デジタルトランスフォーメーション(DX)による価値創造

常務取締役の顔写真です。

DNPのDXは、事業ビジョン「P&Iイノベーション」による価値創造そのものであると位置づけています。「P&I」(印刷と情報)の強みを最新デジタル技術やデータ活用でさらに進化させ、独自の製品・サービス、ビジネスモデルの創出や洗練されたオペレーションによって、競争優位性を確立していきます。

常務取締役
ABセンター長/教育ビジネス本部担当/
コンテンツ・XRコミュニケーション本部担当/
情報システム本部担当/情報セキュリティ委員長/
技術・研究開発本部ICT統括室担当
金沢 貴人

DXによる価値創造でより良い
未来をめざす

DXによって「P&I」の強みをさらに高め、「価値の創出」と「経営基盤の強化」の両輪でビジネス変革と競争力向上を推進します。

DXによる価値創造でより良い未来をめざす図

中長期の事業ポートフォリオ戦略のもとでビジネスモデルを創出・変革する「価値の創出」と、社内システムの革新、生産性の飛躍的な向上によって、事業競争力を高める「経営基盤の強化」の両輪で方針を定め、DXによる価値創造を推進しています。

役員インタビュー
DXの成否の鍵を握る「リアルとデジタルの融合」 常務取締役 金沢 貴人

AI・先進技術の活用

AIの取り組み

DNP独自の強みと外部連携による新たな価値の創出をめざし、生成AIの可能性を探り、社外パートナーとの共創を推進しています。印刷データの2次利用で培ったドキュメント構造の認識技術を高度化し、生成AIの回答精度を飛躍的に向上させる独自のデータ整形技術を開発しました。各種ドキュメントの加工・整形などの知識を活用したソリューションを展開していきます。

DNPの生成AIの取組み(別ウィンドウで開く)

関連情報

「DNPグループAI倫理方針」を策定

AIの利活用が進む中で、不適切な使用による人権やプライバシーの侵害、差別の助長、偽情報の発信などが課題となっています。
DNPグループは、持続可能なより良い社会、より心豊かな暮らしの実現に向けて、AIを価値創出に適切かつ効果的・効率的に利活用していくため、「DNPグループAI倫理方針」を策定しました。

DNPグループAI倫理方針

価値創出のためのDX推進

P&Iイノベーションと6つの資本の強みをDXで掛け合わせ、企業・団体・生活者・社会と共創する価値循環を拡大します。「P&I」(印刷と情報)の強みを先進的なデジタル技術やデータ利活用でさらに進化させ、エンジニアリングチェーンやバリューチェーンを変革します。調達・設計・製造・流通および顧客接点に至るまで、情報加工・伝達の多様化・最適化・豊かな表現を通じて、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスの3部門で持続可能な成長と社会課題の解決を実現します。

知の継承から創るAIと協働する社会

DNPは企業・団体が保有する知を再資本化し、AIを有効かつ安全に利用できる“AI-Ready”な社会の実現に取り組んでいます。
多様かつ大量な情報処理で培った「文書の構造化技術」と最新の生成AIを掛け合わせた「構造化AI技術」により、企業・団体内のデータをAIに最適な構造へ変換することで、データの価値を最大化し、人とAIの協働社会を構築していきます。

リアルとバーチャルの新しいコミュニケーション

年齢・性別・国籍等の多様な属性によって分け隔てられることなく、リアルとバーチャルの双方を行き来できる新しいコミュニケーションと経済圏をDNPは創出しています。
印刷プロセスで培った「高品質な表現技術」と「大量の情報処理能力」を「高精細3 D 技術」へと深化させ、安全・安心なデータ流通を伴ったXR(Extended Reality)バーチャル空間での体験価値を向上しています。

製造変革で循環型社会に貢献

サプライチェーン全体で高度なデータ連携を行い、生産計画の柔軟性を高めて市場投入までの時間を短縮するほか、省エネや資源循環・製品リサイクルなどで社会課題の解決に貢献しています。
作業計画や移動経路等の最適化計算を高速で行うアニーリング技術を活用し、自社工場の工程改善や自動化による生産性向上を実現しています。

サプライチェーンマネジメント強化のイメージ図

新規事業創出に向けた取り組み

DNP INNOVATION PORT

スタートアップなど多様なパートナーとの共創で新たな価値の創出に挑戦します。

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DNP GREEN PARTNER

専門チームで、環境課題に挑戦する企業や活動に伴走します。
環境配慮型の製品サービスや最適なかたちのコミュニケーションなど、これまでの経験や実績を持って、事業継続だけでなく企業価値の向上に貢献します。

