相模原市立相陽中学校におけるリアテンダント活用の動画事例
https://www.youtube.com/watch?time_continue=129&v=sHAP3otBetg&feature=emb_logo

「リアテンダント」活用校の声 (相模原市立相陽中学校 副校長 鈴木成之氏)

「テストの実施から学期評価提出までの期間が短いことから、今までは必要最小限の結果分析しかできず『評価のためのテスト』となっていました。「リアテンダント」は、採点結果から様々な分析データが得られるため、客観的な分析結果を基に、個別指導の充実や授業改善、保護者への説明など『指導と評価の一体化』が可能になると思います。単なる採点時間短縮に留まらず、子どもたちに効果的な教育活動を行う、という働き方改革の目的に迫る手立てになると思います」*4

今後の展開

同市では現時点において、「リアテンダント」によるスタディ・ログが、各教員のパソコンに分散されて蓄積されています。テスト採点での活用が進むにつれ、同一教科を担当する複数の教員間や管理職も含めて、全クラスのスタディ・ログを共有することで教員間のコミュニケーションを図り、指導に活かしたいというニーズが高まっています。

また、文部科学省の「GIGAスクール構想」により児童・生徒用タブレット端末の整備が進むことを受け、紙のテストだけでなく、タブレット端末で行うテスト・ドリルのスタディ・ログも一元管理し、指導へ活用することにも着目しています。DNPはこれらのニーズに対しても、2020年度からのモデル校の実証評価をサポートすることで、同市のスタディ・ログに基づく「個別に最適化された学び」についての取り組みを支援していきます。


*1 DNP学習クラウド 「リアテンダント]]>🄬https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1192360_1567.html
*2 相模原市「学校の情報化推進計画(平成29年度~31年度)」 
http://www.sagamihara-kng.ed.jp/jouhou-han/kyouikunojouhouka/kyouikunojouhouka.pdf
*3 導入後、1校が休校となったため、現在では108校となっています。
*4 同校の詳しい活用事例は、こちらをご覧ください。 https://www.dnp.co.jp/biz/case/detail/1193362_1641.html

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