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展覧会レビュー
村田真/原久子
4/28
上野の森美術館大賞展
4/22〜5/3 上野の森美術館[東京]
上野の森美術館大賞展
絵画の公募展。24回目の今年は1455点の応募のうち入選259点、入賞6点。上野の森美術館は狭いのでいっぺんに並べられず、入選者名の50音順に「た〜わ」を会期前半(4/22-27)に、「あ〜そ」を後半(4/28-5/3)に分けて展示している。これだと連休に入る後半の青柳くんのほうが、前半の渡辺さんよりオトクな気がする。作品は日本画・洋画、具象・抽象が入り乱れ、写真や版画はない。いまどき日本画も洋画も具象も抽象もないが、そんな分類をみずから主張する作品群といえばいいか。メインの展示室に、入選作品とは別にやけにこなれた作品が幅をとって展示されていたが、これらは6人の審査委員の近作。そんなの並べる余裕があったら2段掛けを解消してやれよ。
[4月28日(金) 村田真]
エルンスト・バルラハ
4/12〜5/28 東京芸術大学大学美術館[東京]
エルンスト・バルラハ
バルラハと同時代の版画家ケーテ・コルヴィッツはずいぶん前から画集でなじんでいたけど、バルラハ自身の彫刻をまとめて見るのは初めて。バルラハは若いころ象徴主義の洗礼を受けたせいか、ある感情をひとつのしぐさで表わすのがうまい。とりわけ怒りとか恐れとか苦しみといった嘆き悲しみ系が、だれにでもわかりやすく形象化されているのだ。そこがケーテ・コルヴィッツとの共通点だろうし、ナチスに嫌われた要因でもあるだろう。ついでにいえば、どこか既視感があるなあと思ったら、平櫛田中の彫刻にも似ているのだ。
[4月28日(金) 村田真]
大正昭和前期の美術
4/12〜5/28 東京芸術大学大学美術館[東京]
大正昭和前期の美術
洋画、日本画、工芸、版画のコレクション展。芸大のコレクション展というと明治時代にばかり偏りすぎているせいか、今回は大正・昭和前期に焦点を当てたのかもしれないが、はっきりいってつまらない。やっぱり明治美術がいちばんおもしろい。
[4月28日(金) 村田真]
森万里子展 トムナフーリ
4/21〜6/3 SCAIザ・バスハウス[東京]
森万里子展 トムナフーリ
照明の落とされたギャラリーの奥に、高さ3メートルほどのモニュメントが立っている。細長いツメのようなかたちをした乳白色のガラスを2枚あわせたもので、なかに発光装置が組み込まれているのだが、ぼくが訪れたときはゴキゲンななめで光ってなかった。画廊のねーちゃんによると、スーパーカミオカンデでニュートリノがキャッチされるとコンピュータでこちらに送信され、内部が発光する仕組み。本来ならリアルタイムで送られてくるはずだが、現在スーパーカミオカンデ自体が停止中のため、ストックされた情報を受信しているらしい。ところがその接続もうまくいかずダウンしているというのだ。なんて説明を聞いてるうちに、おっ、光り出したではないか。内部のあちこちがほんのり赤や青に輝く。タイトルの「トムナフーリ」とは古代ケルト語で「黄泉の世界、魂の再生の場」を意味するという。古代ケルトの巨石文化と現代の宇宙物理学が交錯する気宇壮大な作品。でも故障すりゃ単なる粗大ゴミだよね。
[4月28日(金) 村田真]
『人間の未来へ──ダークサイドからの逃走』展
2/25~5/7 水戸芸術館現代美術センター[茨城]
未来への道を閉ざすような愚かな行為を続ける人々がいる。さまざまな角度から現実をみつめた表現がある。赤やグリーンのオーガンジー素材で作られた頭上に舞い降りてくるようなスゥ・ドーホー《落下傘兵III》はあまりにも美しく、美しすぎて悲しい。シリン・ネシャットの映像作品《Fervor》は何度かいろいろな場所で見てきたが、宗教、性差……モノクロで主人公は一言も発しない、寡黙な作品だが多層的な問題提起をする。会場を後にしたとき、私たちに未来ってあるのだろうか、という疑問に苛まれ。私たちはこんな現実から逃げてはいけない、と胸ぐらをつかまれたような気分になった。
[4月28日(金) 原久子]
クリテリウム68──本城直樹
4/1~5/7 水戸芸術館現代美術センター[茨城]
リトルモアから出版した写真集の売れ行きも絶好調だという本城直樹。ピントが一点に合わせるのではないこの撮り方だと、現実世界を実写しているにもかかわらず、よくできた模型を置いた箱庭のように見える。部屋を2分割するかのように、雪山(スキー場)と真夏のビーチの写真を展示。この撮影方法のアーティストが世界中でいま大人気なのか、洋書の写真集でもこの手のものが多く、なおかつ売れてるらしい。
[4月28日(金) 原久子]
オーストラリア現代作家──ディストニー・ディーコン展
4/29~6/11 東京都写真美術館[東京]
迫ってくるような写真が並ぶ。もしも、ディーコンが女性であり、先住民であることを知らなくても、彼女の作品には、確実に見る人に伝わるメッセージが含まれている。重い内容をこれほどまでにアッケラカンと素敵に作品にしてしまうアーティスト本人も、なかなか魅力的なヒトだった。
[4月28日(金) 原久子]
ヴィム&ドナータ・ヴェンダース写真展──尾道への旅
4/29~5/7 表参道ヒルズ本館地下3階「O(オー)」[東京]
はじめて表参道ヒルズを訪問。地階の展示会場はドラマチックな照明の演出となっている。瀬戸内の風景は素晴らしいし、尾道は日本に生まれ育った人ですら郷愁を感じる場所だ。見ていてすぐに浮かんできた言葉は「旅情」。旅に出ると感性が鋭くなってゆく。そこに住んでいる人の目ではなく、異邦人の目でみるとすべてがエキゾチックに映るのだろう。お金がかかったプリントにも驚きました。
[4月28日(金) 原久子]
Index
4/26-4/27
カンノサカン新作展「シンクロ」
雄川愛
田中奈津子──孤島群
いわいともこ&西野詩織
4/28
上野の森美術館大賞展
エルンスト・バルラハ
大正昭和前期の美術
森万里子展 トムナフーリ
『人間の未来へ──ダークサイドからの逃走』展
クリテリウム68──本城直樹
オーストラリア現代作家──ディストニー・ディーコン展
ヴィム&ドナータ・ヴェンダース写真展──尾道への旅
4/29-5/19
Move on Asia 2006 Clash and Network
淺井裕介「Masking Plant in KANDA」
36のペインティング 井上絢子と瀬戸口朗子
渡辺英弘展 平凡な日々
5/22-5/25
ポンペイの輝き
現代中国の美術展
リュック・タイマンス
奥井ゆみ子新作展
武満徹──Visions in Time
ヒラタシノ展
現代植物画の巨匠展
5/25
中沢研展
青木野枝
松山賢個展
木村みちか展
小出ナオキ展──Marriage
荒木経惟「色淫女」
米田知子 モノクロームの仕事1996〜2003
高松次郎 影のドローイング
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