2020年7月10日

文章のレイアウトで読みやすさを高める技術「読書アシスト」を期間限定で無償公開

7月10日から日本ユニシスと共同で実証実験を実施

大日本印刷株式会社(DNP)は、目線の動きを誘導するようなレイアウトを自動的に行うことで、文章の読みやすさを高める技術「読書アシスト」の研究・開発に2012年より取り組んでいます。DNPは資本提携している日本ユニシス株式会社と共同で、今回、専用サイト上で当技術によって無料の青空文庫の小説を変換後のレイアウトで閲覧できる実証実験を行います。この実験を通じて、読みやすさに関する利用者の声を集め、今後の商品化や機能拡張に活かしていきます。

〇実証実験の日時 : 2020年7月10日(金)~9月30日(水)

「読書アシスト」によって読みやすく変換したレイアウトイメージ(右)

【「読書アシスト」の主な特徴と表示方式】

「読書アシスト」は、独自の文章表示アルゴリズムによって、読んでいる最中の目線の動きをスムーズに誘導し、読むスピードを向上させる文字レイアウト変換技術です。日本語文における文節(意味のまとまり)ごとに目線を上手に動かせるように、文字配置や改行位置を調整することで、読むスピードが低下する要因となる、余分な目線の動きを減らします。DNPは2012年に、公立はこだて未来大学と共同研究を開始し、文章を読み進める際の人の視覚や認知のメカニズムを踏まえて「読書アシスト」を開発しました。

本技術を適用したレイアウトでは、1分間に読める文字数が、一般的に400~600字程度であることに対して、特別な速読の訓練をしなくても、最大で1,000文字程度まで、約1.5~2倍のスピードに向上させることができます。*1

①文字のベースラインを文節(意味のまとまり)単位で階段状に下げていく

②文節を分断しないよう改行位置を調整

③段落単位で行頭を階段状に一字下げ

④画面幅や文字サイズに応じて行間・行長・背景色などを調整

【実証実験の概要】

DNPは、2010年より電子書籍等を提供するハイブリッド型総合書店honto*2を運営しており、そのサービスの一環として、スマートフォンやタブレット端末で読みやすいテキスト表示の技術を研究してきました。近年、多様な情報機器で文章を読むことが多くなり、さらに新型コロナウイルスによる外出自粛で自宅での読書や学習、テレワーク等が増えており、文章を速くたくさん読みたいというニーズが高まっています。こうしたニーズに対してDNPと日本ユニシスは「読書アシスト」の技術を使った実証実験を行い、利用者の読書や学習などの効率性向上や新たなニーズを探っていきます。

今回の実証実験では、専用サイトとプラグインソフトを無償で利用できるようにして、利用者が準備した任意の文章を「読書アシスト」で読みやすく変換します。また専用サイト上で、変換表示した小説作品が閲覧できます。芥川龍之介「蜘蛛の糸」や太宰治「走れメロス」のほか、順次作品を増やしていきます。この実証実験を通じて、読みやすさに関する利用者からの要望などを収集し、今後の商品化や機能拡張に活かしていきます。

【今後の展開】

DNPは実証実験の結果を活かして「読書アシスト」の技術改良を行い、日本ユニシスとともに本格的なサービスの開始につなげていきます。


*1 解説論文「レイアウトデザインによる効率的な読みの支援」日本画像学会誌より。詳細はこちら → https://doi.org/10.11370/isj.59.219
*2 ハイブリッド総合書店hontoの詳細はこちら → https://honto.jp/
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