東神開発株式会社様

商業施設における決済端末入れ替えから24時間365日の保守運用までワンストップで実現

主要都市の商業施設9施設で約1,300台の決済端末を入れ替え。夜間の設置・動作確認からオンサイト保守までを設計し、営業への影響を抑えながら安定した保守運用体制を構築しました。

決済端末利用イメージ①



株式会社髙島屋の連結子会社である東神開発株式会社(以下「東神開発様」)では、2024年7月、同社が管理運営するショッピングセンター9施設に出店するテナントが利用する約1,300台の決済端末を一斉に入れ替え、新たな保守運用体制へと移行するプロジェクトを実施しました。

これまで、東神開発様で使用する決済端末の保守運用はPOS全体を統括する既存ベンダーが担っていましたが、POS全体の更改で決済端末がその対象から切り離されることになり、東神開発様は新たな保守体制を再構築する必要が生じました。

そうしたなか、新たに決済端末入れ替えの検討を進めていた東神開発様に対して、DNPの決済分野におけるノウハウと豊富な店舗導入実績を活かし、DNPマルチデバイスマネジメントサービスをご提案しました。

本プロジェクトのミッションは、テナントの通常業務に影響を与えない形で、1,300台規模の決済端末を確実に設置し終えることでした。また、保守体制と全体最適なコスト構造を設計し、安定的な運用を実現することも求められていました。

プロジェクトの流れ

・サービス開始 2024年7月(現在も運用中)
・約1,300台を確実に入れ替えるための事前設計
・想定外に即応する現場常駐体制
・24時間365日・4時間オンサイト保守体制の構築

約1,300台を確実に入れ替えるための事前設計

決済端末の入れ替え作業は、2024年7月からの約1カ月間、夏休みの繁忙期直前のタイミングで実行されました。全国に展開する9カ所の商業施設において、毎週2施設ほどのペースで、営業終了後の夜間に順次設置を進めていくというタイトなスケジュールです。

さまざまな制約があるなか、DNPは決済分野や店舗への機器設置、DNPマルチデバイスマネジメントサービスのノウハウを活用し、限られた時間内で確実に端末入れ替えを終えるための計画を立てました。

売上データの誤計上を防ぐナンバリング設計

決済端末イメージ

商業施設における端末入れ替えは、各端末にテナントごとの情報を設定し、各テナントに正確に設置・接続することが求められます。そのため、整然としたオフィスにIT機器を導入するケースと比べ、より複雑な対応が必要となります。

今回、大きな壁となったのが、商業施設特有の複雑に入り組んだバックヤードの動線です。大規模店舗では200〜300を超えるテナントが入居しているため、端末入れ替えを行うスタッフがすべての位置と動線を把握することは困難です。さらに、書類上のテナント名と実際のブランド名が異なるケースや、外国語表記の読み間違いなどが起こりうるため、各端末の設定場所を店名で判別するのは誤設置のリスクを伴います。もし隣り合うテナント同士で決済端末を逆に取り付けてしまうと、売上データが入れ替わるという致命的な事故につながってしまうのです。

こうしたリスクを防ぐため、DNPは各テナントに番号を振って管理するナンバリング方法を導入しました。東神開発様に協力をいただき、各テナントの図面上の全設置場所に、一意の管理番号を振っていただきました。キッティング段階で端末1台1台にその番号を紐付け、当日スタッフは店名ではなく、番号だけで場所を確認し、端末の設置と接続を行うオペレーションを構築したのです。

さらに、バックヤード構造が最も複雑な店舗へ足を運び、現地のレジ周りや配線環境を視察しました。事前に配線状態を確認した上で、テナントごとに環境が異なることを前提とした、実効性の高い手順書やチェックリストの作成を進めました。


翌朝の営業開始に間に合わせる工程設計

夜間の設置作業において、もうひとつの大きな障壁が、商業施設ならではの個別防犯システム(警備ロック)でした。テナントごとに個別に警備ロックをかけているケースが多く、作業員がそれを知らずにエリアに立ち入ったり、機器に触れたりすると、警報が鳴り響いて警備員が駆けつける事態になってしまいます。

そのためDNPは、個別警備の有無、解除や再警備のタイミングなどの防犯情報を事前に徹底的に洗い出しました。当日は東神開発様にも立ち会っていただき、各テナントの安全を確認しながら慎重に作業を進める計画を立てたのです。

