| 小吹隆文／福住廉 |
 |
| 4/27〜4/30 |
|
ファブリス・イベール たねを育てる展
4/26〜8/31 ワタリウム美術館［東京］ |
フランス人アーティスト、ファブリス・イベールの展覧会。色とりどりの野菜で人形を作ったり、エコアイディアのドローイングを見せたり、空間全体を深い藪で覆ったり、ホンモノのハチやハエ、ミミズをそのまま展示したり、自然環境を美術館の中で再現しようとしているようだ。見ものは、クリアケースの中で作られているハチの巣と、美術館の近辺で実施されている「ARTで街をやさい畑にするproject」。前者は透明なパイプによって館外に通じているため、花粉を持ち帰っては再び屋外に飛び立っていくハチの営みを目の当たりすることができる。後者は、その名のとおり、街のデッドスペースに野菜の苗を植えつけて栽培することで、青山産の野菜を食べようというプロジェクト。双方はともに会期中に成長／生長していくから、時間をあけて観察すると面白い。
［4月27日（日） 福住廉］ |
|
松田と栗原と森元、
4/24〜5/3 Otto Mainzheim Gallery［東京］ |
東京芸大の学生3名による合同展。地下の穴倉のような会場には、なぜか床一面に大量のポップコーンが敷き詰められ、来場者はそれらを踏みしめながら作品を鑑賞する。松田は交通事故や死体の画像をもとに映像や平面作品を作り、栗原は壁一面に幻想的な風景画を描き、森本は岡倉天心などの銅像を相手に激しく腰を振る映像作品などを見せた。作風は三者三様だけれど、会場にはなんというか「美大生のやさぐれ感」が充満していた。それは今となっては懐古的な佇まいであることは事実だが、売れる作品に躍起になっている現在のすかしたアートシーンへの強烈なカウンターパンチでもある。
［4月29日（火） 福住廉］ |
|
液晶絵画 Still/Motion
4/29〜6/15 国立国際美術館［大阪］ |
「液晶絵画」とは、近年の映像技術の飛躍的進歩により、ビジュアル・アートに新領域が生まれつつあることを踏まえた造語である。出品作家は、森村泰昌、千住博、鷹野隆大、ヤン・フードン、ビル・ヴィオラら、日本、アジア、欧米の14人。作品のタイプは様々だが、それらは総じて、画質の高精細化により絵画鑑賞に近い視覚体験が得られることと、絵画と映像の中間的な表現であることが特徴である。本展の主眼は新ジャンルの定義づけではなく、胎動をいち早く伝えることだった。しかし、今後こうした「液晶絵画」的な表現が増加するのは、まず間違いないだろう。先駆となった本展は、後年にマイルストーンとして評価されるかもしれない。
［4月29日（火） 小吹隆文］ |
|
内藤絹子 祈りの言葉
4/29〜5/11 ギャラリーアーティスロング［京都］ |
紙の上に文字を埋め尽くした内藤絹子の作品。その文字は紙に直接書かれたものではない。紙の裏面にインクを塗り、別の紙の上に乗せてその上から書くと、ちょうどカーボン紙の要領で下の紙に文字が転写されるのだ。この方法だと、力の強弱だけでなく運動の痕跡（手形や足形）までもが転写され、形容し難いパワーが作品に宿る。言霊の実在を感じられる作品だった。
［4月30日（水） 小吹隆文］ |
|
|
| Index |
|
|
