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ArtDiary ||| 村田 真のアート日記
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6月20日(土)

風呂を浴びに、瀬戸内海の直島へ行く。久しぶりの晴天、機上から東京湾や関東平野が見渡せる。高松空港からバスで高松築港に出て讃岐うどんを食べ、フェリーで直島へ。飛行機が1時間10分、バスが40分、フェリーが1時間。やっぱり不便というか、便利になったというか……。
 直島の宮ノ浦港から送迎バスでベネッセハウスへ。海岸近くにアメリカ製のジャグジーバスが置かれ、周囲に中国の太湖石が36個並んでる。これがお目当ての、蔡國強の「文化大混浴 直島のためのプロジェクト」だ。
 蔡さんのレクチャーを聞く。それによると、バスタブの置かれた場所は、背後の京の山から沖に浮かぶピラミッド型の大槌島に気が流れ出て、その気がもっとも集中するところ。その気の流れを太湖石群が整え、中心のバスタブに流し込むのだそうだ。おまけにお湯には5種類の漢方薬を溶かし込んでいるので、体にとても効くらしい。まあ、アーティストなんて詐欺師みたいなもんだから、鵜呑みにしてはいけないけど、蔡さんの言うことならだまされてもいい。
 さっそく水着に着替えて風呂へ。おっと、目の前を長谷川祐子ちゃんの水着姿が! 寿命が伸びたというか縮んだというか……。風呂には蔡さんやベネッセコーポレーションの福武社長も入ってる。社長は「ここでサミットをやれば世界は良くなる」と上機嫌。クスリが効いたのだろうか。ぼくも30分ほど浸かって、出たらフラッと倒れそうになってしまった。クスリのせいか気に当てられたのか、実は疲れてただけ。
 夜、「直島・家プロジェクト」の宮島達男作品を見に行く。これは、古い民家に現代美術作品を永久設置していくプロジェクトで、いわばベネッセハウスの出店。第一弾の宮島は、民家の床に水を張り、デジタルカウンターを沈めた作品を発表。ナイスですね。
 ベネッセハウスに戻ってからみんなで日本×クロアチア戦を観戦。さんはゴールのことを「門」といい、「あの門に入れればいいんですよ」と簡単にいう。だからそれができないんだっちゅーの。

6月21日(日)

雨。朝8時に出発し、宇野―岡山―新神戸経由で芦屋に。ドキュメント2000プロジェクト事務局長の橋本敏子さんのクルマで、南芦屋浜・災害復興公営住宅の「コミュニティ&アート計画」を見に行く。これは、阪神大震災の被災者のために建てられた住宅を舞台にしたパブリックアート。赤崎みま、イチハラヒロコ、小山田徹、田甫律子、藤本由紀夫ら、主に関西出身のアーティストが参加している。各作家とも「コミュニティ」と「アート」を視野に入れているのだが、作家によってそのどちらかに傾いているのが興味深い。
 橋本さんとメシ食ってから、西宮市大谷記念美術館の中村哲也展を見て、三ノ宮のCAP事務局におじゃま。CAPとはThe Conference on Art and Art Projects(芸術と計画会議)の略称で、関西の美術関係者によるNPO。昨日、直島で会った朝日新聞大阪本社の山盛英司記者に、今日会合があるからと誘われていたのだ。事務局は作家の杉山知子さんのアトリエ。杉山さん、山盛さんのほか、原久子さんの顔も。みんな前向きなのが印象的。でも、話を聞いてるうちに眠くなってしまったのは、退屈だったからではなく、単に寝不足だっただけ。帰りの新幹線の中で爆睡。

6月22日(月)

あちゃー、また山椒の木にアゲハの幼虫が孵ってる。しかも10匹以上も。先月アゲハに食い荒らされた山椒が、ようやくもとどおり生えそろったところだっちゅーのに。確かに先週、卵が3〜4個くっついてたけど、なんで10匹以上になっちゃうの? おまえら養っていけないよ。

6月24日(水)

ドキュメント2000プロジェクトの会議が終わってから、橋本さん、資生堂の樋口氏と3人で「銀座ギャラリーネット」巡り。銀座の画廊が同時期に同じテーマで展覧会を開くという企画で、今年は「ハイブリッド・アジア」をテーマに15画廊が参加。「ハイブリッド・アジア」だから、在日フランス人も在米中国人も在カナダ日本人もありの世界。もちろん在日日本人? もあり。
 前回の「女性」にしろ、今回の「アジア」にしろ、テーマ設定があざといという声もあるが、それよりも15軒回って感じたのは、作家を紹介したいのか、それとも作品を売りたいのかがはっきりしない、てゆーかー、画廊によってバラバラだってこと。これは、貸し画廊系と企画画廊系が混在していることにも一因がありそうだ。
 3人でビアホールで飲む。当たり前だが会議よりずっと楽しい。もともとみんなで楽しいことをやろうよ的な発想でドキュメント2000は始まったはずなのに、最近どうもツライ。ここはひとつ原点に戻って、会議にビールを導入したらどうだろう? アサヒビールの加藤さんもいることだし。どーでもいいけど、橋本さんは新幹線に間に合っただろうか。

6月27日(土)

銀座ギャラリーネットのシンポジウムの司会。しかも、1時からの「ハイブリッド・アジア」と、3時半からの「アートと経済」というテーマの異なる2本ともやんなくちゃいけない。いつ司会なんか引き受けたんだっけ? なんていまさらトボケてもしょーがない。司会はしどろもどろでしたが、話は意外とおもしろかったっすよ。
 終わってから生ビールを1杯いや3杯ほど飲んで、ミヅマアートギャラリーでのジュン・グエン・ハツシバ展のオープニングへ。ジュンはベトナム人と日本人のハーフ(ダブルと呼ぶべきとの意見も)で、日本で生まれ、アメリカで美術を学び、現在ベトナムに住んでいるアーティスト。それこそハイブリッド・アジアだ。
 AKI-EXで2次会。なんと、並んで座ったレントゲンの池内氏も、ICCの小松崎氏も、今週3度目の顔合わせ(もちろん酒の席で)となる資生堂の樋口氏も、2世誕生間近という。実は……。

6月29日(月)

土日と仕事場をあけたら、山椒がしおれて幼虫の姿が見えない! この2日間、暑かったり寒かったりと天候不順のせいで全滅したのか、よく見るとカメムシがついてるけど、こいつが食っちまったのか。トホホであります。

7月1日(水)

「京橋界隈98」オープニング。こちらは、京橋から銀座1丁目にかけて20軒の画廊が同時に企画展を開くもの。うち11軒を見る。ギャラリー小柳杉本博司展がサイコー。サイテーは……あ、全部見てから言おっと。

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