2017年2月23日

ナノインプリント用テンプレートの量産複製装置を導入 10nm台の半導体向けの量産体制構築し供給を開始

次世代3D構造のNAND型フラッシュメモリーの需要増加と低コスト化に対応

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、次世代の3D(3次元)構造のNAND型フラッシュメモリーの需要増加と低コスト化に対応するため、ナノインプリント用テンプレートの複製装置を3月に導入し、半導体メーカーへ回路線幅10nm(ナノメートル)台のテンプレートの供給を開始します。

*ナノインプリント : 基材上の樹脂などに金型を圧着して、nm(ナノメートル:10-9メートル)からμm(マイクロメートル:10-6メートル)単位のパターンを安定的かつ安価で転写する微細加工技術です。

【ナノインプリント用テンプレート量産複製装置導入の背景】

現在、スマートフォンやデータセンターのサーバーなどの市場拡大に伴い、搭載されるNAND型フラッシュメモリーの需要も急速に増加しています。特にメモリーセルを垂直に配置した3D構造のメモリーは、データ容量を飛躍的に増やせるため、高機能化するスマートフォンやIoTの普及によりデータ量が急増しているデータセンター向けなどで大幅な需要増加が見込まれています。しかし、従来のフォトリソグラフィ技術による半導体製造方法では、製造装置が高価になるなど製造コストの増加が課題となっています。

この課題に対し、ナノインプリントリソグラフィ技術は、テンプレートから直接回路パターンを転写して複製するため、高価な光学系の設備を使用せず比較的安価な露光装置での製造が可能です。また、製造工程も簡略化できるため、従来のフォトリソグラフィ技術による製造方法に比べ約1/3の大幅なコストダウンが期待される画期的な製造技術として注目されています。

【ナノインプリント用テンプレート量産複製装置について】

DNPは2003年より半導体向けナノインプリント用テンプレートの開発を行っており、2009年以降は株式会社東芝(以下:東芝)やキヤノン株式会社(以下:キヤノン)と共同でナノインプリントリソグラフィのプロセスの開発を進めてきました。また、昨年からは、次世代半導体に向けて回路線幅10nm台の半導体向けナノインプリント用テンプレートの生産体制の構築に向けて、高解像度高速EB描画(マルチビーム描画装置)やドライエッチングなどの関連プロセス装置も含めて、総額40億円の設備増強を進めています。

今回DNPは、その最終段階として、3D構造のNAND型フラッシュメモリーの需要増加と低コスト化に対応するために、キヤノン製のナノインプリント用テンプレート複製装置を導入し、東芝への回路線幅10nm台の半導体向けの量産供給ラインを構築して供給を本格的に開始します。この量産複製装置の導入により、10nm台のナノインプリント用テンプレートを安定的にマスターテンプレートから複製、提供することで、半導体メーカーの製造プロセスの簡略化や大幅なコストダウンを支援していきます。

【今後の展開について】

DNPは、3次元NAND型フラッシュメモリー向けナノインプリント用テンプレートの供給を開始し、2019年には年間で約100億円の売上げを目指します。今後も、ナノインプリント用テンプレートの需要増と半導体のさらなる微細化とコスト削減に対応するべく、開発や生産体制を強化していきます。

なおDNPは、2月26日(日)~3月2日(木)に米国で開催される「SPIE Advanced Lithography2017(半導体リソグラフィ技術に関する国際会議)」でナノインプリントリソグラフィの開発について講演を行う予定です。

 
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