2019/6/14

論理的思考力が身につく! プログラミング教育実践のポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事のポイント

  • 「言語活動」と異なる「プログラミング的思考」の育成がポイント
  • 先生のスキルに依存しない、教材の導入も一考
  • 各地で進む実証研究の取り組みと成果に注目


2020年度の小学校プログラミング教育必修化に向け、文部科学省は「遅くとも2019年度には教員が指導できる準備を整え、子どもたちへの指導や教材の研究に取り組んでほしい」という姿勢を示しています。

必修化が迫る中「具体的にどのようなことに注意して準備を進めれば良いのか」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本コラムでは、プログラミング教育をこれから導入するにあたり、押さえておきたいポイントや実践事例をご紹介します。

プログラミング教育のパートナー「コンピュータ」への理解を深める

新学習指導要領では、児童がプログラミング教育を通じて「プログラミング的思考」を身につけることがねらいとされています。そして、特に児童を指導する教員は、この「プログラミング的思考」がふだんの言語活動で使われている論理的思考力とは異なるということを意識することが重要です。

例えば、コンピュータに「ちゃんとしなさい!」といった、ひと相手に使われるような抽象的な命令は通用しません。コンピュータに意図した処理を行わせるためには、明確な手順を指定して指示することが不可欠だからです。そして、明確な手順を指定するためには、コンピュータの特徴を十分に理解しておく必要があります。

こうした特徴を教員が理解しないままでは、児童にプログラムの良さを気づかせるような授業をすることは難しいでしょう。そして、このような課題を解決するためには、プログラミング教育必修化に向けた移行期間のうちに、教員自身が実際にプログラミング教育を体験しておくことが重要です。

一方、新学習指導要領にはプログラミング教育を行う方法は具体的には示されていないため、どのようなカリキュラムを採用していくかは、各自治体が判断しなければなりません。さらに、プログラミング教育を実践するための教材は複数の企業からリリースされているため、「どれを試したら良いのか」と悩むこともあるでしょう。

そこでここからは、すでにプログラミング教育の実証研究を進めている自治体での取り組みをご紹介します。

各自治体で進む実証研究

-愛知県A市

愛知県A市では、市内の小学校全校で統一したプログラミング教育を実践しています。

A市教育委員会の指導主事は、プログラミング教育導入のねらいについて「これからの社会で生きていく子どもたちにとって情報手段の活用というスキルはとても重要であり、小学校段階からプログラミングの体験を通して素地を養うことが大切だと考えました」と語ります。

その一方、導入前にはプログラミングを指導する教員のスキルが課題となっており、「どうやって指導したらよいのか」という声が上がっていたと振り返ります。

そこで、A市が導入した教材は、教員のプログラミングスキルに依存しない指導資料であることが特徴で、各時間での明確な目標と系統的なカリキュラムが設定されているため、児童のスキルアップを実感しやすいものです。

この教材の選択理由について、同指導主事は「プログラミング的思考を養うにはアルゴリズムや順次処理、反復処理といった基本的な要素をある程度押さえることが望ましいことから、そうした点をしっかりカバーしてくれる教材を選んだ」としています。

実際に6年生の「総合的な学習の時間」におけるプログラミング授業を行ったA市立B小学校のC教諭は「子どもたちはプログラミングの授業にとても興味を持っている。実際にコマンドを置いて命令をコンピュータに与えてプログラムが作れたり、すでに分かっている子は次の課題に向かえたりできます」と授業での手応えを語っています。

-大阪府D市

大阪府D市も、小学校教員へのプログラミング教育への理解促進等を目標とする「プログラミング教育推進事業」を2017年度(平成29年度)から行うなど、実証研究に積極的な自治体です。ここでも愛知県A市と同様に段階的な指導ができる教材を活用した授業が行われています。

例えば、D市立E小学校では、書くことへの苦手意識を持っている3年生の児童に対し、タブレットを活用しスモールステップで進行することで、苦手意識を減らすことをねらいとしたプログラミング授業を行いました。

具体的な流れは、あらかじめ準備されている4枚の絵から、登場人物の性格や何をしている場面かを想像させ、それを元に会話のやり取りをプログラミングするというもの。会話や物語の展開を考えていく中で、プログラミング的思考の育成をねらいます。

具体的には、「授業開始時に授業進行フローを黒板に掲示し、授業の見通しを理解させる」「タブレット操作が苦手な児童に対しては、担当教員が独自に作成したヒントカードを活用する」といった工夫により、児童がプログラミングに集中できる環境をつくりました。

この授業は研究事例として公開され、参観者からは「コミュニケーション能力の育成に繋がる可能性がある」「プレゼンの発表方法としての利用価値もあると思った」といった意見が挙がっていました。

まとめ

上で挙げた2つの事例で使われている教材は、DNPが開発したプログラミング教材「SWITCHED ON Computing 日本版 」です。

全国の公立小学校の担任の先生が指導することを前提にしているため、授業に必要なツールは一通りパッケージされており、導入後はすぐに使い始めることができます。

また、児童の発達段階を踏まえたカリキュラムとなっているため、ステップアップ式での学習が可能。ビジュアルプログラミング言語「Scratch」を採用しているので、拡張性・展開性もあり、体験した教育関係者の方々からは好評を得ています。

無料の体験キットも用意しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連リンク

未来のあたりまえをつくる。®