丸善ジュンク堂書店
書店員が語る2020-2021
第2弾 コミック MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店 八木泉さん

私たちDNPは、生活者の「知」を支える出版文化の継続的な発展に貢献するというヴィジョンを掲げています。コロナ禍が社会を席巻した2020年。外出自粛やテレワーク・リモートワークの普及は、書店にも大きな影響を与えました。 いま、生活者が本や書店に求めるものは何か?ポストコロナ時代に求められる出版文化の姿はどんなものか?生活者の気持ちを知るため、丸善ジュンク堂書店の4ジャンルの書店員の皆さんに、2020年の書店動向と、2021年に向けた取り組みのヒントを伺いました。 DNPは今後も、ジャンルに則した最適なソリューションで、生活者のニーズに応える出版ビジネスを支えていきます。

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【INDEX】
■2020年を席巻した『鬼滅の刃』
■増える「全巻買い」はサブスク動画の影響か
■漫画の凄さを伝えられるお店でありたい
■理想の“三角関係”があれば、絶対に売れる!

■2020年を席巻した『鬼滅の刃』

『ONE PIECE』『進撃の巨人』を越える“凄み”

4月に入って緊急事態宣言が出ると、梅田周辺の大型書店が休業していたこともあり、梅田店にはお客さまが多かったんです。ただ、学習参考書や社会を学ぶようなジャンルは売れていましたが、コミックは落ち込みました。
ただ、今年は『鬼滅の刃』がありましたので、それが何とかしてくれたという面はあります。このレベルの社会現象を起こす漫画は、過去にも『ONE PIECE』『進撃の巨人』などで経験がありますが、鬼滅の場合は、それをさらに超えるパワーを感じましたね。
ただ、ピーク時は20巻近くある本が200冊ずつ届くわけですから、その整理は大変でした(笑)。段ボールの数もすごいですし、中には巻数がバラバラに入っていたりするので、整理するのに2時間とか…そんなこともありましたね。
鬼滅が前代未聞の売れ方をする中で影に隠れている感じもありますが、実際にはほかの作品もすごく売れているんです。鬼滅の相乗効果で、コミックコーナーに足を運ぶ人が増えている影響はあるのではないかと思っています。

■増える「全巻買い」はサブスク動画の影響か

「Netflix」「AmazonPrimeVideo」のアニメから「全巻買い」の流れ

コロナになってから売れ方が全然変わってしまって、「全巻買い」がすごく増えたんです。今、『ハイキュー!!』とかも相当売れているんですが、45巻もある作品が飛ぶように売れて全然足りないんですね。
外出自粛やテレワーク・リモートワークによって“お家時間”が増えているから、NetflixやAmazonPrimeVideoでアニメシリーズを見て、『BANANA FISH』とかをバーンと一気買いしちゃう。梅田店は既刊の売上が高い店舗ですが、通常コミック売り場というのは新刊のほうが売れるんですよね。それが今は、「アニメで面白かったから、全巻くれ!」という買い方になってきています。
サブスク動画でアニメを見て、面白いとSNSで拡散して過去の作品が話題になる。みんなが全巻買いするから、既刊の在庫がどこにもなくなってしまうというようなことも起こっています。本当に、コロナが売り方をガラッと変えてしまったな、と感じています。

■漫画の凄さを伝えられるお店でありたい

お客さまに新しい発見を提供する場を、どう作っていくかが勝負

私は新刊の「1巻目」を仕掛けることを得意としています。コミック売り場の棚で「丸善ジュンク堂の梅田店にはおもろいもんがあるぞ」というのをお客さんに植え付けて、新刊を買っていただく。
作家さんを招いたイベントも多くやってきました。漫画は1ページ描くのに3時間以上かかるわけで、プロットからネーム、ペン入れという流れの中で世界を作っている。映画を作っているようなものだと思います。それがこんなに安い値段で売られている凄さを、感じていただくことで、漫画を好きになってもらいたいと思います。
でも、今はそのようなイベントができる状態ではないですよね。コロナが落ち着いたとしても、この状況は変わらないと思うんです。書店員としてはしんどいところですね。
やっぱり“楽しく”売りたいですよね。漫画家さんも、イベントやサイン会から元気をもらっている方々がたくさんいます。ただ単純に売るのではなく、いろんな発見やつながりを提供できる売り場を、アフターコロナの状況でどう作っていくか、来年以降の大きな課題になると思います。

■理想の”三角関係”があれば、絶対に売れる!

販売・編集・書店員がアイデアを持ち寄ることが重要

販売の人、編集の人、そして私たち書店員が、ちゃんと三角関係を作っていたら、漫画は絶対に売れる。コミック担当を20年やってきて、私はそう思っています。
販売の人は数字のことを言うじゃないですか。編集の人は「この人はこれまで売れてないけど、すごいいい作品を描いたから売れる!」と言う。販売は「気持ちはわかるけど、元々の部数が少ないから、そんなに無理だよ」と…。
そうなったときに、書店員はどちらの立場もわかっていて、数字のこともわかった上で、作家さんの魅力を引き出すこともできるんです。書店と販売部だけでもうまくいかないし、書店と編集とだけでもうまくいかない。編集と販売部だけでもダメです。今は時期的に難しいですが、棚を前にして三角関係でじっくり喋ることで、売れる売り場は絶対に作れると思っています。
また、私たち書店と出版社、DNPという三角関係での取り組みも始まっています。今後、この三角関係ができれば、キャンペーンの企画はもちろんのこと、デザインや印刷・製本といったモノ作りにまで踏み込んだ、新しいアイデアや企画を生み出していけると思っています。

第3弾はジュンク堂書店池袋本店の実用書担当、山本寿子さんに伺います!

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