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経営基盤強化のためのDX推進

P&Iイノベーションを全社で推進するため、ケイパビリティとなるDX推進人材・組織風土・DX基盤を強化しています。経営・企画・営業・製造・研究開発など全領域でDXを推進し、業務プロセスやオペレーションの高度化によって生産性を飛躍的に向上させ、価値創造ストーリーに基づく事業競争力の持続的強化につなげています。

DX推進組織

代表取締役社長が任命する最高デジタル責任者(CDO:ChiefDig i t a l Off i cer)が、全社のDX関連の取り組みを統括しています。本社に専任の「DX推進統括組織」を設置し、堅牢なサイバーセキュリティと適切なAIガバナンス体制のもと、各部門が横断的に連携しながら、全社でDX推進施策を実施しています。

DX推進組織図

DX基盤

「データマネジメント基盤」「AI活用プラットフォーム」「システムモダナイゼーション」で構成するDX基盤を継続的に高度化して、持続的な企業成長を実現しています。

DX基盤を継続的に高度化するための3つの構成要素をまとめたイラスト。システムモダナイゼーションを実現するため、変化に強い業務基盤への進化。AI活用プラットフォームのため、生成AIを活用し生産性を飛躍的に向上。データマネジメント基盤を構築するためデータドリブンによるスピーディな経営の実現。

佐古のポートレート

関連記事:
DXのその先へ。DNPが取り組むデータドリブン経営

役員インタビュー
執行役員 佐古都江

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DX推進人材

専門人材の採用と育成の強化

社会環境の急激な変化に対応するためにも、企業価値向上に必要な専門性を備えた人材の確保が重要な課題となっています。こうした課題の解決に向けてDNPは、人材ポートフォリオに基づき、高度な専門性を有した人材の採用と育成を強化しています。そのなかでも特に「P&Iイノベーションによる価値創造」を「DNPのDX」と定義して、DXを推進する人材の育成に注力。DNPとしてのDX人材を「DX基礎人材」と「DX推進人材」の2階層で定義し、基本的なリテラシー教育と個々のレベルに合わせた専門教育を実施しています。

DX人材のレベル定義

経済産業省が定めたデジタルスキル標準に準拠し、DX人材の育成を進めています。「DX基礎人材」は、DXに関するリテラシーを持ち、DXを自分のこととして捉えている人材と定義し、DNPグループの全社員を対象としています。また、「DX推進人材」を各部門のDX推進を支える専門的な人材と定義しています。それぞれのレベルに合わせて教育していくため、詳細なレベル定義を2024年度に設定しました。

DX基礎人材とDX推進人材のレベルを定義

DX人材の育成強化

「DX基礎人材」へのリテラシー教育は、2025年度末までに対象社員27,500名の受講完了をめざしています(2024年度末時点で約92.6%の25,473名が修了)。
より高度な専門性を持つ「DX推進人材」については、その中核となるICT開発に関わる社員の育成などを進めています。ITスキル標準レベル3以上を目標としており、2024年度は1,036名がそのレベルに達しました。AI・クラウド・アジャイル等の専門研修に加え、研修で学んだ内容が事業の成長や業務の成果につながる事業特化型の実践研修プログラムを拡充しています。2024年度は、実際の業務データを分析して企業等への提案や業務効率化を実現するプログラムを新設しました。今後もさらにプログラムを拡充していきます。
また、新入社員の配属先のひとつとして、DXを実現するためのスキル・マインドを約1年間徹底的に習得する「P&I研修コース」を設けており、このコースを修了した社員はDX推進の重要な役割を担っています。DNPはデジタル人材の重要性に早くから着目し、デジタル人材の育成を目的として1990年に本コースを発足しており、2024年度末時点で累計の修了者は約600名となっています 。2024年度は高卒の新入社員にも対象を拡げ、将来的にDX推進を担うための専門教育コースを設置しました。

ITスキル標準に基づくスキルレベル3以上の人数の推移(2020-2024年度)

  • ITスキル標準(ITSS:IT Skill Standard)とは、高度IT人材の育成を目的として作成された、ITに関する能力を評価する指標。
  • ITスキル標準(ITSS)のレベル3は、応用的知識・技能を有し、担当業務に対して独力で判断し遂行できるレベル。