ESGとSDGsの違いとは?サステナビリティ推進に必要な基礎知識
「ESG」と「SDGs」はよく一緒に語られますが、いざ説明しようとすると言葉に詰まる方も多いのではないでしょうか。取引先から対応を求められたり、社内で取り組みを始めようとしたりする場面で、「そもそも何が違うのか」と疑問を感じることもあるでしょう。本記事では、ESGとSDGsのそれぞれの意味や違い、企業として取り組む理由を、基礎からわかりやすくお伝えします。(2026年5月公開)
-
「DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービス」に関するお問合せはこちら(別ウィンドウで開く)
企業のサプライヤーエンゲージメントを強化し、Scope3の1次データ化を加速・GHG排出量削減を支援いたします。ご質問など気軽にお問合わせください。
目次
1. ESGとSDGsの違い
2. CSRとの違い
3. 企業がESGとSDGsに取り組むメリット
4. ESG推進で見落とされがちなポイント
5. サプライチェーン全体でESGを推進するためには?
6. まとめ
ESGとSDGsの違い
「なんとなく知っているけれど、違いをうまく説明できない」人は多い
|
|
当社が実施した「ESG・SDGsの認知と理解実態に関する調査」では、ESGとSDGsの違いを「明確に理解している」と答えた人はわずか2%でした。
「なんとなく理解している」を合わせても33%にとどまり、約7割の方が「あまり」「ほとんど理解できていない」と回答しています。
耳にする機会は増えていても、きちんと説明できる人は少ないのが実情です。
まずは、それぞれの意味から確認していきましょう。
ESGとは?
ESGとは、以下の頭文字を取った言葉です。
E:Environment(環境)
S:Social(社会)
G:Governance(ガバナンス)
企業が長期的に安定して成長するために欠かせない3つの観点を表しています。
環境の面では温室効果ガスの削減や省エネへの取り組み、社会の面では働きやすい職場づくりや多様な人材の活用、ガバナンス(企業統治)の面では法令を守り経営を透明に保つことなどが含まれます。
近年は株主や投資家が企業を評価する際の基準としても重視されており、対応の有無が資金調達にも影響するものです。
SDGsとは?
SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、Sustainable Development Goalsを略した言葉です。
Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)
2015年に開催された国連サミットで採択され、2030年までにより良い世界を実現するために取り組むべき17の目標が定められています。
気候変動への対応、貧困の解消、すべての人への質の高い教育など、地球全体が抱える課題が幅広く盛り込まれています。
国や政府だけでなく、企業・地域団体・個人まで、すべての人が取り組む対象である点が大きな特徴です。
ESGとSDGsの違いを3軸で比較
ESGとSDGsは、誰が・何のために ・どのような場面で使われるかという3つの軸で比べると、違いが整理しやすくなります。
| 比較軸 | ESG | SDGs |
|---|---|---|
| 誰が? | 企業・投資家 | 国・企業・個人(すべての人) |
| 何のために? | 経営・投資の評価指標(手段) | 国際的な行動目標(ゴール) |
| どのような場面で? | 投資判断・企業経営・情報開示 | 社会課題の解決・政策・啓発活動 |
表を見ると、2つは対象も性質も異なることがわかります。ただし、まったく別物というわけではありません
ESGとSDGsの関係性
SDGsが「社会全体としてめざすゴール」だとすれば、ESGは「企業がそのゴールにきちんと向かっているかを確かめるための評価の物差し」といえます。
企業が環境への配慮、社会への貢献、健全な経営管理に取り組むことは、自然とSDGsの目標達成にもつながります。
そのため、多くの企業はESGとSDGsを別々に考えるのではなく、セットで推進しています。
「めざす目標(SDGs)」と「その手段(ESG)」という関係を押さえておくと、取り組みの方向性が見えやすくなるでしょう。
