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展覧会レビュー

村田真 原久子

伊藤福紫展
6/14〜7/13 ギャラリーGAN[東京]
 
 
伊藤福紫展
透明アクリル板のうえに不定形のライトボックスをのせ、その表面に原爆ドームや「TEMPO」「SPAZIO」といった言葉が読み取れる。以前のフォロロマーノなどのイメージから原爆ドームに変わったきっかけは、9.11のテロ事件だったという。外形の美しさ明快さとイメージの重さ煩雑さのギャップが、よくも悪くもドラマチック。
[7月9日(火) 村田真]
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  Free ART Free 2001 FAF賞 受賞者個展
  7/8〜13 スカイドア[東京]
 
 
Free ART Free 2001 FAF賞 受賞者個展
へーこんな賞ができたんだ。FAF賞は伊原正浩と鮫島大輔。でも「受賞者個展」といいながら、ギャラリー空間を3分割しての展示で、うち1室はスカイドア賞受賞者のグループ展に当てられている。それはともかく、鮫島大輔のパノラマ絵画は、完成度を高めればもっとおもしろくなりそう。
[7月9日(火) 村田真]
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とかち国際現代アート展デメーテル
7/13〜9/23 帯広競馬場、帯広駅周辺など[北海道]
 
 
とかち国際現代アート展デメーテル
台風6号とともに羽田をたち、帯広に着いたら大雨、気温11度。われわれ地域創造のクルーは、同じ飛行機に乗り合わせた美術ジャーナリストの新川貴詩も乗せて、レンタカーで帯広競馬場へ。競馬をやりに来たのではない。競馬場でやるデメーテル展の取材なのだ。競馬場に設けたデメーテル事務局では、なんと原Qが働いているではないか。新川くんも取材で来たのにさっそく手伝わされている。ここでは取材する側もされる側もなく、つくり手と送り手と受け手が渾然一体となって展覧会をつくりあげているのだ。というと理想的な展覧会のように聞こえるかもしれないが、単に人手が足りないだけ。ゴム長とレインコートを買って会場を一巡してみたが、明日がプレスオープンだというのにほとんどの作品が完成してない。
台風の通過した翌日、昨日の大雨がウソのように晴れあがったものの、風が強い。この強風にたたられたのが、蔡国強の「天空にあるUFOと社」プロジェクト。直径30メートルのバルーンを打ち上げ、その下に赤い社を浮かそうという計画だ。ところが強風にあおられてヘリウムガスが注入できず、おまけにバルーンに穴が開いてしまい、もはや絶望的。競馬場の広さに対抗でき、かつ同展のシンボルになりうるのはこの垂直方向の巨大バルーンしかなかったのに。そのかわり地上で人気を集めたのが川俣正の木馬。川俣は実在する馬に「デメーテル号」と名づけ、競馬に出場させるプランを立てた。しかしこの時期、帯広競馬場では競馬は行なわれず場外馬券売場になるため、北海道の別の都市で走るデメーテル号を中継を見ながら応援することになる。だが、それだけで作品とするにはあまりに寂しいので、デメーテル号の不在証明として木馬を制作し、その木馬を走らせるために木道を会場に張り巡らせたというわけ。そしてこの木道が、昨日の大雨で地面がぬかるんだときにとても役立ったのだ。ヒョウタンからコマみたいなプロジェクトである。翌13日、北見競馬場で開かれた競馬に実際にデメーテル号が出場。みんな賭けたけれど結果は7位でした。
さて、ほかのアーティストはどうかというと、インゴ・ギュンターも川俣と同じく馬に目をつけ、馬の骨格に金箔を貼ってぶら下げたり、馬の影絵を厩舎の壁に映し出したりしている。岩井成昭はアイヌの口承文化にインスピレーションを受け、音と光のインスタレーションを制作。カサグランデ&リンターラはフィンランドからロシアを横断して北海道まで旅し、その間に集めた斧や写真を展示。ヴォルフガンク・ヴィンター&ベルトルト・ホルベルトは、プラスチックのキャリーケースを積み上げて構築物をつくっている。中村政人、岸健太、田中陽明によるnIALL(ニアル)は、十勝独特の住宅供給システムに触発され、断片を寄せ集めた家を建設。オノ・ヨーコ、シネ・ノマド、金守子は映像なので省略。それぞれそれなりにおもしろいけれど、いかんせん競馬場の広さに太刀打ちできる作品がない。
[7月11日(木)〜13日(土) 村田真]

