KYOTO地域文化をつなぐミュージアムプロジェクト実行委員会 様
京都府内博物館11施設のデジタルアーカイブ推進を支援
DNPは、京都府内にある小規模博物館11施設を対象に、収蔵資料のデジタル化と「文化遺産オンライン*1」への登録・公開支援を行うと同時に、資料撮影のノウハウを共有しデジタルアーカイブに関する人材育成を目的とした実地研修や撮影したデータの利活用アイデアを共有する合同研修やワークショップを実施。施設が継続的に取り組むための基盤整備を支援しました。
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法人のお客様(自治体、企業等の団体)を対象とさせていただいております。
お問合わせの際は法人ドメインのアドレスをご記入ください
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(左図)施設での実地研修の様子 (右図)撮影実習の様子 |
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(左図)撮影の様子 (右図)合同研修会の様子 |
KYOTO地域文化をつなぐミュージアムプロジェクト実行委員会は、本取組において「デジタルアーカイブ推進に関する検討会」(事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局)が主催する「デジタルアーカイブジャパン・アワード(DAJアワード)2026」を受賞しました。
多くの小規模ミュージアムが連携して資料のデジタル化と人材育成に取り組み、京都府が広域的な調整・事務局機能を担いながら推進した点や、その成果をレポート等で広く共有している点が高く評価されました。
背景・目的
2023年の改正博物館法施行により、博物館の役割として「資料の電磁的記録の作成・公開」が明記され、国として収蔵資料のデジタルアーカイブの推進が強化されました*2。
一方で、一部を除く市区町村立相当の小規模施設では、人手や予算、撮影ノウハウが不足しており、デジタル化およびその公開が進みにくい状況にあります。
このような背景をふまえ、KYOTO地域文化をつなぐミュージアムプロジェクト実行委員会(事務局:京都府文化生活部文化政策室)は令和7年度文化庁「Innovate MUSEUM事業」の採択を受け、府内のミュージアムが連携し、「一館でも多く、一点でも多く」を合言葉に収蔵資料のデジタル化・公開・活用実践に取り組み、ミュージアムDXの持続可能な体制づくりをめざす「京都ミュージアム連携による博物館収蔵資料デジタルアーカイブ推進共同事業」を展開しました。
本事業において、DNPは各施設における実地研修や収蔵資料の撮影のほか、文化庁が運営するデジタルアーカイブサイト「文化遺産オンライン」上でのデータ公開支援、合同研修会の企画・運営等を通じて自走可能な体制の構築を支援しました。
実施内容
事業参加施設
京都府立丹後郷土資料館を中核館として、府内11の施設が連携し、博物館収蔵資料のデジタルアーカイブ化に取り組みました。
| 1 | 京都府立丹後郷土資料館 | 7 | 舞鶴市郷土資料館 |
| 2 | 大山崎町歴史資料館 | 8 | 京都府立堂本印象美術館 |
| 3 | 向日市文化資料館 | 9 | 亀岡市文化資料館 |
| 4 | 与謝野町立江山文庫 | 10 | 京丹後市立郷土資料館 |
| 5 | 与謝野町立古墳公園はにわ資料館 | 11 | 京丹後市立丹後古代の里資料館 |
| 6 | 舞鶴市立赤れんが博物館 | ||
業務内容
① デジタルアーカイブ撮影の実地研修
全11施設に対し、現地で座学による研修と収蔵資料の撮影方法をレクチャーする研修を実施しました。各施設に簡易で多用途に利用できる撮影セットを持ち込み、学芸員や職員の方等、さまざまな関係者にも資料撮影を体験いただく機会を提供しました。また、撮影機材を所有している施設に対しては、その機材を用いた撮影方法や扱い方のアドバイスも行いました。
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座学の様子 |
職員が撮影用ソフトウエアを操作する様子 |
② 施設所蔵資料の撮影業務
各施設が所蔵する資料の特徴や撮影環境等を事前に調査した上で、さまざまな撮影機材を持ち込み柔軟に対応しました。運搬や取り扱いが難しい大型作品や、組み立てが必要な史料、反射しやすい素材の作品も撮影しました。1施設につき50点以上の資料撮影を基本目標とし、施設の要望や撮影環境の状況に応じて、可能な限り多くの資料をデジタル化する方針で取り組み、全11施設合計で756点の撮影が完了しました。
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大型平面作品の撮影 |
大型立体物の撮影 |
③ 「文化遺産オンライン」データ公開のための支援業務
「文化遺産オンライン」への資料登録・公開を支援するため、独自にマニュアルを作成の上、オンラインでの研修会を実施しました。必要に応じて登録用PCの貸し出し手配や、随時質問を受け付ける等の伴走支援を行い、計628点※の公開が完了しています。
