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| ストリート・ウォッチ――4 ベトナムのカオダイ教 |
| 島尾伸三 |
| 西貢（サイゴン）の現在の名は胡志明（ホーチミン）市です。ホーチミン市から車で3時間程のところに、変わったお寺があります。 高台（カオダイ）教です。仏教、キリスト教、儒教、イスラム教など、世界の宗教をミックスしたベトナム独特の1940年代に生まれた新興宗教らしいのですが、礼拝する信者も世界の民族を表す格好をしていて、これまた奇妙な光景です。 寺の建物を飾る人形や模様は、まるであらゆる神様を集めた展覧会のようです。壁面にはアメリカ紙幣にデザインされているピラミッドと目玉が描かれています。 信者でなくとも、日曜の礼拝を見物することができます。フランスからの団体客が目に付きました。その中に、ヒッピーのような格好の若い女性がいて、世界中の宗教を呑み込もうとしている不思議な宗教に圧倒されたのか、それとも真理でも見いだしたのか、その場であぐらをかくと、瞑想を始めました。寺の中の祭礼の様子は、東洋人の私には、ブッダや関羽やキリストが並んでいることもあって、やや滑稽にさえ見えたのですが、彼女にとっては、何か衝撃的な事件のようでした。 |
   作品 |
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