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学芸員レポート
青森/日沼禎子|豊田/能勢陽子|大阪/中井康之山口/阿部一直
Something as if we do展
豊田/豊田市美術館 能勢陽子
 
田端浩一
 
上より
・田端浩一の作品
・鬼頭健吾の作品
前回紹介した名古屋新栄のアートスペース、よろずアートセンターはち1階のカフェ・ぱるるで、お茶を飲みながら19人のアーティストの小品を楽しむことができる。鬼頭健吾とAre You Meaning Companyの二人のアーティストにより企画された「something as if we do」には、秋吉風人、Are You Meaning Company、磯邊一郎、今井俊介、榎本耕一、大竹竜太、大野智史、大庭大介、岡川卓詩、北島美月、鬼頭健吾、児島サコ、田嶋秀彦、田端浩一、新美泰史、星野武彦、増田佳江、山口智子、山本高之らが参加している。これらの作家たちのなかには、すでに美術館やギャラリーで活躍している作家も多く含まれている。
インスタレーションの印象が強い作家でも、今回は皆小型の平面を展示している。そして油彩やドローイング、写真、映像など、それぞれの持ち味を活かす媒体を使用しているとはいえ、それらは全体としてどこか似通うところを持っている。それは、軽やかな表面性であったり、物語性を解体する物語であったりする。
例えば星野武彦の絵画では、装飾的な背景の中、淡いパステルカラーの宇宙人が手を繋いでいるか、器官を延ばして互いの身体に触れ、並んで立っている。磯部一郎の相似の山のような形態が並ぶ鉛筆によるドローイングは、その繊細さに反して宇宙のような広大なシステムを思い描かせる。田端浩一による映像では、余白の隅に仰向けになった蜂が、断末魔の苦しみにあるように震えながら、尾の縞の黄色から光を発して消えていく。ペンのインクがなくなるまで何度も同じ位置に描いているためにこのようにみえるのだが、それは小さな生物の死に際するささやかな崇高を感じさせる。鬼頭健吾は、透明な物質感を持つ素材を用いて画面を流動的な線で覆うが、それは無機的であるようで有機的で、また空虚なようで濃密である。Are You Meaning Companyは、植物のドローイングと楕円状に切り取られた池の絵画で、想像上の庭へと誘う。
カフェの壁に段違いで何点も展示されたこれらのささやかな小品は、お茶を飲みひと休みする空間に似つかわしい。秋吉風人が自らのアトリエの写真を、そして山本高之が夏休みの海辺の一シーンのような写真を提示しているのも、この「something as if we do」が作家の身近なところから発したものであることを示しているだろう。ほぼ同世代の作家たちによる、軽やかで、ある特定の意味内容から解き放たれた作品の集積は、全体として危うい浮遊感を示しつつ、絵画ならではの形で現代の多様な断片を示していた。

会期と内容
●something as if we do
会期:2007年3月30日(金)〜6月2日(土)

会場:カフェ・パルル
名古屋市中区新栄2-2-19
TEL. 052-262-3629

[のせ ようこ]
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