さらに、当日の作業では、翌朝の営業開始までにすべての決済端末が正しくネットワーク接続されていることを確認しなければなりません。そこで、設置作業に加え、配線接続、疎通テスト、最終動作確認を行うためのタイムスケジュールを設計しました。チェックリストを用いて、進捗を可視化できるようにしました。

想定外に即応する現場常駐体制

本プロジェクトのような端末設置作業においては、計画書をどれほど綿密に作っても、現場では想定外のことが発生するものです。それを前提にした体制を組むことが、成功のポイントになります。

店舗での端末設置作業は、本部から遠隔で指示を出すケースが一般的ですが、今回は作業時間が限られているため、イレギュラーが起きた際は早急に解決しなければなりません。そのため、DNPは現場での想定外をその場で解決し、東神開発様と迅速に合意形成を図るために、当日の各現場にプロジェクトメンバー2〜3名が常駐する体制を取りました。

実際に、夜間作業の現場では「古い端末がない」「配線が想定より複雑で手を付けられない」といった想定外の事象が次々と現れました。現場に立ち会ったDNPのプロジェクトメンバーが、東神開発様のご担当者と相談し、その場で臨機応変に意思決定を行いました。この体制があったからこそ、トラブルが起きても作業が大きく停滞することなく、時間内に入れ替えを完遂できたのです。

24時間365日・4時間オンサイト保守体制の構築

9施設に約1,300台の決済端末を設置した後は、保守運用フェーズに移行します。東神開発様が望んでいたのは、「24時間365日体制でコールを受け付け、トラブル発生時には4時間以内に現地へ駆けつけて端末を復旧する」という高い水準のSLA(サービス品質保証)でした。

9施設に対して4時間オンサイト保守を実現しようとすると、通常は店舗があるエリアに技術者を常駐させる体制が必要になり、東神開発様のコスト削減要望を叶えられなくなってしまいます。

そこでDNPは、自社のDNPマルチデバイスマネジメントサービスで培ったノウハウを活かした保守網を設計しました。全国に拠点を立てるのではなく、東京と関西の2拠点にリソースを集約し、広域的に9施設をカバーする体制を構築したのです。

また、4時間以内のオンサイト保守を順守するため、現場での対応を「端末自体の良品交換」というシンプルな作業に標準化しました。複雑な現地修理を行わない代わりに、交換用の予備機を三芳LCMセンターでキッティングし、現場ですぐに交換できるよう設計したのです。

作業を極限までシンプルにし、東神開発様の「決済を早く復旧する」というニーズに応えるオンサイト保守を、合理的なコストで提供することに成功しました。

営業への影響ゼロで約1,300台の入れ替えを完遂

決済端末利用イメージ②

本プロジェクトは2024年7月に稼働を開始し、現在も安定して運用が続けられています。

最大の成果は、夜間の端末入れ替え作業において、翌日の営業開始に影響を及ぼした遅延や、決済エラーによる機会損失が1件も発生しなかったことです。東神開発様の担当者様からは非常に高い評価をいただきました。

その後の保守運用でも、効果が出ています。稼働開始から半年ほどの間は突発的な初期不良交換が数件発生したものの、DNPのオンサイト保守が機能し、店舗の決済業務に支障は生じていません。自然故障が発生しても、コール受け付けから現地での迅速な端末交換がスムーズに行われています。

重大なトラブル報告もなく、保守コストも固定料金+従量課金の合理的な設計によって予算管理しやすい体制へと生まれ変わり、品質とコストの両面で課題の解消につながりました。

今後の展望

百貨店やショッピングモールといった商業施設には、決済端末以外にも、デジタルサイネージ、無人レジ、即時発行プリンターなど、数多くの機器が稼働しています。これらはすべて、本プロジェクトの決済端末と同様に、確実な設置や保守体制の構築が求められる領域です。

お客様の困りごとに同じ目線で向き合い、現場を深く想像しながら、多種多様なプロジェクト経験から培ったノウハウとリソースで解決する。DNPマルチデバイスマネジメントサービスは、これからも多店舗展開されるあらゆる企業のノンコア業務を強力に引き受け、お客様が本業に集中し、さらなる飛躍を遂げるためのベストパートナーであり続けたいと思います。

クライアント:東神開発株式会社
設立:1963年12月28日
所在地:東京都世田谷区玉川3-17-1
事業内容:ショッピングセンターの開発、運営管理/不動産の賃貸借、売買とその仲介等
Webサイト:https://www.toshin-dev.co.jp/

(2026年8月時点での情報です。)

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