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Jin Session Small Works 2002/トーキョーワンダーウォール都庁2001/キヨッソーネ東洋美術館所蔵浮世絵展
荒木夏実
[三鷹市芸術文化センター]
 
札幌/吉崎元章
埼玉/梅津 元
東京・三鷹/荒木夏実
東京/南雄介
名古屋/拝戸雅彦
神戸/木ノ下智恵子
高松/毛利義嗣
郡山/木戸英行
岡山/柳沢秀行
福岡/川浪千鶴

 Jin Session Small Works 2002
 荒木珠奈、磯崎真理子、金沢健一、コイズミアヤ等38名の作家の小品(およそ20×20×20cm以内)約80点を出品。5000円程度の版画からあるそうなので、気楽にお買い物してみては? 見るだけでなく、持つ楽しみをおぼえると、アート鑑賞の幅はまた広がる。ところでいざ買おうと思うと、見て好きな作品と身近におきたい物は結構違っているから不思議だ。

 トーキョーワンダーウォール都庁2001
 
平成12年5月に始まった、若手作家の平面作品を都庁壁面に展示するイベント。今年度は341点の公募作品の中から88点を東京都現代美術館「トーキョーワンダーウォール公募2001」で展示し、そこからさらに厳選された受賞作品12点が毎月都庁に展示されている。新宿散歩のルートに入れてみてはどうだろう。

 キヨッソーネ東洋美術館所蔵浮世絵展
 ジェノバ出身のエドアルド・キヨッソーネは、印刷技術の指導者として1875年に日本政府に招聘されたいわゆる「お雇い外国人」であった。彼は生涯4,000点の浮世絵を含む15,000点の日本美術を収集した。本展はキヨッソーネ美術館所蔵の浮世絵およそ150点を紹介する。またキヨッソーネによる銅版画、紙幣、債券なども併せて展示する。

Jin Session Small Works トーキョーワンダーウォール キヨッソーネ
Jin Session Small Works 2002 トーキョーワンダーウォール都庁2001 キヨッソーネ東洋美術館所蔵浮世絵展

会期と内容
●Jin Session Small Works 2002
会期:2002年1月7日〜22日
会場:Gallery Jin(東京都武蔵野市吉祥寺本町2-26-12 クノス吉祥寺2F tel.0422-28-7708)

URL http://galleryjin.com/

●トーキョーワンダーウォール都庁2001
会期:2001年10月〜 2002年9月
会場:東京都庁第一本庁舎3階南側空中歩廊 tel.03-5320-6861
URL http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr2001031322.htm
●キヨッソーネ東洋美術館所蔵浮世絵展
会期:2001年2月21日(木)〜3月29日(金)
会場:三鷹市美術ギャラリー tel.0422-79-0033
URL http://www.mitaka.jpn.org
関連講座
「キヨッソーネと浮世絵」
2月23日(土)14:00〜 講師:別役恭子(大阪国際女子大学教授)
「日本近代紙幣の誕生−お雇い外国人キヨッソーネ」
3月17日(日)14:00〜 
講師:植村峻(紙幣評論家・お札と切手の博物館顧問)


学芸員レポート

 念願の直島に行ってきた。岡山県宇野港からフェリーでアクセスするのが何とも趣があっていい。安藤忠雄建築のベネッセハウスに一泊したかったのだが満室。けっこう人気のスポットになっているようだ。そこで国際キャンプ場のパオ型テントに泊まったのだが、暖房もよく効いていて雰囲気も良く、快適であった。
 コンテンポラリーアートミュージアムは、安藤建築と現代美術が上手く絡み合って心地よい展示であった。壁に囲まれた狭いスペース、広々とした吹き抜けの空間、階段、螺旋状のスロープ等々、身体と視線を移動させるしくみがバラエティーに富んでいる。気負うことなく美術のある「場」を楽しめるというところがすばらしい。作品はいわば大御所のものが中心で目新しさには欠けるが、ホテルを併設したリラックスできるミュージアムという意味で、機能を果たしている。
 特別展は、開館10周年記念企画「スタンダード」展(2001年9月4日〜12月16日)が開催中であった。島中の民家や路地、旧診療所、旧床屋などを使って現代美術作品を展示する試みである。自転車をレンタルし、坂道をハーハー言いながら上り下りして見て回った。しかし、労力のわりに得られたものはさほど大きくなかったというのが正直な感想である。 
 ボランティアの人にわざわざ奥まで案内してもらって、薄暗いお蔵の中を目を凝らしてみると、ぼんやりと杉本博司によるダムの写真が見える。 また民家の庭に入って行って縁側から中をのぞくと、はるか彼方に百合の花が見える。たぶんこれが須田悦弘の木彫りの作品なのだろうと推測するが、ボランティアスタッフに「作品はどこでしょう」と質問され、結局目の前の短い竹の仕切が作品であることが明かされる。人の住むプライベートな空間をパブリックに開放することも本展の一つの目的なのであろうが、民家に入るという行為は訪問者にある種の緊張を強いるものである。その先にある作品が、「ここにあるべき」必然性を欠くものであった場合、この緊張感は報われず、拍子抜けさせられるだけだ。他の展示も、場と作品の結びつけ方が安直なものが多く、インパクトに欠ける印象を受けた。見せる仕掛け、ボランティアの解説、作品の内容のつながりがどうもちぐはぐに感じられるのだ。それに、この展覧会は誰に向かって発信されているのだろうか。出品者は折本立身、宮島達男、大竹伸朗、中村政人等々「メジャーな」現代作家たちが名を連ねている。少し美術に詳しい人であれば「見たことがある」と感じるであろう。しかし、そのような現代美術ファンには物足りない内容ではないだろうか。彼らのもっと良いインスタレーションを東京で見たことのある人にとっては。そして、彼らの名前を聞いたこともない、現代美術に全く親しんでいない人たちにとってはわかりにくい、曖昧なものになっているのではないか。事実、須田の木彫りのことも、杉本の作品の傾向も知らない私の連れには、アートの面白さは伝わらなかったようである。島の住民はどう感じたであろうか。
 唯一印象に残った作品は、緑川洋一が戦後すぐに直島製錬所と宇和島を撮った写真であった。褐色の肌を見せて働く男たち、赤ん坊に乳を与える女。直島のかつてのパワーが生々しく伝わってくる。これはいわゆる「現代美術」とは異なる、直島の今と過去を結びつける「証拠」である。だがこれこそが直島を知らない私の目に一番リアルに映ったし、おそらく島の人にもそうなのではないかと感じた。
 現代美術を美術館や画廊とは全く異なるコンテクストの中で見せる試みが悪いとは思わない。しかし、今回の展示からは必然性が希薄で中途半端な印象が残ってしまった。現代美術と場、そして人を有機的に結びつけることはかなり難しい挑戦である。どのようにリアリティを持たせるか、どうやって「面白さ」を伝えるか、私自身にとってもそれは大きな課題である。

[あらき なつみ]

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