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SIGGRAPH2003―Art Galleryを中心に、サンディエゴから―
影山 幸一
ロスアンゼルスから一途南へ
▲会場となったコンベンションセンター外観
ロスアンゼルスからレンタカーを借りハイウェイを一途南へ、太平洋を右手に眺め3時間程5号線を走り、サンディエゴを目指した。
メキシコに近いアメリカ西海岸、太陽が輝くカリフォルニア州サンディエゴでACM (The Association for Computing Machinery:アメリカコンピュータ学会)のコンピュータ・グラフィックス分科会SIGGRAPH(Special Interest Group on Computer Graphics)、通称「シーグラフ」が7月27日(日)から31日(木)の5日間、サンディエゴ・コンベンション・センターで開催されていた。
シーグラフは、毎年アメリカの都市を巡回するコンピュータ学会の国際会議であると同時に、世界最大のCGの祭典でもあり、今年は第30回(委員長:Alyn P. Rockwood氏)を迎えた歴史ある国際会議である。
一般に開かれた国際会議
サンディエゴのシーグラフは、広大な会場の各部屋ごとに論文発表、会議、作品展示、作品上映、企業製品展示などの各セッションが開催されており、まずカンファレンス(16のセッションと5つのサービスの総称)のスケジュール表の中から各自が目的にあったセッションを選択し、自分の参加したいセッションを絞り込むことから始まる。
当日の参加申込みの場合は、レジストレーション会場にまず行き、コンピュータで自己申請をする。一部のセッションか全セッションか、参加したいセッションの料金($75〜$1,100)をクレジットカードで支払い、IDカードが即時発行される。まるで大学のキャンパスが一時移転してきた感じで、会場の外でもIDカードのホルダーを首から下げた、にわか「シーグラフ大学」の学生たちが賑やかにサンディエゴの町を闊歩している。シーグラフは一般に開かれた参加型の国際会議であり、第一線の研究者の論文や最新の機器、情報が一堂に集まる学会である。
▲Overview of SIGGRAPH2003で見所を解説するアートギャラリー委員長のMichael Wright氏(中央)  
映画のアカデミー賞への推薦もある
▲Emerging Technologiesの会場入口
▲カンファレンス会場風景
▲エレクトロニックシアター会場風景(Civic Center Plaza内)
シーグラフでは、作品展示と共に内容のレベルが高いと評判の論文がCG製作関係者からも注目を集めている。論文(Papers)セッションは、昨年より18%多い424件の投稿があり、50名ほどの審査員によって選ばれた。情報技術、特にインタラクション、デジタルイメージに寄与している81件の論文が通過し、発表が行われていた。
また、シーグラフの象徴的セッションともいわれるComputer Animation Festivalのエレクトロニックシアターという上映会では、コンピュータで制作された26作品の短編アニメーションが上映された。最も優秀なアニメーション作品The Best Animated Shortには、635作品の中から創造性・革新性・技術力の総合で評価されたSam Chen氏の「ETERNAL GAZE」が選ばれた。スイスの彫刻家・画家であるアルベルト・ジャコメッティの生涯をCGで描いたこの作品は、シーグラフから映画のアカデミー賞へ推薦されることにもなっている。
CG発展に重要な貢献をした個人に毎年授与されるACM SIGGRAPH2003賞には、新しい研究を行った研究者に贈られるSignificant New Researcher AwardのMathieu Desbrun氏(南カリフォルニア大学)、CGに顕著な業績を残した人に贈られるComputer Graphics Achievement AwardにPeter Schroder氏(カリフォルニア工科大学)、そして、CGの新しいビジュアルを先導したと評価されるSteven Anson Coons Award にPat Hanrahan氏(スタンフォード大学)が選ばれた。

展示風景
▲《ETERNAL GAZE》(c) SamChen, SIGGRAPH2003
絵画製造マシン
さて、多くのセッションの中で最も美術と関連があるのがArt Galleryのセッションであるが、今年のタイトルは“CG03”。シーグラフ30周年のこの年を記念して、Computer Graphics2003 を略したものである。デジタルプリント、絵画、彫刻、デジタルアニメーション、デジタルビデオが4ヵ所に分散して展示された。
Art Galleryの委員長Otis College of Art & DesignのMichael Wright氏は、820の応募作品から招待作品を合わせて国際色豊かに269作品(内12作品が日本人の作品)を選び、昨年の小間割りスペース展示から、ミュージアムのようにオープンスペースとし、一般の人にも見やすいよう展示に工夫したという。219作品が壁に展示された平面作品、34作品が彫刻、16作品がデジタルアニメーションとデジタルビデオの構成である。
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