建物だけでなく街全体を優しく包みこむ
市松模様の軒天井を採用した港南台病院
-アートテック建物探訪

建築物のさまざまなシーンで、オリジナリティにあふれた豊かな表情を演出する「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」。その高いカスタマイズ性や質感表現が、実際の建物にどのように活かされているのかを25年の経験を持つ建築ライターが探訪する「アートテック建物探訪」シリーズです。

暮らしやすい街として高い人気を誇る、神奈川県横浜市の港南台。買い物をはじめとする生活の利便性が高いうえ、信頼できる病院が整っていることも、安心して長く住める大きな要素となっています。

医療法人裕徳会 港南台病院(以下、港南台病院)は、この街で1979年に創業し、地元に密着した医療を提供する総合病院として地域住民に親しまれています。港南台病院は40数年にわたり、施設の規模を拡大し増築しながら運営を続けてきましたが、外来患者やスタッフの動線に無理が生じていたため、建物の大改修を行いました。調査と設計に約2年、施工に約半年の期間をかけて、2023年10月にリノベーションが完了しています。

建物だけでなく街全体を優しく包みこむ 市松模様の軒天井を採用した港南台病院-アートテック建物探訪

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本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

医療法人裕徳会港南台病院の正面

地元密着型の総合病院として、40年に渡り開業している「港南台病院」

周辺環境と刷新されたアプローチ

病院の建物は、ベージュ色だった外装を白色に一新しました。また、アプローチまわりを大きく刷新しています。

港南台病院は幹線道路沿いに位置しており、交差点の角を曲がると、正面エントランスが現れます。前面道路と建物1階の間には高低差があるため、エントランスへは階段を使うアプローチになっています。以前は、建物から少し離れて大回りに歩行者用の階段だけが設置されていましたが、改修により緊急車両や送迎の車がエントランスに横付けできるスロープが設けられ、歩行者用階段と分離されました。歩行者と車両は左右で分かれることになり、左手の建物側に歩行者用の階段が設けられています。

医療法人裕徳会港南台病院の歩行者用アプローチ

歩行者用の雨除けとなる、歩行者用アプローチ上の庇(ひさし)

木目調のアートテックを庇の軒天に採用

歩行者用アプローチは、階段の途中に踊り場を設け、そこから左に90度折れてエントランスに至る階段が続く構造になっています。そして、歩行者用アプローチの上部には、雨除けを主目的とする庇を設置しています。

庇の高さは床からは2.4mほどです。建物側のRC造の壁から持ち出して取りつけられており、軽やかさを演出しています。また、約900mmの正方形のパネルを用いて、踊り場とその前後の部分で段差をつけたデザインは、リズミカルな印象も与えています。

庇の軒天に設置されたLEDダウンライト

アートテックの木目調のアルミパネルと夜の歩行者の安全のために、庇の軒天にLEDダウンライトを設置

庇の軒天には、アートテックの木目調パネルを使用しています。明るい茶色の木目柄で、近づいて見ると、木目の方向を1枚ごとに90度ずつ回転させていることがわかります。黒い目地で区切られていることもあり、少し離れると市松模様のように見えます。

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「耐候性と木目の再現性がアートテックにはある」

改修設計を行った有限会社 正木建築研究所の正木 拓氏は、「雨風に対する耐食性と木目の再現性から、アートテックはこの庇の軒天として最適だった」と語っています。

軒天は、日射が直接当たらないことを考慮して、色味をあえて少し明るめに設定したそうです。また、夜間でも歩行者が安全に利用できるように、足元灯に加え、庇にLEDダウンライトを設置しています。正方形パネルの一つおきに、中央にマットシルバーのダウンライトが取りつけられています。

見た目が重く感じないように設計された庇部

庇部の見た目が重く感じないように、さまざまな配慮を施した設計

庇部の高さ(庇の厚み)は約200mmです。100mm角の鉄骨柱で支えられており、庇の下地も同様の鉄骨で組まれています。庇の側面は黒いアルミ板でカバーされており、アルミ板を半分の高さに分割することで重たい印象にならないよう配慮しています。また、軒天パネル同士を突きつけにせず、深めの黒い目地をとることで、パネルがほどよく浮かび上がって見えるデザインになっています。

日没時にLEDダウンライトのあかりに包まれるアプローチ

日没時、庇のLEDダウンライトで暖色系のあかりに包まれるアプローチ

病院が街全体を優しく包みこむ

夕方になり、遊びや学校、仕事を終えて帰途につく人々が病院の前を行き来する頃、アプローチの足元灯と軒天に配されたLEDダウンライトが灯されます。アプローチ全体が暖色の優しいあかりに包まれる様子は、病院の利用者の安全を確保するだけでなく、港南台病院が地元の人々の安心を支える存在であることを表しているかのようです。

2023年11月21日現在の情報です。

■事例DATA
医療法人 裕徳会 港南台病院
所在地:神奈川県横浜市港南区港南台2-7-41
用途:エントランス軒天
施主:医療法人 裕徳会 港南台病院
竣工年:2023年
設計:有限会社正木建築研究所
施工:株式会社田中土建工業
建物構造:RC
規模:地上3階建 地下1階建て
敷地面積:1,504.20m2
建築面積:853.16m2
延床面積:2,254.63m2
設計期間:2021年5月-2022年12月
施工期間:2022年4月-2023年9月

*アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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