• 化学・材料

Quantum Dot(量子ドット)を用いた色再現域の広いディスプレイ向けに、バリアフィルムを開発しています。バリアフィルムは酸素や水蒸気を通さないことで内容物を保護する製品で、元々、食品や日用品のパッケージとして使われていました。そこに、酸素に弱いQuantum Dotを保護するための改良を行い、高性能なディスプレイ向けの強みを持った光学部材として生まれ変わらせたのです。
私の業務内容としては、バリア性能の向上に関わる材料開発から工場での実機試作、生産品の分析業務まで幅広く携わっています。ラボ(研究室)から工場へと展開する段階でトラブルが発生するなど苦労することも多いのですが、材料選定の段階から工場での生産を意識して製品を開発することに面白味を感じます。

学生時代の専攻が今、
どのように活かされていますか

学生時代は、安定性ラジカルや金属配位子結合など分子の持つ電子スピンを活かして、磁性を持つ有機化合物の結晶を作成し、分子が配列した結晶構造と磁性の相関関係を明らかにする研究に取り組んでいました。分子の立体障害や共鳴構造を利用するため、分子間相互作用をシミュレーションソフトで解析し、X線結晶構造解析装置での分析を行うなど、有機合成と構造解析、2つの側面からのアプローチが必要でした。
結晶構造解析まで見据えた分子設計を行っていたため、有機合成や分析装置の知識と仮説に基づいた実験計画の経験が、今の開発業務にも役立っています。