※2026年2月27日時点
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オンラインでの研修会の様子 |
本取組で「文化遺産オンライン」に公開された文化財 |
④ 京都府ミュージアムフォーラム第5回合同研修会「デジタルアーカイブ全体研修」
デジタルアーカイブをテーマとして京都府立京都学・歴彩館で開催された京都府ミュージアムフォーラム第5回合同研修会では、本事業の成果や課題を府内の博物館関係者等に共有し、デジタルアーカイブに関する知識や活用方法を広く学んでもらう機会として、外部有識者による講演やワークショップ等を、会場・オンライン配信のハイブリッド形式で実施しました。
会場参加者には、DNPおよび各講師による計4種類のワークショップのうち2つに参加いただき、さまざまなテーマについて実践的に学ぶとともに、活発な意見交換が行われました。DNPは、本研修会の企画・運営を支援するとともに、一部のワークショップを実施しました。当日は会場・オンライン配信合わせて計50名が参加し、アンケート回答者のうち約89%が合同研修会について「非常に満足」「満足」と回答しました。
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講演の様子(京都府文化生活部文化政策室 中西様) |
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NPO法人フィールド 堀内保彦様による発表 |
静岡大学情報学部情報社会学科 村野正景様による講演 |
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ワークショップ「博物館デジタルアーカイブ計画づくり」(早稲田システム開発株式会社 内田剛史様) |
ワークショップ「デジタルアーカイブの教育等への活用」(DNP) |
⑤ DX推進に関するレポートの作成
最終的に、他の小規模ミュージアムがデジタルアーカイブに取り組む際の参考となるよう、実地研修および撮影に関する詳細な内容やノウハウ、課題等について記載したレポートを作成しました。
また、京都ミュージアム連携によるDX推進に関して各施設の収蔵資料や地域特性に合わせた今後の方向性や活用の提案についても盛り込みました。
参考情報:本事業関係者の声
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- 本事業担当者
KYOTO地域文化をつなぐミュージアムプロジェクト実行委員会
中西様
「0から始めるデジタルアーカイブ。最初は本当に不安でした。」
私は行政職員であり、博物館勤務の経験も学芸員資格もありません。デジタルアーカイブについてもほとんど知識がない状態からのスタートでした。
府内11館が連携して取り組む今回の事業は、京都府でも前例のない挑戦でした。しかし私たちがめざしたのは、専門事業者に撮影をお願いして終わる事業ではありません。
ミュージアムの職員自らが撮影やデジタルアーカイブの考え方を学び、体験して、今後も取組を続けられるよう、館の中にノウハウと人のつながりを残すことを大切にしてきました。
そのためには、各館の状況や思いを丁寧にくみ取りながら進める必要がありました。DNPの皆さまには、撮影支援だけでなく、現場に寄り添いながら私たちの考えを理解し、ともに伴走していただきました。改めて感謝しています。
こうした、一見すると成果として見えにくい「博物館資料を保存・発信するとともに、ミュージアムと行政に知識や技術、ネットワークを残す仕組みづくり」が評価され、デジタルアーカイブジャパン・アワード2026を受賞できたことを大変嬉しく思います。
とはいえ、この挑戦はまだ始まったばかりで、課題もたくさん残っています。
事業期間中、私は自身を含め関係の皆さまに「まずはやってみましょう」と言い続けてきました。完璧な準備を待つよりも、まず一歩を踏み出すことが大切だと思ったからです。
これからもその言葉を大切にしながら、多くの方々と協働し、地域文化を未来につなぐ京都式のデジタルアーカイブに取り組んでいきたいと思います。
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- 本事業関係者
静岡大学 情報学部情報社会学科 准教授
村野正景様
「デジタルアーカイブ推進の仕組みとして、非常に優れた「京都府モデル」をさらに磨いてほしい」
私は本事業にアドバイザーとして参画させていただきました。前職の京都府京都文化博物館や静岡県の博物館で文化庁Innovate MUSEUM事業に取り組んだ経験等をもとに、本事業の企画段階から協力いたしました。
本事業の特徴は、京都府(行政)が事務局となって、府内のミュージアムの活動を進めるという仕組みにあり、それは全国に先駆ける優れたモデルと評価できると思います。なぜなら、この「京都府モデル」は、単館ではなかなかスタートを切りにくいデジタルアーカイブ事業を推進する力になることを実証したからです。
