日本製紙株式会社様

「総合力」を伝えるために、従業員は何を共創したのか。 100の問いが生んだ、日本製紙グループの展示コミュニケーション

「来場者の問い」と「グループの答え」をつなぐことを展示設計の軸に設定。「100問100答」というコンセプトのもと、事前にグループ横断のワークショップを実施し、従業員の共創によって100の問いを整理しました。
(2026年2月時点の情報です)

問いから始まる、企業と社会の対話

AIの進化によって、答えを得ること自体は容易になりました。その一方で、いま企業に求められているのは、何に答えるべきかという「問い」を見つけ出す力です。答えの多さよりも、問いの質が価値を左右する時代になっています。

問いには、人を考えさせ、対話を生む力があります。問いが共有されることで、立場や専門の異なる人同士でも、同じ方向を向いて議論を進めることができます。問いは、組織や関係者の視点をそろえるための起点です。

本事例では、「共創」を通じて、日本製紙グループが向き合ってきた問い、そしてこれから取り組むべき問いを探求しました。それらを展示会という場で活用し、社外との対話をより本質的なものへと変えていくと同時に、従業員同士の理解を深めることをめざしています。

取組みの全体像

日本製紙グループ様は、展示会を単なる製品紹介の場ではなく、グループとしての総合的な課題解決力を伝え、質の高い商談を生み出すためのコミュニケーションの場として再定義しました。背景には、来場者との会話が製品説明にとどまり、グループとしての強みや考え方が十分に伝わっていないという問題がありました。
そこで本プロジェクトでは、「来場者の問い」と「グループの答え」をつなぐことを展示設計の軸に設定。「100問100答」というコンセプトのもと、事前にグループ横断のワークショップを実施し、従業員の共創によって100の問いを整理しました。これらを展示コンテンツに反映することで、対話の質を高め、日本製紙グループの総合力が伝わる展示コミュニケーションを実現しています。

PAPERPACK100問100答

お客さまのお取組み

日本製紙株式会社様

紙・パルプを中核に、素材、化学、エネルギー、環境領域まで幅広い事業を展開する総合素材メーカー。多様な事業会社・部門を擁するグループ構造ゆえに、各社・各部門の強みや提供価値が分断されやすく、「日本製紙グループとしての総合的な課題解決力」を社内外にどのように伝えるかが重要なテーマとなっていました。

お客さまの課題とご支援成果

ご支援前の課題

  • 総合力の発信不足
    製品や技術単位の展示に偏り、グループとしての価値や考え方が十分に伝わっていない可能性がありました。
  • 商談の質の課題
    来場者との会話が製品説明にとどまり、課題起点の深い商談につながりにくい状況がありました。
  • 従業員同士の相互理解
    部門や会社ごとに前提や視点が異なり、グループ内でお互いの強みや役割を十分に理解できていない状況がありました。

DNPの対応とご支援後の成果

  • 「問い」を起点とした展示コンセプト設計
    装飾や展示物から発想するのではなく、来場者が抱えているリアルな悩みと、日本製紙グループが製品を通して提供できる価値を「問い」として設計しました。
  • 従業員参加型ワークショップの実施
    グループ横断で対話を重ね、来場者の課題に応える「100の問い」を共創し、展示コンテンツへ反映しました。
  • 対話型展示への転換
    展示空間全体を、問いと答えが行き交うコミュニケーションの場として構築。来場者の理解が深まっただけでなく、従業員自身がグループの総合力を再認識し、社内シナジーや新たな気づきが生まれる機会となりました。

プロセス

共創によって「問い」を編み直す、2日間のワークショップ

本プロジェクトでは、展示の表現や演出を先に決めるのではなく、日本製紙グループとして来場者とどのような対話を生み出すべきかを明らかにするため、グループ横断の従業員が参加する2日間のワークショップを実施しました。目的はアイデア創出ではなく、問いの検討を通じた、製品価値の発掘、従業員同士の相互理解の深化、そして新たな組合せによる価値の発見です。

DAY1:製品起点で価値を分解し、来場者の共感につながる問いをつくる

STEP1|各グループ会社の強み・ビジョンの共有

DAY1は、各グループ会社が持つ強みやビジョンを共有することからスタートしました。自社や自部門がどのような領域で、どんな価値をめざしているのかを言語化し、グループ内に点在している考え方や視点を可視化していきました。

STEP2|製品の価値分解(体験価値への転換)

続いて行ったのが、製品の価値分解です。性能やスペックといった機能価値ではなく、その製品が顧客にどのような体験や変化をもたらすのかという視点で価値をとらえ直しました。「使うことで何が変わるのか」「どんな状態を実現しているのか」を掘り下げることで、製品の価値を来場者目線に引き寄せていきました。

STEP3|製品起点の問いづくり

価値分解した内容をもとに、「この価値は、来場者にとってどんな問いとして立ち上がるか」「共感を得られる問いになっているか」を対話しながら問いを生成。その結果、製品起点かつ来場者の共感性が高い問いが215問抽出されました。

DAY2:社会課題と顧客の声から問いを磨き、答えを組み立てる

STEP4|社会課題を起点とした問いづくり

DAY2では視点を広げ、環境、資源循環、持続可能性などの社会課題を起点に問いを検討しました。日本製紙グループとして、社会とどう向き合い、どんな問いを立てるべきかを整理しています。

STEP5|顧客からの問合わせ 起点の問いづくり

次に、顧客から実際に寄せられている問合わせや相談内容をもとに、現場で交わされているリアルな問いを洗い出しました。社会課題視点と顧客視点の両面から問いを見直すことで、展示で扱う問いの実感値と妥当性を高めていきました。

STEP6|問いに対する「答え」づくり

整理された問いに対し、「グループとしてどんな答えが出せるのか」を検討。単一の製品や部門にとどまらず、複数の事業・技術・取組みを組み合わせた答えを構築しました。その結果、166の問いと72の答えが整理されました。

展示コミュニケーションへの反映

ワークショップで共創された問いと答えは、展示コンテンツの中核として活用されました。問いを前面に打ち出した壁面表現や空間構成により、来場者は自身の関心に近い問いから展示に入り、対話を通じて答えへと自然につながる体験が設計されています。
このプロセスを通じて、展示は「説明する場」から「問いを起点に対話が生まれる場」へと進化しました。同時に、従業員自身にとっても、日本製紙グループとしての価値や総合力を再認識する機会となりました。

成果

イベントでの成果

「100問100答」というコンセプトにより、来場者は自身の関心に近い問いから展示に入り、対話を通じて理解を深める体験が生まれました。製品説明中心だった従来の展示に比べ、来場者の課題を起点とした会話が増え、グループとしての総合的な課題解決力を伝える場へと転換しています。また、事前に従業員同士で価値や問いを共有していたことで、展示会当日のコミュニケーションも円滑に進み、部門や会社を越えた連携が自然に生まれ、商談の広がりや深まりにつながりました。

インナーブランディングへの効果

共創型ワークショップという形式を通じて、部門・会社間の交流が生まれ、相互理解が進みました。この関係性は展示会当日にも活かされ、グループとして一体感のある対応につながっています。今後は、こうした経験や成果を参加メンバー以外にも共有することで、共創の考え方や取組みをグループ全体へと広げていくことが期待されます。

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