DNP Museum Information Japan - artscape
Museum Information Japan
Exhibition Information Japan
Recommendations
Exhibition Reviews
HOME
展覧会レビュー

村田真 原久子

江戸大博覧会
6/24〜8/31 国立科学博物館[東京]
 
 
江戸大博覧会
江戸時代のカメラオブスクーラやからくり人形、のぞきからくりやエレキテル、望遠鏡や顕微鏡、地図、解剖図、博物誌、動植物の標本など、視覚にかかわる装置をはじめとする広範な博物学的物品を一堂に集めたもの。江戸期にこれだけのポテンシャルがあったからこそ維新直後に博覧会や博物館が実現したんだろうし、近代化も早まったに違いない。風呂敷を広げすぎた観もあるが、入門編としてはきわめて見どころの多い展観。
[7月14日(月) 村田真]
top
所蔵作品展
6/16〜8/29 日本芸術院展示室[東京]
 
 
所蔵作品展
その存在は知っていたが内部をうかがい知ることのできなかった(てゆーか、知りたくもなかった)上野の日本芸術院会館の横を通ると、入場無料で所蔵作品展をやっているというので入ってみる。吉田五十八設計の建物は和風モダンというんでしょうか、平安朝を意識したつくりだそうです。その一画が展示室なのだが、銀座の画廊程度の大きさ。そこに日本画、洋画、彫刻、工芸、書が各2点ほど、計10人の10点が並んでいた。この分類は芸術院の組織上の分類と同じで、日展のジャンル分けとも重なる。出品作家のなかで知っていたのは上村松篁と堂本尚郎だけ。堂本はアンフォルメル以前の、街景を描いて日展で特選を得た25歳頃の日本画を出していた。美術にはぼくの知らないもうひとつの世界がある。
[7月16日(水) 村田真]
top
鈴木俊輔個展
7/14〜30 node[東京]
 
 
鈴木俊輔個展
造形大の絵画棟の一画を展示スペースに変えたnodeが1周年を迎え、卒業生の作品を展示している。「何を描きたいのかはわかりません。日々沸き起こる不安と欲望の気持ちをただ思いのままに、キャンバスや紙に描き出します」(『paper-node』10号より)と作者が述べているように、人のかたちにも見える記号的形態をさまざまな色彩で描き連ね、画面を埋めていく仕事。表現することのモチベーションがつかめない不安定な気分をそのままモチーフにしたような印象だが、それが原初的な線刻画や強迫観念的なアウトサイダーアートに近づくというのは、なんという逆説だろう。
[7月17日(木) 村田真]
top
再検証・高松次郎絵画作品〜アトリエより〜
6/25〜8/3 三鷹市美術ギャラリー[東京]
 
 
再検証・高松次郎絵画作品〜アトリエより〜
前回ここで高松次郎展を見てからもう7年もたつ。その頃高松は発病し、1998年に世を去った。没後5年にあたる今回は、アトリエに残されていた最初期の作品から最晩年のドローイングまで含めて、彼の画業を再検証するもの。画業といっても、彼のもっとも知られている作品群は60―70年代の立体もしくはトリック的な平面であって、絵画はこれまであまり顧みられることのなかった最初期と80年代以降に限られる。絶筆とされる矢印のような形態が胸に突き刺さる。
[7月17日(木) 村田真]
top
イ・クトゥット・ブディアナ展
6/7〜7/21 東京ステーションギャラリー
 
 
イ・クトゥット・ブディアナ展
サブタイトルは「魔境を幻視するバリ島絵画」。ブディアナはそのバリ島文化の中心地であるウブド村の代表的画家で、出品は約70点。おなじみの聖獣バロンや魔女ランダをはじめ、恐ろしげだけど愛嬌のある神や魔物を暗い色調のなかから浮かび上がらせている。素材は紙やキャンヴァスにアクリル絵具。キャンヴァスといっても目が細かいので絹本に近く、アクリルも黒を基調に薄く溶いて使っているため、西洋画よりも水墨画のような印象だ。モチーフこそバリ島ならではのものだが、画風はシュルレアリスム風ありアウトサイダー風ありとグローバル化している。
[7月18日(金) 村田真]
top
アウト・オブ・ザ・ブルー展
7/5〜8/31 トーキョーワンダーサイト
 
 
アウト・オブ・ザ・ブルー展
これはすごい。トーキョーワンダーサイトが、というより東京都がここまでやるとは思わなかった。珍しくホメてしまおう。でも本当にホメるべきは東京都よりアーティストのほうなんだが。これはアーティスト・イン・レジデンスの試験的試みで、大巻伸嗣、栗林隆、マーティン・シュミットの3人を招いて「場」をつくってもらおうというもの。なかでもすごいのがドイツ在住の栗林。ギャラリーの天井を低くして、奥のほうで脚立にのぼって天井裏をのぞけるようにしてある。ぼくの前の人は脚立にのぼったまましばらく降りてこないので、よほどおもしろいものがあるのかと思ったら、実際に見てみて納得。なんと天井裏全面に水をたたえているのだ。大巻は別のギャラリーを船底のように変え、シュミットは「ウォール・タトゥー」と称して壁に穴を開けて刺青を彫り込んでいる。まさに「Out of the Blue(だしぬけに)」。本格的なレジデンシー・プログラムの始動が待たれる。
[7月18日(金) 村田真]
top
内田巌遺作展
  7/15〜21 羽黒洞画廊[東京]
 
  内田巌といえば、敗戦後に民主主義美術を標榜する日本美術会を旗揚げ、画家の戦争責任を藤田嗣治ひとりに押しつけたこと、作品では、赤旗のもと労働者たちが一方向を見上げる《歌声よおこれ》しか知らなかった。まあそれで十分だったかもしれない、と、声のでかい美術ジャーナリスト藤田一人氏の企画した没後50年の遺作展を見て思った。作品はひとことでいえば素朴。昭和20年代生まれとしてはなつかしさを感じさせる絵だ。
[7月18日(金) 村田真]
top
彫刻の身体
  7/1〜21 東京藝術大学陳列館
 
 
彫刻の身体
藝大の彫刻科が陳列館で2年に1度開いている企画展の4回目。今回のテーマは「彫刻表現における身体とはなにか」というものだが、必ずしも人体彫刻に限られるわけではない。実際、林武史は矩形に割った石を2層に積んでその上を歩かせる作品だったし、渡辺英司+高木哲はクーラーを、市川武史はバルーンを出品していた。もちろん棚田康司の厚みのない全身像や、原真一のキモイ大理石彫刻など、人体をモチーフにした作品もある。いずれにしてもこのテーマで小谷元彦が入ってないのは残念だが、たぶんヴェネツィア・ビエンナーレで忙しかったんでしょう。突然ですが、注目の金獅子賞は、水流や髪(カツラ?)を大理石で彫った森淳一に勝手に決定しました。
[7月18日(金) 村田真]
top
   



ArtShopArchivesArt LinksArt Words
prev up next
E-mail: nmp@icc.dnp.co.jp
DAI NIPPON PRINTING Co., Ltd. 2003
アートスケープ/artscape は、大日本印刷株式会社の登録商標です。