CSRとの違い
ESGやSDGsと似た言葉に「CSR」があります。
それぞれが何を指しているのかを整理しておくと、自社の取り組みをより的確に設計できるようになります。
CSRとESG・SDGsを比較
CSRとは「企業の社会的責任」のことで、Corporate Social Responsibilityを略した言葉です。
Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)
利益を追うだけでなく、社会や環境に対して責任ある行動を取ることが企業に求められるという考え方です。
CSRは企業が自発的に始めた取り組みですが、ESGは投資評価に直結するため、より経営の中心に位置づけられています。
SDGsはすべての主体が共有する目標であり、CSRやESGはそれを達成するための手段のひとつです。
| 比較軸 | CSR | ESG | SDGs |
|---|---|---|---|
| 主体 | 企業 | 企業・投資家 | 国・企業・個人 |
| 義務の有無 | 自主的な取り組み | 投資家・市場からの要請が強まっている | 国際合意にもとづく |
| 目的 | 社会的責任の履行・企業イメージの向上 | 企業価値の向上・投資家からの評価 | 持続可能な社会の実現 |
ESG経営とCSR経営の違い
CSR経営では、社会貢献や環境への配慮を「企業として果たすべき義務」として行う側面が強く、費用として扱われることもありました。
一方、ESG経営は投資家からの評価や企業の長期的な価値に直結するため、経営戦略の一部として位置づけられます。
例えばESGへの対応状況が、銀行からの融資条件や株主からの評価に影響するケースもあります。
任意の活動ではなく、事業運営と密接につながっている点がCSRとの大きな違いです。
企業がESGとSDGsに取り組むメリット
|
|
前述の調査では、企業のESG・SDGsへの取り組みについて「積極的に取り組んでいる」と答えたのは4%、「ある程度取り組んでいる」が29%となり、約7割が十分に進んでいないという回答となりました。
しかし、ESGやSDGsへの対応は今や企業の競争力にも関わる問題です。
取り組むことで得られる具体的なメリットを見ていきましょう。
投資家・金融機関から資金を調達しやすくなる
投資家や銀行が融資先を選ぶ際に、ESGへの取り組みを重視する動きが世界的に広がっています。
きちんと対応している企業は資金を集めやすくなる一方、対応が遅れている企業は投資対象から外れるリスクもあるでしょう。
売上や利益だけでなく、環境や社会への姿勢も評価される時代になっています。
リスク管理が強化され、ブランド価値が高まる
例えば仕入れ先での環境汚染や人権問題が発覚すると、発注元の企業も批判を受けることがあります。
ESGに誠実に取り組む企業は、その逆で信頼を得やすくなります。
|
|
今回の調査でも、ESGやSDGsに積極的な会社への印象として「社会的責任を果たしている(24%)」、「信頼できる(14%)」という評価が集まりました。
優秀な人材を確保しやすくなる
社会課題への関心を持つ求職者にとって、企業のESGへの姿勢は職場選びの判断材料のひとつになっています。
取り組みを発信することで共感する人材を引き寄せやすくなるほか、「自分の仕事が社会に役立っている」と実感できる環境は、入社後の働きがいや定着率の向上にもつながるでしょう。
取引先からの信頼を得て、ビジネス機会が広がる
大手企業を中心に、取引先にESGへの対応を求めるケースが増えています。
基準を満たせない企業は取引を続けにくくなるリスクがある一方、適切に対応ができる企業には新たな取引や協業の機会が生まれることもあります。
ESGへの姿勢が、選ばれる企業かどうかに影響する場面が増えているのです。
ESG推進で見落とされがちなポイント
ESGに取り組もうとするとき、まず自社内の対策から始める企業が多いですが、実際には自社だけで完結しない領域があります。
原材料の調達から製品が届くまでの一連の流れ、すなわちサプライチェーン全体を視野に入れた対応が、求められています。
ESG対応に求められるサプライヤーへの範囲拡大
ESGの評価は、自社だけでなく仕入れ先や委託先を含む取引の流れ全体に及びます。
環境への影響に加え、仕入れ先での人権侵害や劣悪な労働環境、法令違反なども、発注元の責任として問われることがあります。
