【メディカル業界向けセミナーレポート】DNP P&Iセミナー
容器包装の規制の動向と
サステナブルなパッケージに求められる方向性
2025年12月23日(火)、DNP(大日本印刷)は、メディカル業界向けオンラインセミナー「容器包装の規制動向とサステナブルなパッケージに求められる方向性」を開催しました。
近年、世界中で「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行が加速し、容器包装を取り巻く環境規制は急速に厳格化しています。本レポートでは、特に影響の大きい欧州の「PPWR(包装・包装廃棄物規則)」の詳細と、それに関連する「日本の資源有効利用促進法」の改正動向について、その要点をセミナー内容よりご紹介します。
※本ページの内容はセミナー開催時点の情報です。
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セミナー概要
<メディカル業界向けセミナー>
DNP P&Iセミナー
容器包装の規制の動向とサステナブルなパッケージに求められる方向性
開催日:2025年12月23日(火)開催
登壇者:Lifeデザイン事業部 岩渕 美香
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1. 世界的な背景:リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ
セミナーの冒頭では、規制強化の背景にある「経済モデルの転換」について語られました。
これまでの経済は、資源を投入して大量生産・大量消費し、使用後に廃棄する一方通行の「リニアエコノミー(線型経済)」でした。しかし、気候変動や天然資源の枯渇といった環境問題への対応が急務となる中、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への転換が求められています。
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※セミナー投影資料抜粋 |
具体的には、製品を使用した後、単に焼却し埋め立てるのではなく、リサイクルに回し、再び原材料として投入すること。つまり、プラスチックの使用を極力控えつつ、持続可能な形で資源を利用する社会への移行が、現在の世界の潮流となっています。そこで重要なのがリサイクルしやすくするための設計段階からの取り組みです。
2. EUの強力な規制「PPWR」
本セミナーの核心となるのが、2025年2月に発行されたEUの「PPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation:包装・包装廃棄物規則)」です。
2.1 指令から規則へ:加盟国一律の適用
PPWRは、EUの成長戦略である「グリーンディール」および「新循環経済行動計画(CEAP)」の下に位置づけられる、容器包装に関する特別法です。 これまでは「指令(Directive)」という形で、各国が国内法を整備していましたが、国によって対応に差が生じていました。今回「規則(Regulation)」へと格上げされたことで、EU加盟国に一律に適用される法的拘束力の強いルールとなったのです。
その目的は、2050年までに包装関連業界でカーボンニュートラルを達成することにあり、具体的には「包装廃棄物の削減」と「すべての包装をリサイクル可能にする」ことが求められます。
2.2 第6条:リサイクル可能な包装(デザインと実態)
PPWRの中で特に製造業者へ大きな影響を与えるのが、第6条「リサイクル可能な包装」です。 この条項では、「市場に出る全ての包装は、マテリアルリサイクルに対応できるよう設計(DfR:Design for Recycling)され、実際に大規模にリサイクルされている(RaS:Recycle at Scale)状態」をめざしています。
包装のリサイクル性能は「グレードA・B・C」および「技術的にリサイクル不可」の4段階で階で評価されます。
●2030年~(第1段階):
・評価軸:DfR(リサイクル容易設計)の重量ベース評価。
・規制:グレードA~Cのみ販売可能。「C」未満(70%未満)は販売不可
●2035年~(第2段階):
・評価軸:DfRに加え、RaS(大規模リサイクル実績)が評価軸に追加
●2038年~(第3段階):
・規制強化:販売可能なグレードが「AまたはB」のみとなり、グレードCは市場で販売不可
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※セミナー投影資料抜粋 |
つまり、単に「リサイクルしやすい設計」にするだけでなく、インフラを含めて実際にリサイクルが回っている実績がなければ、EU市場でビジネスができなくなる可能性があります。
