2025年度数十万台のGIGAスクール端末キッティングを納期遅延ゼロで完遂
短期間で大量の端末設定が求められるGIGAスクール案件に対し、工程設計と品質管理を徹底。全国30以上の自治体・学校向けに数十万台規模のキッティングを行い、納期遅延なく納品しました。
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国の政策である「GIGAスクール構想」では、全国の小中学校に1千万台規模の学習端末を配備するため、短期間で大量の端末をキッティング(端末を開封して各種インストールや設定を行い、すぐ使える状態にすること)する必要が生じます。
2025年度から2026年度にかけて、この巨大なスポットニーズに対応するため、DNPは複数の入札事業者やSI事業者様と連携し、数十万台に及ぶキッティングを実施しています。
本プロジェクトでは、大きく2つの壁がありました。1つ目は、自治体や教育委員会、学校、入札事業者、SI事業者など多様な関係者との調整が必要でした。また、求められる設定や運用条件が自治体ごとに異なるため、詳細な仕様の整理と確定に時間を要しました。
2つ目は、世界的な半導体不足に伴うデバイスの調達遅延です。当初予定より入荷が遅れ、実際のキッティング期間がわずか2〜3カ月に極端に圧縮される事態が発生しました。巨大なボリュームの端末のキッティングを、タイトな納期とコストのなかで確実にやり切ることが求められたのです。
こうした背景のもと、DNPは、短期間での大量キッティングに対応できる体制や、幅広いBPO業務の受託実績を評価いただき、安心できるパートナーとして選ばれ、本プロジェクトを実施しました。
目次
プロジェクトの流れ
効率性を高めながらヒューマンエラーを避けるキッティング手順を構築
システム処理による待ち時間を排除し、大量生産ラインを構築
ヒューマンエラーを後工程に流さない「管理者チェックゲート」設置
超高速マルチUSBハブを導入し、作業の待ち時間を大きく圧縮
高品質なキッティングを大量に実施するための工夫
子どもたちの「大切な1台」のために
パレット単位で個別端末を可視化
高いセキュリティ基準を保った環境でのキッティング
数十万台を遅延なく納品し、緊急案件にも対応
今後の展望
プロジェクトの流れ
・サービス開始 2025年10月。
・2025年度分のキッティングを完了し、2026年度も継続実施中(2026年10月現在)。
・効率性を高めながらヒューマンエラーを避けるキッティング手順を構築
・高品質なキッティングを大量に実施するための工夫
・高いセキュリティ基準を保った環境でのキッティング
効率性を高めながらヒューマンエラーを避けるキッティング手順を構築
通常、キッティングの手順書はSI事業者から提供されます。しかし、OSバージョンアップなどにより、実際の画面表示や操作手順とのズレが生じることがあります。また、多数の端末を同時に処理することを前提とした工程にはなっていないため、DNPでは実機検証を行いながら手順を見直し、量産工程用に手順書の修正を行いました。
さらに、作業時に使用するSSID(無線ネットワークの識別子)を入札事業者もしくはDNPのどちらが用意するかなど、詳細なルールも一つひとつ抽出し、ステークホルダーと調整して明確にすることで、手戻りのない確実な作業基準を作り上げることに注力しました。
システム処理による待ち時間を排除し、大量生産ラインを構築
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提供された手順書は、1人の作業員が1台の端末を仕上げるための工程が書かれていましたが、これをそのまま適用するとOS更新などの待ち時間のたびに作業員の手が止まり、非効率が発生します。
そこでDNPは全ステップを分析し、手作業で行う工程と、システム処理の工程に分解しました。システム処理によって発生する待ち時間に、次の端末の開梱やラベル添付などの手作業を行うなど、並行作業ができる工程を構築し、現場の待機時間をできる限り排除して生産能力を向上させました。
ヒューマンエラーを後工程に流さない「管理者チェックゲート」設置
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作業チェックシートのイメージ |
大量の手作業を伴うキッティングは、ヒューマンエラーのリスクと隣り合わせです。初期設定のミスに気づかず後工程に進んでしまうと、納品直前に大量の手戻りが起こるなどプロジェクト全体に重大な影響を及ぼす可能性があります。
