コンテンツ供給力の獲得に欠かせない「コンテンツの作り方改革」とは?

前回の記事では、マーケティングのDXに欠かせないコンテンツ供給力とその重要性について解説しました。コンテンツ供給力を獲得するためには、コンテンツ管理を一元化した上で、次のステップである「コンテンツの作り方改革」へと進む必要があります。
この「コンテンツの作り方改革」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

目次

1.コンテンツ供給力の定義とその必要性
2.コンテンツ管理を一元化したあとにすべきこと
3.コンテンツファーストの考え方とは
 3-1.従来のコンテンツファースト
 3-2.これからのコンテンツファースト
4.コンテンツファーストの意識がコンテンツの作り方改革の礎となる

1. コンテンツ供給力の定義とその必要性

本題に入る前に、コンテンツ供給力についておさらいしておきましょう。

コンテンツ供給力の定義

“コンテンツ供給力とは、「安定して継続的に新しいコンテンツを制作し、顧客に提供し続けられる力」のことを指します。”

マーケティングのDXでは、多くのチャネルを用いて顧客一人ひとりに対し適切なコミュニケーションを図るため、大量のコンテンツが必要になります。旧態依然とした制作環境では慢性的なコンテンツ供給不足を解決できないので、テクノロジーを用いてコンテンツ管理を一元化することが、コンテンツ供給力を獲得するための第一歩となります。

コンテンツ供給力の必要性

“マーケティングのDXは、データの統合やMAなど、顧客行動を分析・理解する基盤を整える部分にフォーカスしたサービスがほとんどです。しかし、顧客を次のステップに進めるための魅力的な情報が詰まったコンテンツを提供し続けられなければ、顧客とのコミュニケーションが途絶えてしまい、商品の購入へとつなげることが難しくなります。このように、投資したテクノロジーを最大限に有効活用できない状況は、企業にとって機会の損失に他なりません。”

マーケティングのDXが浸透しつつあるのに対し、それを支えるコンテンツ制作環境は手つかずというケースが多くみられます。効果的な施策をスピーディに実施し、企業の成果を拡大していくためにも、コンテンツ供給力の獲得は必要不可欠です。

コラム: マーケティングのDXに必要な「コンテンツ供給力」とは?

2. コンテンツ管理を一元化したあとにすべきこと

コンテンツ管理を一元化しても、従来と同じ制作体制やフローを続けていては、コンテンツ制作全体の工数減につながらず、管理に必要な作業や工程が増えただけで、かえって制作効率は悪化、すぐに破綻してしまうでしょう。そうならないために必要なのが、コンテンツの制作から顧客との各タッチポイントに展開するまでのプロセスを見直し、根本的に変革することです。コンテンツの一元管理はあくまでも第一歩であり、次のステップとなる制作フローの変革に取り組むことで、ようやくコンテンツ供給力を獲得するための基盤が整ったといえます。

これまでは、コンテンツの設計から制作・公開に至る流れを、メディアを管轄する部署や組織ごとに分けて進行するフローが一般的でしたが、この部分から変革していく必要があります。
そのためのヒントが、「コンテンツファースト」という考え方です。

3. コンテンツファーストの考え方とは

3-1. 従来のコンテンツファースト

コンテンツファーストという言葉自体は、実は新しいものではありません。Webデザインにおけるコンテンツ制作の手法として存在しており、今でも必要に応じて活用されています。

Webデザインはもともと、レイアウトの枠組みを先に決めてから中身のコンテンツを制作するデザインファーストで行われていました。これは、当時はレスポンシブの概念がまだなく、Webサイトを印刷物のような固定の枠組みで制作する必要があったためです。しかし、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が普及し、レスポンシブデザインが一般的になったことで、固定の枠組みという制限は取り払われました。その結果、ユーザーに届けたい情報とその分かりやすさ・見やすさを重視し、中身のコンテンツを制作してからレイアウトを決める「コンテンツファースト」という考え方が注目されるようになりました。
これが、従来のコンテンツファーストです。

3-2. これからのコンテンツファースト

現在のコンテンツ制作にこの考えを取り入れると、活用しやすさを最優先に、メディアの枠に左右されることなく制作フローを設計するという順序になります。つまり、顧客とのタッチポイント全体でこの考え方を意識し、メディアにひもづけられたコンテンツ制作から脱却するというのが、これからのコンテンツファーストに必要な条件です。

メディアにひもづいたコンテンツ制作では、想定するターゲットやマーケティングファネル上の顧客フェーズが限定されてしまい、それゆえに制作されるコンテンツの内容に偏りが出やすくなります。また、他メディアでの転用が意識されないため、再加工しづらいデータになる点も無視できないでしょう。

しかし、カスタマージャーニー上でいつどんなコンテンツを提供するべきかをあらかじめ設計し、各コンテンツを構成するのに必要な素材やパーツを制作・管理したうえで、提供する媒体に合わせて抽出・最終化するフローであれば、工程の重複や再加工の手間を大幅に省くことが可能になります。

4. コンテンツファーストの意識がコンテンツの作り方改革の礎となる

このように、コンテンツファーストの考え方とマーケティングのDXは相性がよく、活用法次第で業務効率化とそれ以上の価値を企業にもたらします。マーケティングのDXにはコンテンツ供給力が不可欠であり、そのためにはコンテンツの一元管理と制作フローの見直しがセットで必要になるため、コンテンツ管理サービスの導入だけで終わらせず、根本的に改革するという意識をもって取り組むことが成功のカギとなります。

かつてWebデザインにおけるコンテンツファーストの考え方がマーケティング手法にも影響を与えたように、コンテンツ制作における新たなコンテンツファーストの考え方が、現在のマーケティングの意識を変えようとしています。「コンテンツ制作とはこういうもの」という思い込みを捨て、「顧客一人ひとりが求めるコミュニケーションを実現するためのコンテンツ制作とはどうあるべきか」について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

※2021年5月時点の内容です。

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