専務取締役 宮健司

【役員インタビュー】過去の改善ではなく、時代を先取りしDNPのDNAを活かした新たな組織へ

「未来のあたりまえをつくる。」ことを標榜し、より良い社会、より快適な暮らしの実現に向けて、新たな価値の創出に注力しているDNP。大きな変化のなかで、また直近ではニューノーマルの構築が求められているなかにあって、価値創出を加速させていくためあらゆる変革に挑戦し、人事諸制度の再構築も進めてきた。より明るい未来づくりにDNPが貢献していくには、どのような組織・体制・制度にしていくべきなのか。人事・労務分野の専務取締役を務める宮健司がDNPの人事ビジョンを語ります。

  • 「未来のあたりまえ」を創出できる人材・組織づくり
  • 最適な人材ポートフォリオを策定し、多様な人材が融合する組織へ
  • 社員の改革意識が自然と育つ組織をつくっていく
インタビューにこたえる宮健司

宮 健司
大日本印刷 専務取締役
人事本部・IR・広報本部・人財開発部・ダイバーシティ推進室・総務部担当

「未来のあたりまえ」を創出できる人材・組織づくり

インタビューにこたえる宮健司

Q. DNPでは2019年度から人事制度の再構築に集中的に取り組み、2021年4月から、その第3弾の施策を展開していきます。人事制度の再構築に至った背景をお聞かせください。

DNPは「未来のあたりまえをつくる。」というキーワードを掲げています。この言葉には、DNPの製品・サービスを生活者一人ひとりの身近に常に「あたりまえ」に存在する「なくてはならない価値」にしていきたいという気持ちを込めています。その価値は、社会の課題を解決するものであり、人々の期待に応えるものでもあり、「オールDNP」の総合力を発揮することで生み出していけると考えています。

この「未来のあたりまえ」という視点に立つと、その実現のためにはグローバルな視点やこれまでにない視点に立って新たな事業アイデアを創出できる人材が必要ですし、そうした人材を活かすためにこれまで以上に柔軟な組織が必要です。

今は社会の変化のスピードが早く、雇用が流動化している時代ですから、以前からある制度の課題を解決し、改定するだけではもはや十分に対応できません。そこで、現在と今後予測される社会課題や、DNPを取り巻く経営課題を受けとめて、ゼロベースで人事制度を再構築する必要があると思い至ったのです。

Q. 人事諸制度の再構築に取り組むなかでコロナ禍が起き、ニューノーマルの構築が求められるようになりました。制度の再構築にあたって影響はありましたか?

今、求められているニューノーマルの構築というのは、我々が進めている「未来のあたりまえをつくる。」という大きな取り組みに包含していけると思います。我々としては、「未来のあたりまえ」をつくるために何をすべきかを常に考えてきましたし、2019年度に再構築をスタートさせるに当たって、あるべき制度について集中的に議論してきていますので、コロナ禍による影響は一部の施策が少し前倒しになったくらいですね。やるべきことは基本的に変わっていません。

コロナ禍において、人事・労務の関連で大きなキーワードになったのが「働き方改革」です。DNPでもリモートワークが定着してきて、非製造職を中心に多くの社員が出社しなくても良い状況に合わせ、適切な評価制度の構築を急ぐ必要がありました。そこで人事制度再構築の第3弾では、新しい働き方とマネジメントのあり方として、成果やプロセスの見える化、チーム意識醸成のための新たな人事制度を導入します。

最適な人材ポートフォリオを策定し、多様な人材が融合する組織へ

インタビューにこたえる宮健司

Q. 「未来のあたりまえ」となる価値をつくり続ける組織にしていくため、どういった改革を行ったのですか?

DNPは2019年度に、事業ポートフォリオと連動させた人材のポートフォリオを策定しました。経営戦略に沿った活動を推進するための人事戦略はどうあるべきかを考え、どこにどういった人的資本を投資するかといった人員計画を持っていなければならないと考えました。

人材ポートフォリオを策定することによって、職務を限定した「ジョブ型」か、限定しない「メンバーシップ型」かという二者択一ではなく、DNPの企業風土や事業展開を踏まえて、両者の長所を掛け合わせたハイブリッドな人事諸制度を生み出しました。高度な専門性を持つ人材、マネジメント人材、新規事業の立ち上げに長けた人材など、さまざまな個性とスキル・ノウハウを持つ人材を適材適所に配置できるようにしたのです。

我々としては、従来のメンバーシップ型で育成してきた人材をいきなりジョブ型に転換するのではなく、これからも適切な形で強みを活かしていきたいと考えています。以前から、価値創出のスピードを上げるために、即戦力となる人材を外部から中途で採用したり、専門分野に明るい新卒を採用して育成したりといったジョブ型に近い取り組みも行っていて、中途採用の割合は4割に及んでいました。つまり、ジョブ型とメンバーシップ型の強みの掛け合わせが必要なのだと思います。

Q. 新しい価値を生み出すためには、一律ではなく多様性を認めあう組織が必要ということですね。

イノベーションは連続の中からは生まれません。開発の歴史や社内で受け継がれてきた常識から脱して、大きく飛び越える人がいてこそ、イノベーションは生まれます。我々が求めているのはそういう人材であり、組織です。

今回新たな人事制度を整えたことで、DNPの企業風土を醸成しながらも、外部からの新しい風を一層取り入れることが可能になりました。これで、世の中に新しい価値を提供し続けていくための強固な土台をつくっていけると思います。

とはいえ、人事部門の役割は制度を整えたら終わりではありません。会社の思いを社員全員に理解してもらうこと、そして、新しい人事制度がDNPの企業風土として定着するまできちんとフォローしていくことが大切であると考えています。

社員の改革意識が自然と育つ組織をつくっていく

インタビューにこたえる宮健司

Q. 人事制度の再構築はいったん完了しましたが、今後の展望をお聞かせください。

これからの時代を考えたときに、企業は今まで以上に社員とご家族の心身の健康にコミットし、そのための投資をしていくことが求められます。DNPでもこれまで社員の健康増進に取り組んできましたが、あらためてアフターコロナ/ウィズコロナを踏まえ、「健康経営」を切り口にして、今後取り組むべき戦略を整理していきます。例えば、「DNPが考える心の資産とは何か」をあらためて定義する。そして、社員がモチベーションを高く保って前向きに働けるように、「心の資産」を醸成するための施策を実行し、KPIをしっかりと立てて検証していく。こうした取り組みを進めていく予定です。

一般的に、組織に対する満足度が高いとエンゲージメントも高くなると言われます。しかし我々が考えるエンゲージメントが高い状態というのは、そこからもう一歩進めて、社員が自ら積極的に行動し、「未来のあたりまえ」をつくるためにがんばろうという気持ちになってもらうことです。こうした社員の気持ちを醸成していくためにも、働きやすい職場をつくり、職場やチームにおける「心理的安全性」を構築していくことが重要だと考えています。ご存知の通り、「心理的安全性」とは、チームの中での自由な発言や行動がポジティブに評価されることであり、それによって一人ひとりの多様な強みが出しやすくなりますし、それを掛け合わせて新しい価値につなげることができます。

今回の人事諸制度再構築には大きな財源も投入しており、DNPとして大きく変革する覚悟を持って取り組んでいます。社員全員にも、会社が本気であることをきめ細かく伝えていきたいと思っています。時代の変化に対応しながら「未来のあたりまえをつくる。」ため、社員一人ひとりが力を発揮できる組織づくりをこれからも目指していきます。