DNP Museum Information Japan - artscape
Museum Information Japan
Exhibition Information Japan
Recommendations
Exhibition Reviews
HOME
展覧会レビュー

村田真

エモーショナル・サイト
11/16〜24 食糧ビルディング[東京]
 
 
エモーショナル・サイト
来年早々に取り壊しが決まった築75年の食糧ビル全館を使った展覧会。75年を人間の一生にたとえると、ここは壮年期までひっそりと暮らしていたのに、56歳のときに佐賀町エキジビット・スペースが入ってにわかに活気づき、70歳前後から佐谷周吾、小山登美夫、那須太郎ら若手画商が入居するなど、老いてますます盛んな、しかもアートに彩られた晩年を送った珍しいビルなのだ。そのフィナーレを飾るのがこの展覧会。しかし諸般の事情があるにせよ、出品作品の多くは絵画や写真や映像で、最後を飾るにふさわしいサイトスペシフィックなインスタレーションは、森村泰昌、戸谷成雄、奥村雄樹らわずかしかなかったのが残念。ゴードン・マッタ=クラークみたいに穴くらい開けてよ。
[11月18日(月) 村田真]
top
磯崎道佳「のぞいてみれば」
  11/19〜12/8 ヒルサイドギャラリー[東京]
 
 
磯崎道佳
昨年ACCの奨学金を得て、なんと9月11日にニューヨークに向けて飛び立った磯崎くんの無事帰国展。ニューヨークに着くまでに1週間ほどかかったらしいが、それより彼がアメリカにもっていったプランは、これもなんとWTCを使ったプロジェクト。計画していた場所そのものがなくなっちゃったという泣くに泣けない、もはや笑うしかない現実。だいたい彼が個展を開いたギャラリーはことごとくつぶれているから、悪運というか強運というか。それもひとつの才能かもね。今回はギャラリーにソファやベッドをもちこみ、通りに面した大きなガラス窓にいくつかの双眼鏡が設置され、のぞいてみれば……。
[11月19日(火) 村田真]
top
秋廣誠展
  11/18〜24 フタバ画廊[東京]
 
 
秋廣誠展
光ファイバーを用いて視覚の仕組みそのものを再現したような装置。先月の「旅譚」では、黒いコードの束が妖怪女の長い髪みたいな妖しい効果を放っていたが、今回は視覚装置のおもしろさだけで見せている。要するに、束にした光ファイバーの片方に光を当てて、もう一方の端末からもれてくる光の情報を視神経のように秩序立てて並べ、下等生物レベルの大雑把な視覚を得るというしかけ。しかも並べ方しだいで上下左右が反転したり、望遠にも広角にもなったりする。これはおもしろい。完成度を高めれば商品化も可能だ。しかしなんの役に立つ商品だろう?
[11月20日(水) 村田真]
top
  広尾稲荷神社[東京]
 
  akiko@shogakukanと広尾のお稲荷さんへ。小さな拝殿に上がって見上げると、黒く煤けた天井に龍の図が描かれている。これがなんと、洋画家になる前の、狩野派の下で日本画を学んでいたころの高橋由一の作品らしいのだ。時代はもちろん明治以前、この拝殿が火事で焼けて再建された弘化4(1847)年の作といわれている。由一の現存する最初期の作品といえば、慶応2〜3(1866〜67)年の《丁髷姿の自画像》(これも由一筆ではないとの説もある)とされているから、それよりイッキに20年近くもさかのぼるわけだ。この作品の存在を教えてくれたのは近世日本美術の専門家だけど、どうやら明治以降の近代美術の研究者にはあまり知られてないみたい。といっても別に、この龍図から後年の由一をしのぶことはできないが。いずれにせよ、こんな身近なところに由一がいたとは。
[11月20日(水) 村田真]
top
直島コンテンポラリーアートミュージアム[香川]
 
 