「自社内でさえ対応すればいい」という考え方では、ESGの要求に応えきれなくなっているのです。
サプライチェーンで生じるESGリスク
実際にサプライチェーンで問題となるリスクは、環境・社会・ガバナンスの各領域にまたがります。
例えば、以下のような観点での確認が求められます。
| E(環境) | 温室効果ガス排出量、省エネルギーへの取り組み |
|---|---|
| S(社会) | 労働環境の整備、人権配慮、安全衛生 |
| G(ガバナンス) | 法令遵守、内部統制、情報開示の体制 |
いずれも、発覚した場合には企業の信頼やブランド価値に大きな影響を与えるリスクです。
そのため、自社だけでなく、取引先の状況を把握し適切に管理していくことが大切です。
サプライチェーンのESG推進における担当者の課題
仕入れ先のESG対応状況を把握するには、排出量データの収集に加え、労働環境や人権への配慮、法令遵守の体制など、幅広い項目を確認する必要があります。
取引先の数が多いほど管理の範囲は広がり、専門的な知識も求められます。
こうした対応をすべて自社内で担うのは容易ではなく、担当者の負担が大きくなりやすいのが実情です。
そのため、必要に応じて外部の知見や仕組みを活用しながら、無理のない形で推進していくことも重要になります。
サプライチェーン全体でESGを推進するためには?
自社だけでなくサプライチェーン全体でESGを推進するには、環境・社会・ガバナンスの各側面をふまえたうえで、継続的に取り組める専門的なノウハウと継続的な仕組みが不可欠です。
まず取引先の現状を把握し、環境・社会・ガバナンスの各観点でどのような課題があるかを整理することから始め、そのうえで、優先度の高い領域から改善に向けた取り組みを進めていきます。
例えば環境面では、温室効果ガス排出量の把握や削減に向けた計画を立て、実行と検証を繰り返していきます。
取引先ごとに異なる課題を整理し、状況に応じた対応を進めていくためには、専門的な知見やノウハウが求められます。
こうした取り組みは、自社だけで進めるには難しいケースもあるため、効率的に進める方法のひとつとして、外部サービスの活用も選択肢となります。
「何から始めればよいかわからない」という段階から専門家の支援を受けながら進めることも有効です。
DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービスでできること
DNPは株式会社zeveroと協業し、「DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービス」を提供しています。
サプライチェーン全体における環境対応、特に温室効果ガス(GHG)排出量の削減を支援するサービスです。
Scope3に焦点を当て、サプライヤーから一次データを収集・整理することで、排出量の実態と要因を可視化し、そのうえで、削減インパクトや実現可能性を踏まえた施策の立案から、実行・改善までのプロセスを支援します。
また、サプライヤー向けの説明会や研修を通じて、排出量削減に向けた理解促進と協働体制の構築を支援する点も特徴です。
環境・社会・ガバナンスの各側面を踏まえたうえで取引先ごとに異なる課題を整理し、継続的に取り組める仕組みを通じて、一社だけでなくサプライチェーン全体でESGを進めることができます。
まとめ
ESGは企業や投資家が経営・投資の判断に使う評価の物差しであり、SDGsは国連が定めた2030年までの国際目標です。
ESGが「手段」、SDGsが「目標」という関係にあり、企業がESGに取り組むことでSDGsの達成にも貢献できます。
また、ESGの評価は自社だけでなくサプライチェーン全体に及ぶため、仕入れ先を巻き込んだ対応が必要です。
Scope3の排出量を把握・削減するには専門的な知識が求められますが、外部のサービスを活用することで、負担を抑えながら着実に取り組みを進められます。
-
「DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービス」に関するお問合せはこちら(別ウィンドウで開く)
企業のサプライヤーエンゲージメントを強化し、Scope3の1次データ化を加速・GHG排出量削減を支援いたします。ご質問など気軽にお問合わせください。
