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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
村田真/酒井千穂
8/1〜8/9
メルティング・ポイント
7/21〜10/14 東京オペラシティアートギャラリー[東京]
メルティング・ポイント
床に色とりどりのテープを貼ったジム・ランビー、展示室のなかに瞑想的な部屋をつくった渋谷清道、弾力のある半透明の繊維を水平に張ったエルネスト・ネトの3人展。こういうインスタレーション展のときガキを連れていくと、ベタベタさわって大変なことになる。だからインスタレーションを全面的に展示するときはさわってもいいような作品にしてほしい。そもそも見るだけのインスタレーションなんて花電車みたいでストレスたまるし。あ、花電車って知らないか。
[8月1日(水) 村田真]
「石田徹也とその仲間たち」展
7/30〜8/11 ギャラリーQ[東京]
「石田徹也とその仲間たち」展
石田は現代社会の閉塞感を描き続け、2年前に31歳の若さで亡くなった画家。昨年、遺作展とともに遺作集が出され、「NHK新日曜美術館」で特集され、この夏には故郷の静岡県立美術館で回顧展が開かれるなど急速に注目を浴びている。はたして生きていたらこれほど注目されたかどうか疑問に思うし、もし生前これほど評価されていたら、あるいは死なずにすんだかもしれない。だとしたら、彼の死はその作品を完結させ、付加価値を与えたということになりかねない。いくらなんでも「死んでよかったね」ってことにはならないはずだ。急激な再評価は恐い。
[8月4日(土) 村田真]
Vacant garden──浜田涼
7/30〜8/4 藍画廊[東京]
Vacant garden──浜田涼
思いっきりぼやけた写真。いつも眼鏡をかけてる人が裸眼になったときのような居心地の悪さ。でもファン・エイク(または17世紀オランダ絵画)以来、印象派を経て20世紀の表現主義、抽象絵画にいたるまで、美術史とは画像がどんどんぼやけていく過程だったといえるかもしれない。それを写真でやることはないけど。
[8月4日(土) 村田真]
カワイオカムラマ「サマータイムブルースアニメーション」
8/5〜8/26  京都芸術センター[京都]
カワイオカムラマ「サマータイムブルースアニメーション」
京都芸術センターの夏休み企画だったカワイオカムラの個展。最近作「取手アートプロジェクト2006」で発表された『ヘコヒョン・ナイン』をはじめとする2000年からの作品に加え、テレビ出演を疑似体験するという展覧会に先駆けて行なわれたワークショップの参加者が、カワイオカムラ作品の詳細について記憶を辿りながらカメラに向かって語る『フェイストークオンTV』も上映された。カワイオカムラと言えばすぐに「ヘコヒョン」という言葉が思い浮かぶほど、そのアニメーションのインパクトは強烈だが、登場キャラクター、その口調や、テレビのニュース番組の場面など、見たことがある、なにかに似ていると誰もが共有できるようなマスメディアのイメージがちりばめられた作品は、物語としての脈絡をつかむことができないだけに、生々しい現実感を帯びている。ウィークエンドプログラムとして金、土、日曜に開催されたボランティアスタッフによるナレーションつきの4本立て特別上映も面白かった。そのぎこちない朗読と女性の声は映像よりもフィクショナルなものに感じられ、入れ子構造の「ヘコヒョン」ワールドに迷い込んだ気分だった。
カワイオカムラマ「サマータイムブルースアニメーション」 カワイオカムラマ「サマータイムブルースアニメーション」

今月よりレビュアーに酒井千穂氏が加入します。これまで長年にわたりご活躍いただいた原久子氏に変わり主に関西地方の展覧会やアートプロジェクトをレビューしていただきます。連載をはじめるにあたり、酒井氏より一言コメントをいただきました。[artscape編集部]
なぜこの表現があるの? 作り手は何を考えて制作したの? それを知りたい、その思考を理解したいという気持ちは、私自らが「今」考えていることを確かめたいという鏡合わせの欲求なのだと、ある時知ってハッとしました。世界と私をつなげるドアであり、隔てるドアでもあるそのノブを握る好奇心に駆られ、ときにはホラー映画を観るときのように恐る恐る、日頃、発表の現場を訪れている気がします。今回、レビュアーに加わるにあたり、これからも常にそんな感覚と自分のスタンスを見つめながら美術にふれていきたいと考えました。どうぞよろしくお願いします。
左:《ヘコヒョン7》(2004)
モデル+セルアニメーション
右:《ヘコヒョン・ナイン》(2006)
モデル+セルアニメーション
[8月5日(日)、19日(日) 酒井千穂]
Chim↑Pom「オーマイゴッド」展
7/4〜8/11 無人島プロダクション[東京]
Chim↑Pom「オーマイゴッド」展
新聞にエロい広告を出し、電話してきたエロエネルギーを貯えて電気に変える《エロキテル》をはじめ、見知らぬおばんに電話して口座番号を聞き出し、お金を勝手に振り込む逆振込めサギ(?)、ディーゼル車の排気ガスで膨らませた風船、メンバーの垢をこねあわせてつくった彫刻など、若者らしいストレートでさわやかな作品が並ぶ。さっそくDVDを買った。カリフォルニアの留置場でほほえむエリちゃんの笑顔がステキだ。
[8月9日(木) 村田真]
Index
7/25
パルマ
祈りの中世 ロマネスク美術写真展
生々しき空像
アニエス・ワイルダー展
古池潤也展
加藤力──新作絵画
加藤泉「人へ」
7/28〜7/31
Oコレクションによる空想日術館
TWSエマージング
下道基行展「Pictures」
ritual
8/1〜8/9
メルティング・ポイント
「石田徹也とその仲間たち」展
Vacant garden──浜田涼
カワイオカムラマ「サマータイムブルースアニメーション」
Chim↑Pom「オーマイゴッド」展
8/10
紺泉 ある庭師──「多分のひととき
左目のいちじく──右目の太陽 鶴見幸代
西澤千晴個展
浜田涼──忘却録
8/16〜8/31
金刀比羅宮 書院の美──応挙・若冲・岸岱
自画像の証言
水川千春「のこり湯」
MIHOコレクション──大いなる時を超えて
9/7〜9/8
久保昌由展──もうひとつの風景
居城純子展──もうわかっていたことなのに、言葉になるのはずっとあと
水内善人展──小学23年生
起きて半畳寝て一畳──植松美早展/二宮幸司展
寺田就子展──ひとときの虹
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