株式会社陣設計様

耐候性と高級感を両立する外装パネル
陣設計が採用を続ける理由-施工事例

建物全体のグレード感を高め、街に対して品格ある顔をもたせる。
マンションのファサードやエントランスまわりを中心に、オリジナルで豊かな表情を演出する「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」を数多く採用しているのが、株式会社陣設計の設計室でチーフデザイナーを務める由田 力(よしだ つとむ)氏です。
なぜ数多くの事例でアートテックを導入してきたのか、その理由と魅力、またデザインのポイントを伺いました。

本記事は、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

株式会社陣設計 由田 力氏

株式会社陣設計 由田 力氏

陣設計の特徴

陣設計では、どのようなタイプの建物を手掛けることが多いでしょうか?

由田 力(敬称略。以下、由田):これまで陣設計はオフィスビル、マンション、ホテル、商業施設など、さまざまな用途や種類の建物を設計してきましたが、最近では特にマンションの案件が多いです。デベロッパーの各企業は近年、分譲のほか賃貸にも力を入れていて、そのなかでも高級賃貸マンションを提供することが増えています。私たちはそれぞれのプロジェクトでその都度、コンセプトの立案から実施設計や監理まで行っています。たとえ同じブランドの建物であっても、プロジェクトごとにその土地に見合う建物を創っていくことを大切にしています。

社内には設計室として13名のスタッフがいて、私自身はチーフデザイナーとしてプロジェクト全体の7割から8割の案件でデザインを見ています。建物のボリューム検討や基本設計の終盤を通してデザインを考えていくなかで、仕上げの選定なども行っていきます。そこで、設計担当と法規の関係などでやり取りをして、全体の調整を図っていくことが役割です。

また、建物やインテリア以外に、外構や植栽、照明、家具も同時にデザインしています。例えば、マンションであれば、エントランスラウンジのソファや什器のほとんどを特注しています。木目を揃えたり幅木に床のタイルを使ったり、インテリアと共通するマテリアルを使うと空間に馴染みやすく、物件としての付加価値を高められると感じています。

アートテックとの出会い

アートテックのことを知ったのは、いつごろでしょうか?

由田:もう10年ほど前になります。東京・東中野のマンション「オーベルアーバンツ東中野」でエントランス扉と駐輪場の扉を検討していた際、特注色をオーダーしたところ、アートテックを紹介してもらいました。実物を見て「この表情なら使ってみたい」と思い、そのマンションのエントランス扉に採用しました。そこから、頻繁に物件にスペックしています。エントランスや外壁の意匠の一部として使うことが多いですね。

私たちがアートテックを採用し続けている理由の一つは、そのサイズ感にあります。最近ではタイルでも全長が3,500mmほどの大判のものがありますが、大判タイルに匹敵するほどの大きさがアートテックにはあります。特に、1階分の階高を1枚で、途中に継ぎ目を入れずに仕上げられることが、大きなメリットです。また、石やタイルは重量が大きくなる傾向がありますが、アルミパネルのアートテックはかなりの軽量化ができ、構造に負担がかからないという点でも有利です。

そして一番のメリットは、耐候性にあります。外壁材として似たものがあっても、20年や30年経ったときの風合いがどうなっているかは不安材料となり得ます。その点、アルミ製品のアートテックは耐候性に優れており、安心して使用できます。実際に初期のプロジェクトで外壁に採用した事例では、10年ほど経った今でも、特に目立った変化はありません。マンションでのアートテックの事例は、私が採用した時点ではほとんどなかったと記憶していますが、最近では他の事務所でも採用例が増えてきているようです。

オーベルアーバンツ東中野のエントランス扉

オーベルアーバンツ東中野のエントランス扉

アートテックの採用事例

アートテックを採用した事例をいくつか説明いただけますか?

ザ・パークハビオ 上北沢

ザ・パークハビオ 上北沢

由田:「ザ・パークハビオ 上北沢」は、つい最近の2023年8月に竣工した、三菱地所レジデンスの賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」の一つです。この建物では、住戸バルコニー側のファサードを上から下まで縦に通るライン部分にアートテックを使用しています。
外壁を全体的に明るい色調でまとめたなかで、アルミの質感を活かしながら光沢感をもたせてラインが浮き立つ意匠ができていると思います。マンションのエントランスアプローチのゲートにも、同じアートテックを用いました。

ザ・パークハビオ 上北沢 ファサードの見上げ

ザ・パークハビオ 上北沢 ファサードの見上げ

ザ・パークハビオ 上北沢 アプローチ

ザ・パークハビオ 上北沢 アプローチ

ザ・パークハビオ 文京江戸川橋

ザ・パークハビオ 文京江戸川橋

同じく三菱地所レジデンスの「ザ・パークハビオ 文京江戸川橋」でも、前面道路側のファサード外壁で、縦のライン部分にアートテックを使っています。また、上北沢と同様に、エントランスのゲート庇(ひさし)部分にもアートテックを用いました。いずれもマンションの顔になる部分です。

ザ・パークハビオ 文京江戸川橋 ファサードの見上げ

ザ・パークハビオ 文京江戸川橋 ファサードの見上げ

ザ・パークハビオ 文京江戸川橋 エントランスアプローチ

ザ・パークハビオ 文京江戸川橋 エントランスアプローチ

ザ・サンメゾン二番町エルド

ザ・サンメゾン二番町エルド

「ザ・サンメゾン二番町エルド」でも、縦のライン部分にアートテックを使って、線を揃えています。ここもアルミの素地を活かした表情にしました。私はアートテックを使う場合、金属調の仕上げを採用することがほとんどです。まわりのタイルや吹付け塗料などの材料をマットな表情のものにすることで、互いの相乗効果を狙っています。あくまで建物を構成する部材の一つとして、全体のまとまりを損ねないように、素材の表情をうまく作用させていくのがポイントです。

本記事は、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

金属調の質感を採用する理由

アートテックで金属調を多く選ばれているのは、なぜでしょうか?

