2023年3月9日

フィリピンでMaaSを活用したラストワンマイル物流の実証事業を実施

デジタル配送管理システムでコールドチェーン普及と雇用創出の可能性を検証

大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 以下:DNP)は2023年2月、フィリピン共和国にて、物流の最終拠点からエンドユーザーの手元までの「ラストワンマイル」の低温度帯配送「コールドチェーン」を対象に、DNPが開発したデジタル配送管理システム*1と、冷蔵・冷凍車に比べて低コストで導入可能な「DNP多機能断熱ボックス」*2を掛け合わせた物流サービスの実現性、市場受容性を検証する実証事業を実施しました。なお、本実証事業は、国土交通省の「デジタル技術を活用した物流最適化に資するソリューションの海外展開支援に係る調査検討業務」として実施したものです。

【フィリピンにおける物流の課題】 

近年、フィリピンでは新型コロナウイルスの影響などもあってオンラインショッピングの利用が増加して宅配の需要が高まっています。それに伴い物流の課題が顕在化しており、今回の実証事業でDNPは以下の3つの課題を設定し、解決を目指しました。 

1. 配送事業者の多くが配送指示をアナログ(紙や電話等)で管理していることにより、リアルタイムでのドライバーの配送状況把握が難しく、荷主の問い合わせに即時に対処できない。 

2. 冷蔵・冷凍車による配送が高価なため、一部のスーパーやコンビニエンスストア等を除いてコールドチェーンが普及していない。 

3. 巣ごもり消費等で配送需要が高まり、“モノ”の配送ドライバーが不足する一方、屋外の人流が減ったことでトライシクル(タクシー)ドライバーの仕事が減少し、収入機会が失われている。 

【実証事業の特徴】 

1.「デジタル配送管理システム」による配送状況の可視化 

ラストワンマイル配送に、DNPがユニアデックス株式会社、Global Mobility Service株式会社と2022年に設立した合弁会社3Q Dash Technolox, Inc.*3 が運用するDNPのデジタル配送管理システムを活用しました。従来アナログで管理していた配送指示をWeb上で管理します。配送ドライバーや荷主とのコミュニケーションは、従来のSMS(ショートメッセージサービス)や電話等に替えて専用のスマートフォンアプリで行います。ドライバーは業務進捗状況の更新をアプリで行い、管理者はWeb上のダッシュボード画面でドライバーの位置情報と業務進捗を確認することでリアルタイムに配送状況を把握できます。これにより、配送ミスを削減し、配送時間の短縮を図ります。

デジタル配送管理システム(左:配送ドライバーのスマートフォン画面 右:Web画面)

2.「DNP多機能断熱ボックス」を活用したコールドチェーン構築 

「DNP多機能断熱ボックス」は高断熱性能を有しており、電源を使うことなく内部の温度を長時間、一定範囲に保つことが可能です。生鮮食品や医薬品など、温度管理が必要な荷物の配送を視野に入れ、 今回の実証事業では、冷凍食品を配送しました。冷蔵・冷凍車のチャーターと比較し、より低コストでの温度管理が可能なため、これまで費用面が課題となって常温商品しか扱えなかった小規模な小売店等への冷蔵・冷凍食品の配送が可能となります。

配送の様子(左:配送ドライバー 右:DNP多機能断熱ボックス)

3.トライシクルドライバー等のリスキリングによる雇用創出 

デジタル配送管理システムを活用して配送業務を簡易化します。従来“人”を輸送していたトライシクルドライバーへの効率的なリスキリング(学び直し)を行い、“モノ”の配送ドライバーとしての業務を可能とすることで、雇用および労働機会の創出を目指します。 

【実証事業の概要】 

○実施時期 : 2023年2月10日(金)~24日(金) 

○実施場所 : フィリピン、マニラ首都圏および近郊 

○協力パートナーと担当内容 : 

株式会社YCP Solidiance : 市場調査 

3Q Dash Technolox, Inc. : ケーススタディ現地調査、マネジメント 

Global Mobility Service Philippines (以下GMS Philippines) : 配送ドライバー・車輌手配等

 

【本実証事業に関して関係者からのコメント】 

■3Q Dash Technolox, Inc.  Philip Sanvictores 社長 

今回の実証事業は限られた時間内で次々と即断を求められる中、アジャイルに進めながらほぼ当初予定した通りのレポート材料を創出できたことは大きな成果であった。今後はリアルの顧客をターゲットに、 デジタル配送管理システムの拡販に注力し、将来的にはデータビジネスにつなげていきたい。 

■Global Mobility Service Philippines, Inc.   中嶋一将 代表 

今回アサインしたドライバー達が忠実に仕事をしてくれたのでよかった。今後はDNPのデジタル配送管理システムとGMSの車輌、ドライバーを資産としてロジスティクス企業に交渉し、三位一体の事業主体構築も検討していきたい。 

【今後の予定】 

今回の実証事業では、配送管理の効率化、任意の温度帯を長時間保った配送および、配送業務が未経験のドライバーの業務への適応といった一定の成果が得られました。これを踏まえ、将来的には食品や医療品等を安全に最終目的地まで届けられる安心かつ高品質なコールドチェーンの普及・浸透と、当該市場における新たな雇用創出につなげます。 また、今回フィリピンにおける実証事業で得られた結果をもとに、今後市場適応性などを検討しながら東南アジア地域の各国(ベトナム、インドネシアを想定)への水平展開を目指します。

*1 フィリピンでは、デジタル配送管理システムの事業ライセンスをDNPから3Q Dash Technolox社に供与し、配送事業者にサービスを提供しています。配送業務管理者用の配送管理Webと配送ドライバー用のスマートフォンアプリで構成された配送管理システムです。配送オーダーの受領・登録、配送ドライバーのアサイン、配送進捗状況管理、配送ドライバーの現在位置情報や配達完了報告等をオンラインで管理できます。 

*2 DNP多機能断熱ボックスについてはこちら : https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1188731_1567.html 

*3 3Q Dash Technolox, Inc.は、DNP、ユニアデックス株式会社、Global Mobility Service株式会社が2022年に設 立した合弁会社。物流配送領域でインターネットを活用した荷主と配送ドライバーのマッチングサービスを行います。

https://www.dnp.co.jp/news/detail/10162252_1587.html 

※ニュースリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承下さい。

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