東急株式会社様
連結各社との危機管理連携を具体化 ― 「連結BCMアクションプラン」策定の取組み
東急株式会社様(以下、東急)では、2025年の本社危機管理体制の強化を機に、連結各社との横断的なBCM(事業継続マネジメント)連携を推進されています。今後、災害時の対策フロー構築や、連結各社間での経営資源の相互活用を通じて、レジリエンス(防災・減災力)強化と基盤整備を計画的に進めていく方針です。大日本印刷株式会社(以下、DNP)のサービスデザイン・ラボ®では、これまでの知見を活かし、東急および連結各社のメンバーとともに、連携の目的、課題、活用可能なリソース、実行上の障壁を整理。今後のアクションプランにつながる検討を支援いたしました。(※2026年3月時点の情報です)
取組みの全体像
連結各社におけるBCMでは、個社ごとの備えを整えるだけでなく、災害時に東急および各社がどのような役割を担い、どのようなリソースを共有できるのかを、平時から整理しておくことが重要です。東急においても、本社の危機管理機能強化を契機に、連結横断での危機対応力向上に向けた検討が進められていました。
一方で、交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートと多岐にわたる事業を担う連結各社全体を対象に、一度に議論を具体化させることは容易ではありません。そこでDNPは、東急および連結各社の実務メンバーを中心に、まずは横断で検討すべき論点を整理し、実効性のある形へ具体化することを目的として共創ワークショップを実施しました。ワークショップでは、目的の構造化、困りごととリソースの可視化、実行上の障壁整理を通じて、議論を抽象論にとどめず、実効性を見据えた検討へと深化させました。
お客様のお取組み
東急は、交通インフラを核とした「まちづくり」を事業の原動力とし、交通事業(鉄道・バス)、不動産事業(賃貸・販売)、生活サービス事業(リテール・広告・CATV等)、ホテル・リゾート事業など、生活に密着した広範な連結事業を展開されています。沿線を基盤に、これら各セグメントの連結各社が多様な事業を担っていることは、連結横断の危機対応を考える上での大きな特徴です。
また同社では、大規模地震などの不測の事態に備え、全社的な危機管理体制を整備するとともに、連結各社も含めたBC(事業継続)体制の強化に取り組まれています。今回の取組みは、こうした体制整備を、セグメントを越えたより実効性の高い「連結連携」へとつなげていくための検討の一環として位置づけられます。
お客様の課題とご支援成果
ご支援前の課題
1.連結BCMの具体化に向けた起点整理
危機対応の重要性は共有されていても、東急および連結各社をまたぐテーマでは、何を起点に議論すべきかが曖昧になりやすく、実行検討へつながりにくい状況にありました。
2.事業セグメントの特性をふまえた連携可能性の可視化
各事業セグメントが多様なリソースを保有している一方で、その多様さゆえに、災害時にどのアセットが活用可能で、どこに相互連携の余地があるのかを連結横断的に把握・整理する必要がありました。
3.理想像にとどまらない実行障壁の特定
連結横断の危機対応では、理想を掲げるだけでなく、情報共有の仕組み、意思決定のプロセス、責任分担など、実働時に想定される障壁を事前に整理することが不可欠でした。
取組みを通じて整理できたこと
1.連携の上位目的と検討論点の構造化
連結横断BCMがめざすべき方向性を再定義しました。「沿線価値の向上」「住民・利用者への安心提供」「災害からの早期復旧」といった上位目的と具体的論点を結びつけることで、危機対応を個別施策の集合体ではなく、「連結全体として提供すべき価値」からとらえ直しました。
2.困りごととリソースの可視化による連携の視点整理
参加メンバーの実体験にもとづき、災害時に想定される課題を抽出。同時に、連結各社内で活用可能な人的・物的・情報的リソースを可視化しました。これにより、個社単位の備えを超え、各セグメントの機能をどう最適に組み合わせるかという視点を醸成しました。
3.実行障壁の特定によるアクションプランの具体化
今回の取組みの特徴は、理想的な連携像を描くだけでなく、実現を妨げる要因(ボトルネック)まで掘り下げたことです。セグメント間での情報共有や判断権限に関する課題を浮き彫りにし、次ステップのアクションプランに必要な前提条件として落とし込みました。
支援プロセス
Step 1:連結横断でめざす姿の整理
連携目的を構造化し、どのような活動が必要かを可視化。「連結としてどのような提供価値を実現したいか」という観点から危機対応を再構成しました。
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連携目的の構造化
Step 2:困りごとと活用可能なリソースの抽出
実体験にもとづき、災害時の現場課題と、各事業セグメントの連結各社が保有するリソースを棚卸しし、連携の余地を明確にしました。
Step 3:実行上の障壁整理
「なぜ実現が難しいのか」という現実に踏み込み、情報共有や責任分担のあり方など、実行段階での障壁を整理しました。
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Step 4:今後のアクションプラン策定へ
整理した目的・課題・リソース・障壁を統合し、連結BCMを具体化するための土台を構築。関係者が円滑に次段階へ進めるよう、論点を明確化しました。
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ワークショップ風景と連携アイデア実現に向けた計画案
成果と今後の展開
今回の取組みにより、連結横断BCMにおける検討論点が明確化され、関係者が共通の前提で議論できる土台が整いました。危機対応を単なる防災対策ではなく、「連結各社が保有する多様な機能・資源の最適化」という経営視点で整理できたことは、大きな前進です。
現在、東急および連結各社間では、本ワークショップで可視化された論点をベースに、具体的な連携運用のルール策定や、連結アクションプランの実行に向けた実践的な活動が始動しています。
DNPは、こうした組織や部門を横断する複雑な課題に対し、デザイナーならではの「可視化の力」や「生活者視点」を用いたデザインアプローチを提供し、構想の具体化から実行に向けた伴走まで、引き続き支援してまいります。
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DNPではサービスデザイン・ラボという組織を編成し、人起点で商品やサービスの新たな体験価値を創造し、
それを継続的に提供するための組織や仕組みも含めてデザインする方法論「サービスデザイン」を推進しています。
※サービスデザイン・ラボは、DNP大日本印刷の登録商標です。