2016年6月3日

次世代半導体に向けナノインプリント用テンプレートの量産体制を強化

40億円の設備投資で10nm台の3D構造のNAND型フラッシュメモリーの需要増に対応

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、デジタル製品の記憶媒体である3D(3次元)構造のNAND型フラッシュメモリーの回路パターンを形成する際に使用が見込まれるナノインプリントリソグラフィ(NIL)*のテンプレート(型)の生産設備において40億円の追加設備投資を実施し、量産体制を強化します。

DNPは、従来からNILのテンプレート供給及び開発に注力しており、今回、3D構造のNAND型フラッシュメモリーの大幅な需要増加と低コスト化に対応するために、10nm台のNIL用テンプレートの生産体制を増強します。

*ナノインプリントリソグラフィ : 基材上の樹脂などに金型を圧着して、nm(ナノメートル:10-9メートル)からμm(マイクロメートル:10-6メートル)単位のパターンを安定的かつ安価で転写する微細加工技術です。

【設備投資の背景】

近年、NAND型フラッシュメモリーの需要が急速に増加しています。特にメモリーセルを垂直に配置した3D構造の同メモリーは、データ容量を飛躍的に増やせるため、スマートフォンやデータセンター向けに大幅な需要増加が見込まれています。市場では、NAND型フラッシュメモリーの出荷額が2015年の300億ドル前半に対して2018年には500億ドル台に達し、その70%以上が3D構造になると予測されています*。しかし、従来のフォトリソグラフィ技術による半導体製造方法では、工程が複雑な3D構造への対応が困難で、製造装置が高価になるなど、製造コストの増加が課題となっています。

この課題に対し、NILを活用した製造方法は、テンプレートから直接回路パターンを転写して複製するため、高価な光学系の設備を使用せず、比較的安価な露光装置での製造が可能です。また、製造工程も簡略化できるため、従来のフォトリソグラフィ技術による製造方法に比べ、約3分の1のコストダウンに繋がる革新的な半導体製造技術として注目されています。

*ガートナー社予測

【設備投資による量産体制強化について】

DNPは2003年よりNILのプロセスに必須のテンプレートの開発を行っています。2009年以降は東芝やキヤノンと共同でNILのプロセスの開発を進めると共に、これまで70億円の投資を実施して2015年には回路線幅20nmのテンプレートの量産体制を確立しました。また、次世代半導体に向けて10nm台のNIL用の原版となるマスターテンプレートと、マスターテンプレートから複製するレプリカテンプレートの開発にも成功しています。

世界の半導体メーカー各社は、3D構造NAND型フラッシュメモリーの製造コストの削減やさらなる微細化に対応するために、NILによる半導体製造技術の確立と生産体制を強化しています。DNPもこれら半導体メーカー各社の動きに対応すべく、今回、高解像度高速EB描画(マルチビーム描画装置)やドライエッチングなどの関連プロセス装置など、40億円の設備投資による増強を図り、NILテンプレートの需要増に対応できるよう量産体制を整備していきます。

【今後の展開について】

DNPは、今後の半導体のさらなる微細化とコスト削減に対応する開発・生産体制を強化することにより、NILテンプレートで2019年に約100億円の売上げを目指します。

 ※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更する場合もありますので、あらかじめご了承下さい。

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