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展覧会レビュー

村田真 原久子

  福・北 美術往来
1/5〜2/2 福岡市美術館[福岡]
 
  朝、近くの鶏小屋を改造した藤くんのアトリエを見せてもらい、車で美術館まで送ってもらう。北九州よりこっちのほうが会場が広く、作品もゆったりしている。作品は福・北で分けることなく混在しているので、どれがどっちの作品か一見わからない。同展を担当した学芸員の山口洋三氏(福岡)と花田伸一氏(北九州)の話を総合すると、福岡の作家は絵画など「もの」としての作品を追求していく傾向があるのに対し、北九州の作家は「もの」にこだわらずいろんなメディアを使い、しかも個人の名前を消してコラボレーションで活動する例が多いという。これはそのまま両都市のアートマーケットの有無に由来するかもしれない。そういえば、70年代の日本でインスタレーションが隆盛し作品が非物質化したのはマーケットが成熟してなかったからだし、80年代に絵画が復活したのはバブル景気だったからだ。してみると、福・北の美術状況の違いは日本の縮図かも。
[1月8日(水) 村田真]
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吉原治良賞美術コンクール展
1/6〜17 大阪府立現代美術センター[大阪]
 
  具体美術協会を引っ張っていた吉原治良の功績を称え、その名を冠した公募展。2年に1度開催され、大賞には200万円の副賞がつく。実は今年から審査委員が全員入れ代わり、私もその末席を汚している。選ぶ側の責任の重大さに怯えつつも、どんな応募作品と出会えるのか審査日をかなり楽しみにしていた。作品の公募に関する審査というものにかかわったのは初めてで、戸惑うことも実際多かった。そして選ばれた(否、私たち審査員が選んだ)作品群を展覧会というかたちで目の前にしたとき、正直なところさまざまな反省点をつきつけられた。
[1月9日(金) 原久子]
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sparkle 国谷隆志展
1/7〜19 ギャラリーココ[京都]
 
  ネオン管を用いるなどしたインスタレーション作品を展開してきた国谷。小展示室ではブルーの光が走るネオン管を左右両方の壁に1本ずつ配した作品を出品。メイン会場にはやや小ぶりな台座に両手でかかえられそうな石を見ることになる。平らに切断した石の上部面に星空のような図柄が描かれていた。宇宙に起こった物語のひとつとでも言えばいいのだろうか。いかようにも読み取れる。水戸芸術館の小企画クリテリオムでの個展も予定されている。
[1月9日(金) 原久子]
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オックスフォード大学アカデミーサロン
「アシュモリアン美術館の昨日、今日、明日」
1/9 アーク森ビルWEST36F[東京]
 
  オックスフォード大学付属アシュモリアン美術館の館長、クリストファー・ブラウンによる講演。モデレーターは森美術館のデイヴィッド・エリオット館長。振り返れば18年前、世界でもっとも古い公共ミュージアムがアシュモリアンであることを知って、わざわざオックスフォードまで見に行ったことがある。そもそもアシュモリアンは、ジョン・トラデスカントの自然科学コレクションを受け継いだエリアス・アシュモールが大学に寄贈し、1683年に博物館として一般公開されたもの。大英博物館より70年も早く設立され、古代美術からウッチェロ、ラファエロ、現代美術までコレクションも豊富で、現在では25人のキュレーターを含む150人のスタッフが働く大美術館なのだ。にもかかわらず日本であまり知られていないのは、教育・研究を目的とするため活動が地味なせいだろう。この講演会を企画したのが、コレクションをもたない知的エンタテインメント志向の森美術館(まだできてないけど)を推進する森ビルであるとは、見上げた根性ではないか。
[1月9日(木) 村田真]
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KIRIN ART AWARD 2002 受賞作品大阪展
  1/10〜2/24 KPOキリンプラザ[大阪]
 
  アニメーション作品が今年は複数入賞している。先に紹介した吉原治良賞が壁を支持体とした作品のみを対象にしているのに対して、こちらはどんなメディアもありだ。中央で照明を当てられ連結させたエレキギターで最優秀賞をとった佐藤好彦の作品。会場で制作途中だったのは、白い砂糖で白い壁に直接描いてゆく佐々木愛。思えば第1回目の最優秀賞がヤノベケンジの《タンキング・マシーン》だった。ヤノベは自分の道を歩き続け、現在の位置を得ている。佐藤は10年後どんな活動をしているのだろう。
[1月9日(金) 原久子]
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絵画の証
  1/7〜26 海岸通ギャラリー・CASO[大阪]
 
 
「絵画の証」展より中埜幹夫作品
中埜幹夫作品
9人の若手ぺインターたちを集めたグループ展。人垣ができていてちょうどアーティスト・トークをそれぞれを作品の前で行なっていた。でも、声が小さくて聞き取れないので、だれもいないところから作品を観てゆく。「絵画の証」はひとつではない、ということだけはわかった。
[1月11日(土) 原久子]
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空・青 児玉靖枝展
  1/7〜26 海岸通ギャラリー・CASO[大阪]
 
  展示されたタブローのすべてに桜の花が描かれている。目線の位置や、首が痛くなるほど高い場所など変化をつけた高さに展示されていて、どこを見ても桜が咲き乱れている。自分のいる場所が画廊の中で、絵画を観ているのだということを、なぜか足元のコンクリート製の床の感触で確かめた。
[1月11日(土) 原久子]
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myroom somehow somewhere ボクノ部屋ナゼカドコカニ
  1/10〜2/2 gm / graf[大阪]
 
 
ボクノ部屋ナゼカドコカニ
大竹伸朗、坂本龍一、奈良美智、よしもとばなな、参加者のメンツは超豪華。そして約200点がところ狭しと並んだmyroom。企画者である澤文也が、交流のあるアーティストたちからこの展覧会のために出品してもらった作品は、形態もアーティストの活動分野もそれぞれ違う。しかし、この会場に並ぶと何かしっくりおさまってしまう。何度か会期中に展示替えも行なった。展示替えというよりは「模様替え」という言葉のほうがあてはまるかもしれない。自宅に招かれたようなリラックスした雰囲気は、見に来た人たちが作品一つひとつの前で立ち止る時間も長くしている。長くベースにしてきたロンドンを近頃引き払った澤。職業は?ときかれると本人も答に困るに違いない。「また遊びに来ていい?」と皆が声をかけて帰りたくなる、そんな展覧会だった。
[1月11日(土) 原久子]
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