2015年12月9日

ペットボトル用の無菌充填システムで水使用量を約9割削減

滅菌後の洗浄工程を無くした新システムが初採用、ボトル軽量化による環境負荷も軽減

大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、従来と比較して充填時の水使用量が大幅に削減できるペットボトル用無菌充填システムを開発し、国内の飲料メーカーで初めて採用されました。img5.gif

DNPのペットボトル用無菌充填システムは、無菌状態を保ったチャンバー内で、試験管のような小さなプリフォームをふくらませながらペットボトルを成形し、高温・短時間で滅菌した内容物を急速に冷却して常温でボトルに詰めるシステムで、国内でトップクラスのシェアを持っています。今回、ボトルの滅菌方法で過酸化水素を用いた最新のシステムにおいて、ペットボトルの成形時に発生する余熱を利用することで、滅菌後の無菌水による洗浄工程をなくし、水の使用量を従来と比較して約9割削減しました。

また、炭酸飲料向けに使用される耐熱圧ペットボトルの軽量化や、茶系飲料やジュースなどミネラルウォーター以外の内容物でペットボトル重量が国内最軽量レベルとなる14.6g(350ml~550mlボトル用)の製品を実用化するなど、環境対応の強化を進め、飲料メーカーの環境負荷の低減を支援しています。

 

【背景とこれまでの取り組みについて】

1990年代のペットボトル飲料は、約85~90℃に熱して滅菌した内容物をペットボトルに詰めるホット充填が主流で、飲料メーカーは高温に耐えられる肉厚で頑丈なペットボトルを使用していました。

DNPは、無菌状態で内容物を充填する包装技術の開発を1973年から開始し、コーヒー用ミルクのポーションパックのほか、ヨーグルトやチルド飲料等のカップ用の無菌充填機などを開発し、1994年にはペットボトル用の無菌充填システムを開発しました。このシステムは、充填と同時にプリフォームからペットボトルの成形を行うもので、成形前の小型のプリフォームで充填する工場に納入できるため、成形済みのボトルを輸送にする場合と比較して大幅に環境負荷を低減できます。また、飲料を常温で充填できるため、薄く軽量なボトルの採用が可能なためコスト面でもメリットが多く、今日までに国内外の数多くの飲料メーカーで採用されています。近年、各メーカーからは、環境負荷のさらなる低減に向けて水使用量削減への要求が高まってきており、システムとしての機能を損なうことなく、従来と比較して水の使用量を大幅に削減したペットボトル用無菌充填システムを開発しました。

【最新のペットボトル用無菌充填システムの特長】

・  ペットボトル成形機と充填機を一体化し、成形時の余熱を使用した温風での乾燥(エアリンス)時間を長くすることで、これまで滅菌用の過酸化水素などを除去するために行っていた無菌水によるボトル内の洗浄工程を不要としました。これにより、成形機と充填機が分かれていた以前のシステムと比較して、水の使用量を24.8t/hから2.7t/h(1分間に600本の充填が可能なシステムでの換算)と約9割削減しました。

・  炭酸飲料にも兼用できるペットボトル用無菌充填システムでは、水の使用量削減に加えて、耐熱圧用のペットボトルの軽量化も可能となりました。

・  ミネラルウォーター以外の内容物用に、国内最軽量レベルとなるペットボトル重量が14.6g(350ml~550mlPETボトル用)の製品を本年より実用化しており、さらなる輸送効率を図っています。

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【今後の展開について】

DNPは水使用量だけでなく、電気・蒸気等あらゆる必要エネルギーや薬剤の削減可能なシステムの開発に取り組んでおり、今後もペットボトル用の無菌充填システムにおける環境対応強化を進め、飲料メーカーの環境負荷の低減活動を支援していきます。

なおペットボトル用無菌充填システムの水使用量の削減については、12月10日(木)~12日(金)に東京ビッグサイトで開催される「エコプロダクツ2015」のDNPブースで実施するセミナー(12/10 16:00-16:30)で紹介します。

 

*  DNPはいま、「知とコミュニケーション」「食とヘルスケア」「住まいとモビリティ」「環境とエネルギー」を 事業の成長領域と位置づけ、新しい価値の創出に取り組んでいます。その一環として、環境配慮製品・サービスの開発に注力するとともに、温室効果ガスや水使用量の削減など、サプライチェーン全体での環境負荷低減の取り組みを進めています。

 

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