細かなことを挙げれば、博物館の事務作業負担の軽減、外部資金を博物館外部の行政側で管理することによる機動的な事業実施、博物館間のスケジュール調整等、博物館側の壁になりそうなことを、いかに丁寧に乗り越えられるよう京都府側が工夫されたかは、注目すべき点だと思います。
しかし何より強調すべきは、京都府と参画館との間に、それまでの活動を通じて築かれ、積み重ねられてきた関係性が基盤としてあったことだと思います。その上で、京都府側が積極的に11館もの参画館すべてに赴いて声をかけ、要望を聞き取り、それに対して提案を返し、さらに博物館側もそれを検討しながら次の一手を提案していく。そうしたやり取りが重なることで、単なる支援する側・される側という関係を超えて、双方の活動が次の段階へと進んでいく。そこには、サイクルというよりも、活動が上向いていくスパイラルのようなものが生まれていたように思います。
デジタルアーカイブ事業は、これだけを単体で切り出して取り組む作業ではありません。新規の単発の追加業務ではなく、博物館のさまざまな活動の中に位置づけ、通常業務としてこなすことが肝要だと思います。この先にあるデジタル・トランスフォーメーション(DX)が、博物館経営や活動の革新であることを見据えれば、それはなおさらです。しかし、実現は簡単ではありません。それには関係者の皆さんとの「伴走」が何よりの支援であり、本事業では、その姿勢が非常に効果的に現れていたと思います。
京都府、参画された博物館、それに現場での実践を担当されたDNPやNPO法人フィールドの皆さんが、それぞれどのように具体的に動かれたか。それ自体を記録されたことも、このモデルを今後参照したり、発展させたりするために、意義深いことだと思います。
これからの展開も期待しています。私も今後も微力ながら協力させていただきたいと思います。
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- 参加施設
京都府立丹後郷土資料館 杉田様
「一点でも多く」という中西さんの呼びかけに励まされた館の一つが当館です。
当館は50年超に渡る活動の中で収集した膨大な収蔵資料を前に、「デジタル化の必要性は感じているものの、どこから手を付ければ良いのかわからない」という状況でした。しかし、本事業への参加が、その一歩を踏み出す大きなきっかけとなりました。
また、リニューアル工事に伴う閉館期間中においても、デジタル化を通じて収蔵資料を広く発信できる手段を得ることができました。さらに、事業を進めるなかで徐々に収蔵品情報の整理や公開・発信に対する意識も高まり、独自の取組にもつながりました。これらは合同研修でも紹介し、文化庁広報誌にも掲載されて注目を集めることにもなりました*3。
さらに、事業の途中経過を館内職員全体に共有したことで、総務課から「収蔵品を紹介するページをホームページに設けてはどうか」との提案が出てきました。学芸員以外の視点が加わったことは大きな一歩です。
この事業を通じて、デジタル化は目的ではなく、地域の歴史や文化を伝える手段であり、また館の活動への理解を広げ、新しい仲間を増やしていくことにもつながる取り組みだと強く感じました。本事業で得た学びを今後の活動にも生かしていきたいと考えています。
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- 参加施設
向日市文化資料館 横山様
昨年の10月、ちょうどこのデジタルアーカイブ事業が本格的に動き出すタイミングで当館へ着任いたしました。当初は、デジタルアーカイブに関する単語の意味さえよくわからない状態からのスタートでしたが、事業を完遂できたことを嬉しく思っております。
撮影資料の確認に始まり、11月の現地調査、1月の実地研修、そして2月の「文化遺産オンライン」でのデータ公開へと至るプロセスは、非常にタイトでしたが、環境や状況の異なる11ものミュージアムが足並みを揃えて期日までにゴールすることは並大抵のことではなかったであろうと感じています。
今回の事業を通じて、さすがに撮影技術の習得まで至ることは難しかったものの、高画質の画像データを多く蓄積できたこと、文化遺産オンラインへの登録・公開を丁寧にサポートしていただいたことは大きな収穫でした。
さらに関連して当館が博物館法にもとづく「博物館に相当する施設」として指定を受けることができ、短期間でここまで確かな成果を出せたのは、本事業の手厚い支援のおかげだと思います。
*1 文化遺産オンライン → https://online.bunka.go.jp/
*2 博物館法の一部を改正する法律(令和4年法律第24号) → https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/kankei_horei/93697301.html
*3 掲載記事 → https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/museum/museum_104.html
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