デメーテルにて
デメーテルにて(nIALL)
nIALL
デメーテルにて(ヴォルフガンク・ヴィンター&ベルトルト・ホルベルト)

W・ヴィンダー & B・ホルベルト

37年ぶりに北海道十勝平野を直撃した台風も過ぎ、真っ青な空の下、内覧会の日がきた。村田さんもすでに取材で現地入りしている。私のほうはややインサイダー、助っ人として9日から搬入展示というか土木作業(?)に従事してきた(客観的な視点でのコメントは村田さんにお任せするとして)。会場となった帯広競馬場は全体が約42ha。ここを競馬で使用するのは年間3カ月。それ以外の9カ月は場外馬券売り場が普段は出ているだけだ。参加している6人4組のアーティストたちは、そんな競馬場という「場」のもつ 意味や、馬、帯広周辺にまつわることなど、さまざまな角度からこの「場」に関連の ある作品を設置した。川俣正の5頭(機)の木馬も全長1500mに及ぶ木道に設置され、やってきた人たちが恐る恐る試乗(?)している。この木馬は姿もキュートだが、動かしてみるとますます愛着がわいてくる。nIALLの作品は会期中少しずつ増殖してゆく。シネ・ノマドはゲル(遊牧民が住居として使うテント)のなかに映像作品を一列に3面プロジェクションしている。オノ・ヨーコは場内の9カ所に81台のモニターを点在させて、9カ所のリアルタイムの空の画像を上映する「Sky TV」で参加。……まあとにかく全部見ようと思うとかなり歩くし、時間もかかるけれど、ぜひ今年の夏は十勝へ!!
[7月12日(金) 原久子]
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眠り/夢/覚醒
  6/29〜9/16 川村記念美術館[千葉]
 
  タイトル通りというか、この3つのキーワードを十分連想させる、あるいは感じさせる作品を集めた展覧会。展覧会としてどうのこうのという前にいい作品が多く出ていて、遠くまで来た甲斐はあった。ウォーホルの映像作品《スリープ》がE・ネト《姉妹の船》から少し見える。ネトの作品のなかに横になると、母胎内回帰とでも言おうか、もういるだけで幸せ。でも、大事な人といっしょに横になればもっと幸せかも。
[7月14日(日) 原久子]
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菱山裕子展
  7/1〜19 ギャラリーなつか[東京]
 
 
菱山裕子展
今日は水曜、映画が安い。銀座シネパトスで『ルーヴルの怪人』を見て、銀座テアトルシネマで『裸のマハ』が始まるまでの1時間半ほど、画廊まわり。ギャラリーなつかに入って驚いた。全長10メートルはあろうか、画廊空間いっぱいに金網製の巨大人形が横たわり、銀座通りに面した窓に向かって頭をもたげている。まるで、体が大きくなりすぎて家から出られなくなったアリスみたい。向かい側のビルの人が見たらなにごとかと思うだろう。
[7月17日(水) 村田真]
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  増田聡子展
  7/15〜20 コバヤシ画廊[東京]
 
 
増田聡子展
あれ、いつ変形キャンヴァスやめちゃったの? 必然性があろうがなかろうが、15年も変形キャンヴァスを続けてれば目になじんでくるし、描くほうも手になじんでいたはず。それが矩形のキャンヴァスに描くと「ふつうの絵」にしか見えない。たぶん変形キャンヴァス時代の増田聡子を知らない人が見ても「ふつうの絵」にしか見えないと思う。でも「ふつうの絵」ってなんだ? それじゃ3行もどって、もう1回。それが矩形のキャンヴァスに描くと、なんとなく窮屈そう。この窮屈さに耐えられるまで耐えて変形キャンヴァスに戻ったら、こんどは「ホンモノ」だと思う。ならこれまでは「ニセモノ」だったってか?
[7月17日(水) 村田真]
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