またまたakiko@shogakukanと、こんどは瀬戸内の旅。高松空港から高松築港に出てうどんを食い、フェリーで直島へ。最近、町営の100円バスでベネッセハウスまで行けるようになった。館内を一周してから総支配人の笠原氏の案内で家プロジェクトを見る。途中、突堤の先端にあった草間彌生の巨大カボチャがなくなっているが、荒天の日に流されてしまい修理中だという。別の海岸に打ち上げられていたら大騒ぎになっていたかも。さて家プロジェクト。宮島達男の角屋、ジェームズ・タレルの南寺、内藤礼のきんざはもうおなじみだが、この10月に完成したばかりの杉本博司による護王神社には驚かされた。だってホンモノの神社をつくってしまったんだもん。しかも、外見はきわめてオーソドックスでありながら、階段はガラス製(レンズ製というべきか)で、それが拝殿前に置かれた一枚岩の下の地下空間にまで通じているのだ。いいのかね、こんなことして。どうせなら森万里子に夢殿をつくらせてもよかったかも。笠原氏の車で港まで送ってもらい(この場を借りてお礼申し上げます)、宇野―茶屋町経由で倉敷に出て、大原美術館に隣接する国際ホテルに投宿。
[11月22日(金) 村田真]

top
大原美術館[岡山]
 
  高校3年のとき以来だから実に30年ぶりの再訪。部分的に増改築したり現代美術コレクションが増えたほかは、基本的に変わってない。ただひとつ、ぼくにとっては、あのとき胸をふるわせて食い入るように見つめたゴッホの風景画がないのが決定的な違いだ。その作品《アルピーユの道》が贋作とわかり、展示からはずされたのは何年後のことだろう。オレの目は節穴だったのか(やっぱりね)。それ以来、ぼくは文学的言説(小林秀雄の『近代絵画』が愛読書だった)にまどわされることを嫌って、現代美術に走ったような気がする。いまは収蔵庫に眠っているらしい偽ゴッホと再対決する機会は来るだろうか(柳沢くんに頼めば見せてくれる?)。おっとつまらん感傷に浸ってしまった。今回、西洋美術では主流の印象派やフォーヴィスムよりも、当時はほとんど目に入らなかったアマン・ジャンやレオン・フレデリックら傍系の画家に、むしろ興味をもった。だが、それ以上に劉生、楢重、曽太郎ら日本の近代絵画コレクションのすばらしさを見直しました。ところで、洗濯するかどうか議論もあるらしい高松次郎の「布のたわみ」、場所が狭いせいか少したわみすぎてません? あれじゃ「たわみ」がわからないよ。岡部あおみさんの「大原美術館コレクションの起源」が載ってる紀要を買って、あわただしく福山へ。
[11月23日(土) 村田真]
top
  金刀比羅宮と美術の至宝
  10/4〜11/24 ふくやま美術館[広島]
 
 
金刀比羅宮と美術の至宝
この展覧会が今回の旅の最大目的。くどいようだが、小学館『日本の美をめぐる42 高橋由一』の取材なのだ。締切は10日後に迫ってるというのに、いまごろ取材しとる。来年2月発売、買ってね。でもなんで「こんぴらさん」の展覧会が高橋由一に結びつくかというと、もちろん金刀比羅宮が由一作品の大コレクターだから。いやコレクターというより、ふくやま美術館の萬木康博副館長の言葉を借りれば「大パトロン」ですね。1879(明治12)年に金刀比羅宮で第2回琴平山博覧会が開かれたとき、由一は油絵37点を出品。それを奉納して金200円をもらい、主宰する天絵社の拡張資金に当てたのだ。現在は27点が残っており、うち今回は「豆腐」をはじめ円熟期の油絵が26点も出ている! いやータメになりました萬木さん、この場を借りてお礼申し上げます。由一だけではない。円山応挙、長澤蘆雪、司馬江漢……おまけに田窪恭治の作品まである。金刀比羅宮では2004年の大遷座祭に向けた活性化計画を進行中で、そのプロデューサーに田窪さんが選ばれたのだ。これでまた2年後のこんぴら参りの口実ができた。
[11月23日(土) 村田真]
top



ArtShopArchivesArt LinksArt Words
prev up next
E-mail: nmp@icc.dnp.co.jp
DAI NIPPON PRINTING Co., Ltd. 2002
アートスケープ/artscape は、大日本印刷株式会社の登録商標です。