2017年10月6日

無菌充填システムの殺菌時間を最大1/2に短縮する制御ソフトを開発

商品の切り替え時間を大幅に短縮し、生産効率アップと環境負荷低減を実現

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、ペットボトル飲料などの無菌充填システム*1において、商品切り替えの際に充填作業の前処理として行う、機器の殺菌工程の時間を最大1/2に短縮する制御ソフトウエアを開発しました。
機器の殺菌時間を短縮することで、ペットボトル飲料の生産効率の向上と、CO2の排出量削減による環境負荷の低減を実現します。

【制御ソフトウエア開発の背景】

近年、生活者の嗜好が多様化するなか、飲料市場においても多品種少量生産が求められるようになっています。そのため、1台の無菌充填システムで生産する商品アイテム数が増加し、充填する商品を切り替える頻度が高まっており*2、その際に前処理として行う、飲料の殺菌等を行う液処理機器や充填機器の洗浄~殺菌の工程の時間短縮が求められていました。
今回DNPは、このニーズに応えて、充填システムの機器殺菌時間を従来の約半分に短縮する制御ソフトウエアを開発しました。


  
ペットボトルに飲料を充填(左)、無菌充填システム全景(右)

【新たに開発した制御ソフトウエアの概要】

〔従来〕 これまで無菌充填システムの機器を殺菌する際は、蒸気や熱水で飲料タンクや配送管を加熱して、液処理機器や充填機器内の10~20ヶ所に設置した全ての温度計の値が130℃になってから30分間、温度を維持した状態で殺菌を行っていました。そのため、殺菌の開始から、機器が常温に戻って飲料の充填を開始するまでには約1時間かかっていました。

〔制御ソフトウエアによる効果など〕
○DNPは、45年以上にわたる無菌充填システムの開発・販売を通じて培った最先端の技術・ノウハウを活用して、従来と同等の殺菌効果が得られる条件を設定し、殺菌時間を最大50%短縮する制御ソフトウエアを開発しました。本ソフトウエアの導入により、従来1時間ほどかかっていた殺菌時間を約30分間に短縮し、大幅な生産性の向上を実現します。例えば、切り替え作業を年間300回行っている工場では、約150時間を年間で短縮することが可能です。また、時間短縮によって、殺菌処理の際に発生する熱エネルギーやCO2の排出量も削減されるため、環境負荷の低減につながります。
○本ソフトウエアは、ペットボトル飲料や紙容器、パウチ包装やポーションパックなど、全ての無菌充填システムに対応しています。無菌充填システムのユーザー企業向けに販売します。
○本ソフトウエアや関連する技術については、複数の特許を国内(7件)と海外(米国・中国で各1件)で取得しています。


【今後の展開】

DNPは本ソフトを、食品や飲料メーカーなどの無菌充填システムを保有する企業や、今後導入を予定している企業に向けて販売し、2022年までに年間20億円の売上を目指します。

*1 DNPが提供しているペットボトル用無菌充填システムは、無菌状態にした工場環境のもと、殺菌された飲料を常温で充填します。高温の長時間殺菌が不要で、常温で製造できるため、材料の耐熱性を高くする必要がなく、薄く軽くすることによって省資源化が可能です。また1997年には、試験管のような形状のプリフォームを飲料工場に納入し、膨らませて成形しながら飲料を無菌充填する“インライン成形方式”を国内で初めて実用化しました。小さいプリフォームを工場に供給することで、輸送コストを大幅に軽減することができます。現在、日本で販売されているペットボトル飲料の約3分の1は、DNPのペットボトル用無菌充填システムで製造されています(2017年9月時点)。

*2 無菌充填システム1台あたりの年間の商品切り替え回数が、メーカーによって違いはあるものの、従来の年間100~300回程度から、2016年には300~500回程度に増えている。

※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。

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