こうした事態を避けるため、作業工程の中盤に専任管理者の実機確認を経てから次工程に進む管理者チェックゲートを配置しました。作業員は5〜10台の小ロットでキッティングを進め、工程途中に設けた管理者チェックゲートで管理者の確認と承認を受けてから後工程に進むルールを徹底することで、ヒューマンエラーのリスクを最小限に抑えました。
超高速マルチUSBハブを導入し、作業の待ち時間を大きく圧縮
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OS更新などのシステム処理工程は、ネットワーク経由で行うと1台あたり約40分もの時間がかかります。DNPは全体の費用対効果の観点から、必要な機器を購入して処理速度を高めたほうがトータルコストを大幅に抑制でき、納期遵守にもつながると判断しました。
具体的には、現場に専用のキャッシュサーバーを構築して外部通信負荷を遮断。さらに超高速マルチUSBハブを4台調達して直結し、複数の端末のシステム処理を一気に行う仕組みを整えました。結果、手作業では40分かかる作業時間をわずか5分以下に圧縮することに成功したのです。
高品質なキッティングを大量に実施するための工夫
子どもたちの「大切な1台」のために
システム設定だけでなく、物理的な美しさも端末の品質における大切なポイントです。今回は特に、傷や気泡を入れずに液晶保護フィルムを貼ることに気を配りました。作業員にとっては数千台のうちの1台でも、子どもたちにとっては自分だけの大切な1台だからです。メンディングテープを用いてホコリを防ぎつつ綺麗に密着させる貼付手順をプロジェクトメンバーが確立し、作業員にその手順を教育しました。
パレット単位で個別端末を可視化
キッティング作業だけでなく、納品先での荷受けや資産管理を円滑に行う工夫も行いました。キッティングを終え、5台ずつ箱に梱包したら、中に入っている端末のシリアル番号一覧シールを箱の側面に貼付。この工夫によって、箱を開封せずに中身が判別できます。
さらに、配送パレットごとに管理シートを添付し、送付する学校ごとに仕分け、混在時には一目で識別できる案内表示も施して発送しました。
高いセキュリティ基準を保った環境でのキッティング
キッティング作業は、各自治体の個別のSSIDやパスワードなど、厳重に扱うべきセキュリティ情報を預かることになります。
DNPの大きな強みの一つは、創業時から培ってきた高い情報セキュリティ意識です。公表前の機密情報を扱う出版印刷に始まり、クレジットカード製造や金融機関向けの事業などで磨かれた情報セキュリティのノウハウをもとに、厳格な基準のもとで情報を管理しています。
本プロジェクトでも、多層にわたるアクセス制御や、厳格な入退室管理がある三芳LCMセンターで作業が行われており、入札事業者様からも安心して業務を任せられるセキュリティ体制を高く評価いただきました。
数十万台を納期遅延なく納品し、緊急案件にも対応
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本プロジェクトでは、全国30以上の自治体・学校向けに、数十万台規模の学習端末をキッティングしました。納期遅延はなく、重大な設定不備や返品も発生していません。さらに、数千台規模のキッティングを、2週間で行う緊急の依頼にも対応しました。短期間で作業体制を整え、期限内にキッティングを完了しています。
これらを実現できたのは、DNPが持つ大規模なキッティング案件のノウハウと、1日最大5,000台キッティング可能な三芳LCMセンターのキャパシティと柔軟性があったためです。BPO事業で培った運営ノウハウを活かし、案件規模や状況に応じて最適な体制を構築するとともに、作業員の適性や得意分野をふまえた人員配置や、生産ラインの見直しを柔軟に行うことで、数十万台規模の案件や緊急案件にも対応しました。
また、作業員の適性を見極め、一人ひとりの得意分野に応じて作業内容をアサインする配慮を行いました。
三芳LCMセンターは広い面積を活かし、端末の大量搬入に合わせて流動的にラインを再設計できる柔軟性を備えています。さらに、キャパシティ超過時にはDNPが保有する他拠点とも連携できるバックアップ体制も整えているのです。
今後の展望
大企業で従業員が使用するPC、モバイル端末などの大量のIT機器の調達、設定、配送、ヘルプデスク対応、回収、そして確実なデータ消去に至るまでのライフサイクル管理の負荷は大きな課題となっています。
それらの課題に対し、本プロジェクトのように不確実性が高く巨大なプロジェクトを実行した工程設計力とセキュリティ体制を活かし、DNPでは、多くのお客様に対してDNPマルチデバイスマネジメントサービスを提供していきたいと考えています。お客様がコア業務に集中できるよう、伴走パートナーとして支援を拡大してまいります。
(2026年10月時点での情報です。)
