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展覧会レビュー
村田真/酒井千穂
10/24〜10/29
特別展「大琳派展−継承と変奏−」
10/7〜11/16 東京国立博物館・平成館[東京]
「なんとなくイメージは出来る気がするけれど“変奏”なんて言葉があるのかい」と両親に聞かれたものの私も解らず。ともあれ琳派どころではなく大琳派というのだからスゴイにちがいないと出かけた。ちなみに朝から、すでに賑わっていたこの日の午後、来館者は10万人を超えたらしい。見終えてみるとこの人気も頷ける。展覧会の目玉のひとつである《風神雷神図》、残念ながら宗達の屏風は会期がまだ少し先だったので展示されておらず、この日、4作品すべてを見ることはできなかったが、光琳と抱一、其一の3作品だけでも充分見応えのある空間だった。近づいたり離れたり、それぞれの技量やセンスを比較しながら鑑賞する楽しさを満喫。琳派ではもっとも地味なイメージがあったけれど、特に其一の襖絵の自由闊達な筆致は想像以上で、個人的に見ることができてもっともよかったと思えるものだった。
[10月24日(金) 酒井千穂]
駅2008 鶴見線に降りたアートたち展
10/25〜12/7 JR鶴見線の5駅[神奈川]
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JR京浜東北線の鶴見駅から京浜工業地帯へと伸びる鶴見線の5駅に作品を設置している。主催は現在休館中の東京ステーションギャラリーで、本拠の東京駅が改修工事中で使えないあいだ、JR駅を舞台に展覧会活動を続けているのだ。でも構内で見せるため、安全性や耐久性の問題をクリアしなければならず、おのずと小規模な作品が多くなった。いっちゃなんだが、作品よりも鶴見線沿線の風景や駅の風情のほうがはるかにおもしろい。そもそもこの路線、工場で働く人たちと工場萌えのオタクくらいしか乗らない、知る人ぞ知るレアな鉄道なのだ。とくに海芝浦駅が絶景。ぜひ展覧会にかこつけて乗っていただきたい。
[10月25日(土) 村田真]
米田知子 展「ANEND IS A BEGINNING 終わりは始まり」
9/12〜11/30 原美術館[東京]
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展覧会のチラシの写真が印象的で、ぜひ見に行きたいと思っていた。目には見えない「記憶」と「歴史」をテーマにした写真作品は、タイトルを読んではじめてその状況を把握したり、過去にそこで起こった出来事や時間への想像を巡らすことができる。例えば「SCENE」という作品シリーズは、一見、どこかの国のごく日常的な何気ない光景の一場面や、穏やかで美しい風景を撮影したもののようだが、それぞれの作品タイトルを見ると、それらの風景が紛争のあった土地であったり、地雷の埋まった場所であるということが分かる。タイトルと写真のイメージとを摺り合わせ、歴史としてのひとつの物語を想像させる作品群には、目には見えない事実を捉えようとする冷静な視線と同時に、その風景への特別な思いを抱いた作家の眼差しが感じられる。階段踊り場に展示されていた《ウエディング──中国から北朝鮮を臨む国境の川、丹東》という船上の結婚式を撮影した作品が美しく切ない。
[10月25日(土) 酒井千穂]
笹倉洋平展「ツタフ」
10/4〜10/26 PANTALOON[大阪]
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笹倉が昨年から取り組んでいる《ツタフ》というシリーズの新作。蔦が繁茂し、どこまでも絡まり合いながら広がっていくイメージが大画面に描かれているが、会場の吹き抜けの空間に展示された今回の大作は、感嘆してしまうほど圧倒的な迫力。ペンだけで描いた線の動きや流れは、ある箇所では塗りつぶしたように真っ黒の色面になっていた。それが増大して空間をも埋め尽くしていくかのような切迫感と緊張感を放っているが、自由に「走る」線の滑らかな痕跡もうかがえて、凄い!という言葉が自然と口から出てくる。流れる滝のように壁面に垂らされた作品を下から見上げたり、梯子を上って見下ろしたりしてみると、天窓から差し込む日射しの微妙な加減や角度で、さまざまな表情を楽しめるものだった。最終日に駆け込んだけれど、やっぱり見ることができてよかった。
[10月26日(日) 酒井千穂]
藤井秀全「Stain“Outward”」
10/25〜28 スパイラル1階ショウケース[東京]
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5月の第9回SICFでグランプリを受賞した藤井秀全のプチ個展。グランプリと同様の発光ダイオードを使った作品のほか、ほどいたセロハンテープを偏光板のケースに入れた作品も出品していて、これがまた美しい。が、ただ美しいだけともいえるわけで、その先が課題だ。
[10月28日(火) 村田真]
百花京乱
10/11〜12/7 MoriYu Gallery Kyoto[京都]
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移転した場所で新たにオープンしたモリユウ・ギャラリーで、20名を超える取り扱い作家の展覧会が開かれている。百花京乱のタイトルのとおり賑やかな内容で派手な展示。これから先の展覧会も楽しみだが、ギャラリーの場所が桜並木が美しい疎水沿いにあるのも魅力的だ。
[10月29日(水) 酒井千穂]
Index
10/3〜10/5
金沢アートプラットホーム2008
サイトウ・マコト展 SCENE[0]
ワークショップ「レインボーシャワー・AKASAKA」
10/7〜10/9
横浜トリエンナーレ2008
現代美術への視点──エモーショナル・ドローイング
パラモデル個展「Pなる想い」
拡張された感覚──日韓メディア・アートの現在
Trace Elements トレースエレメンツ──日豪の写真メディアにおける精神と記憶
ヴィルヘルム・ハンマースホイ──静かなる詩情
都市のディオラマ
10/12〜10/13
柴田美春展「Complex」
井関未央展「born」
河合晋平展「Live Rock」
TAMA VIVANT 2008 イメージの種子
レッド
10/15〜10/21
松本秋則
クモの網展
堂本右美「After All」
石原慎太郎 十代作品展「痛ましき十代」
坂本友由
林勇気 個展「ちいさなまひ」
ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力
10/23
フェルメール展:光の天才画家とデルフトの巨匠たち
線の巨匠たち
米林雄一展
第4回「アトリエの末裔あるいは未来」展
地下室の残像
ボストン美術館:浮世絵名品展
10/24〜10/29
特別展「大琳派展−継承と変奏−」
駅2008 鶴見線に降りたアートたち展
米田知子 展「ANEND IS A BEGINNING 終わりは始まり」
笹倉洋平展「ツタフ」
藤井秀全「Stain“Outward”」
百花京乱
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