由田:仕上げ材では素材感を大切にしていますが、アートテックでなければ表現できない表情があると思います。木目や石の柄を再現するというより、この資材が金属であることを主張して、その表情を引き出したいと考えています。アルミ素地の光沢感と印刷の掛け合わせで独特の模様ができるのは魅力的です。

プロジェクトごとにアートテックの色味や柄は異なるのですが、「ザ・サンメゾン二番町エルド」で使った柄は気に入ったので、その後もバリエーションをいくつもつくりながら他の事例で採用しました。石目調でありつつ、リン酸処理を施したようなメタリック感のある柄です。

ザ・サンメゾン二番町エルド 木目やリン酸処理を思わせるメタリック感のある柄

ザ・サンメゾン二番町エルド 木目やリン酸処理を思わせるメタリック感のある柄

意匠を実現するためのプロセス

イメージ通りの色味や柄を実現するためのプロセスについて、教えてください。

由田:DNPの担当の方にサンプルを出してもらい、微調整をかけながら何度かやり取りをします。こうしたいというイメージはあるので、「もう少し赤みを強くしてほしい」「モアレ感をもっと出したい」といった、色味や柄の出具合に対して意見を伝えます。素材を組み合わせてつくり上げていく建築のデザインは、料理と似ていると思います。アートテックのように「このようなことができないか」というところから素材自体を一緒につくることができるのは、デザインの楽しみの一つです。

自社の設計担当とはパネルをどう納めるかについてディテールの打ち合わせをしますが、その時にDNPの担当の方に相談することもあります。自分たちは、アートテックに曲げ加工を施してビス留めし、シーリングを打つ納まりとすることが多いです。

関係者の評価

クライアントや利用者の反応は、いかがでしょうか?

由田:プレゼンテーションでは、つくるものの意図がより伝わるようにするため、CGパースも自分自身で作成しています。アートテックのような素材のサンプルとパースを一緒に見せながら説明を進めますが、サンプルはA4サイズ程度に限られており、完成イメージの共有が難しい面もあります。例えば、「ザ・サンメゾン二番町エルド」のプロジェクトでは、初めて外壁にアートテックを使用しました。建設現場を隠していた足場が取り払われ、建物全体が露になった瞬間、関係者からは「おーっ」という歓声が上がりました。期待していた通りのリアクションで、とてもうれしい経験でした。

ちなみに、この「ザ・サンメゾン二番町エルド」では、太陽の光の反射で近隣のクレームがあるかもしれないという懸念もありましたが、結局は何もありませんでした。光沢感はあっても、光の反射が強すぎることはなかったので安心しました。

今後の展開

アートテックを今後どのように使っていこうと考えられていますか?

由田:現在よく採用している分譲マンションや高級賃貸マンションでは、これからも外壁やエントランスまわりを中心に使う予定です。ビルでは、時代を反映してか、オフィスから住宅に用途変更してコンバージョンするプロジェクトも増えています。軽量で耐候性が高いアートテックは、法規的な要件をクリアすれば外装で使用するメリットも大きいと思うので、積極的に検討していきたいと考えています。

■設計者
由田 力(よしだ つとむ) 株式会社陣設計
1963年金沢生まれ
1979年金沢市立工業高校 建築科入学
1982年金沢工業大学 建築学科入学
1986年山城デザインスタジオ入社。A Factory、協立建築設計事務所等を経て、2007年陣設計入社にて、現在に至る。アートテックを、合計7物件にて採用。代表物件「オーベルアーバンツ神楽坂」「ザ・サンメゾン二番町エルド」「オーベル藤が丘」「ザ・パークハビオ 文京江戸川橋」「ザ・パークハビオ 上北沢」等を手掛ける。主にマンションのデザインを担当 。

■事例DATA
オーベルアーバンツ東中野
所在地:東京都中野区東中野1丁目59-7
用途:分譲マンション33戸
施主:大成有楽不動産株式会社
竣工年:2014年
設計:株式会社陣設計
デザイン監修:株式会社陣設計
施工:株式会社鍜治田工務店
ファブリケーター:三和タジマ株式会社
建物構造:RC
規模:12階建
敷地面積:398.51m2
建築面積:296.8m2
延床面積:2492.67m2
施工期間:2013年04月-2014年09月

ザ・サンメゾン二番町エルド
所在地:東京都千代田区二番町1-6
用途:分譲マンション39戸
施主:サンヨーホームズ株式会社
竣工年:2015年
設計:株式会社陣設計
デザイン監修:株式会社陣設計
施工:株式会社イチケン
ファブリケーター:株式会社オクジュー
建物構造:RC一部S
規模:地下1階付11階建
敷地面積:799.88m2
建築面積:396.92m2
延床面積:3485.83m2
施工期間:2013年10月-2015年01月

本記事は、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

  • *2023年10月19日 DNP市谷加賀町ビル 応接室にて
    *アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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