値上げ時代、それでも「この店で買いたい」と思われる理由はなにか。

ー納得感のある販促と、店舗体験をつくるための考え方ー

値上げは、もはや一時的な対応ではありません。
原材料費・物流費・人件費の上昇が続くなか、小売りにとって価格改定は“前提条件”となりました。
一方で、生活者の購買行動はより慎重になっています。
「高くなったかどうか」以上に、「その価格に納得できるか」「この店を選ぶ理由があるか」
――その判断が、来店や購買を左右する時代です。
特に値上げ局面では、価格そのもの以上に、なぜこの価格なのか納得を得られるかが問われます。
今求められているのは、値上げという事実をどう伝えるかではなく、価格を含めた“店舗体験全体”をどう設計できているかという視点ではないでしょうか。
本コラムでは、DNPの豊富な実績からこれからの時代の店舗体験価値の設計について解説します。

価格だけで選ばれない時代、購買判断の軸は「体験」へ

スマートフォンやSNS、ECの普及により、生活者は簡単に情報を比較できるようになりました。
その結果、購買判断は価格一択ではなく、

  • 価格に対する納得理由があるか
  • 情報がわかりやすいか
  • 売り場で迷わず選べるか
  • この店は信頼できるか

といった複合的な要素によって決まるようになっています。

特に値上げ局面では、「高いか安いか」ではなく、なぜこの価格なのかに納得できるかが選択の分岐点になります。
どの接点でも説明が一貫しているか、売り場でその意図がきちんと伝わっているか。
その積み重ねが、生活者の納得感を形づくっていきます。

理想はあっても、現場では「続かない」販促が増えている

一方で、店舗の現場では人手不足や業務の複雑化が進み、販促や売り場づくりに十分な時間を確保することが難しくなっています。

  • 本部の意図が店舗ごとに異なる形で伝わってしまう
  • 販促が単発で終わり、次につながらない
  • 顧客の反応を振り返る余裕がない

こうした状況では、「良い体験を提供したい」という思いがあっても、継続的な取組みにすることができません。
さらに、価格の意図(なぜこの価格なのか)も接点ごとにばらつきが出やすく、 説明が途切れることで納得感が損なわれるケースも少なくありません。
値上げ時代だからこそ、この“伝えたいことと、現場の実行とのズレ”が生活者の不信感につながりやすくなります。

体験価値は、派手さではなく「わかりやすさ」から生まれる

店舗体験価値という言葉から特別な演出や新しい施策を思い浮かべがちですが、生活者が求めているのはもっと日常的なものではないでしょうか。

  • 自分にとって必要な情報が、ちょうどよく整理されている
  • 価格の理由や商品の価値が過不足なく理解できる
  • 売り場で迷わず判断できる
  • 「この店なら大丈夫」と感じられる

こうした小さな納得感の積み重ねが、「また来たい」「ここで買いたい」という感情につながっていきます。
そのためには、販促をイベントで終わらせず、「なにを伝えたかったのか」「どう受け取られたのか」を振り返り、次に活かす視点が欠かせません。

体験を支えるのは、表に出ない「仕組み」

納得感のある体験が続いている店舗に共通しているのは、特別なアイデアよりも、改善を回し続ける土台があることです。

  • 販促の意図が現場で共有されている
  • 現場の工夫や顧客の反応が記録されている
  • 成功・失敗が次の施策に反映されている

こうした仕組みがあることで体験価値は属人化せず、店舗や組織全体で積み重なっていきます。

DNPが提供する流通向け情報管理プラットフォーム「Retail Meister®」 (リテールマイスター)は、こうした考え方を背景に設計された仕組みです。
表に出る販促ツールというよりも、販促と店舗業務、顧客体験を裏側でつなぐ役割として活用されています。

値上げ時代に選ばれ続ける店は、「説明できる体験」を持っている

価格競争が激しくなるなかで、「なぜこの店なのか」を説明できる体験を持っているかどうかが、これからの小売りの競争力を左右します。
それは一度の施策で完成するものではありません。
現場の小さな改善を積み重ね、納得感として生活者に伝え続けること。
値上げ時代だからこそ、価格と体験を切り離さず、一体として設計・運用できているか。
その積み重ねを支える考え方や仕組みが、これまで以上に重要になっているのではないでしょうか。

※「Retail Meister」はDNP大日本印刷株式会社の登録商標です。

※2026年6月掲載

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