2.3 第7条:プラスチック包装のリサイクル材料最低含有率
第7条では、プラスチック包装において、消費者使用済みプラスチック廃棄物からリカバーされたリサイクル材料の使用義務が定められています。 対象は、包装単位の総重量の5%以上をプラスチックが占める場合で、2030年と2040年の2段階で目標値が設定されています。
【最低含有率の目標値(抜粋)】
● 接触敏感包装(食品、化粧品など)※PET主成分:
・2030年:30%
・2040年:50%
● 接触敏感包装 ※PET以外のプラスチック:
・2030年:10%
・2040年:25%
● その他のプラスチック包装:
・2030年:35%
・2040年:65%
これは、従来のようなバージン材のみでのパッケージ製造が困難になることを意味しており、再生材の確保が重要な経営課題となります。
2.4 拡大生産者責任(EPR)とコストへの影響
リサイクルや廃棄にかかる費用を生産者が負担する「拡大生産者責任(EPR:Expanded Producer Responsibility)」についても、PPWRでは新たな仕組みが導入されます。 第6条で定められた「リサイクル性能等級」にもとづき、生産者が支払うEPR費用(負担金)が調整される「エコモジュレーション」の考え方が採用されます。つまり、リサイクル性能が高い(グレードAに近い)包装ほど、支払う費用が安くなる設計です。
3. 日本の政策動向:資源有効利用促進法の改正
視点を国内に移すと、日本でも循環経済は「成長戦略」と位置づけられ、法整備が進んでいます。
3.1 プラスチック資源循環法(プラ法)
2022年に施行されたプラ法では、プラスチック使用製品の設計指針が示されました。環境配慮設計の認定基準(飲料用ペットボトルや家庭用洗剤などで認定基準が設定されている)を満たすことで、国からの認定やインセンティブが得られる仕組みです。
3.2 【重要】資源有効利用促進法の改正(再生材活用の義務化)
さらに注目すべきは、2026年4月頃の施行が見込まれている「資源有効利用促進法」の改正です。 これまでの努力目標的な側面から一歩踏み込み、容器包装への再生プラスチック材活用に関し、対象事業者への「計画提出」と「定期報告」が義務化される見通しです。
●対象製品: 容器包装(現時点では食品・医薬品を除く)、家電、自動車など。
●義務の内容: 再生プラスチックの利用に関する計画の提出(2027年~)および実績の定期報告(2028年~)。
●対象事業者: 自ら製造する者だけでなく、発注して製造させる者(ブランドオーナー)、輸入販売者も含まれます。
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※セミナー投影資料抜粋 |
現時点(2025年12月想定)では食品や医薬品は対象外とされていますが、食品については将来的な義務化に向けた議論がすでに始まっています。
4. 企業に求められる対応とリスク
講演の終盤では、こうした国内外の規制に対応できなかった場合の企業リスクについて言及しています。
●販売機会の損失: PPWRの要件を満たせない場合、EU市場での販売ができなくなります(法的リスク)。
●コストの増加: 急な対応を迫られることで、高騰する再生材料を購入せざるを得なくなるなど、利益を圧迫する可能性があります。
●ブランドイメージの低下: 環境意識が高まる中、持続可能な製品を提供できないことは、投資家や生活者からの信頼喪失につながります。
これらは単なる「環境対応」の問題ではなく、「経営における重大リスク」です。一方で、早期に対応を進めることは、競合他社に対する差別化要因となり、競争力を強化する絶好のチャンスともとらえられます。
5.まとめ:2030年に向けたサステナブルなパッケージの方向性、DNPのソリューション
DNPでは、これらの規制動向をふまえ競争力を維持するための具体的解決策として以下の3つのキーワードを提示しました。
1.モノマテリアル設計(単一素材化): アルミ箔などを使用せず、複合素材からリサイクルしやすい設計へ転換。
2.リサイクル材(再生材利用): マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによる再生材を利用。
3.バイオマスプラスチック材(植物由来プラスチック): 脱炭素社会の実現に向け、植物由来原料への切替。
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※セミナー投影資料抜粋 |
PPWRや国内の法改正は、スケジュールが明確に決まっているものや、今後細則が決定されるもの(バイオマスの評価基準など)が混在しています。企業は常に最新の情報をキャッチアップし、短期的・中長期的な視点で対策を講じていくことが求められます。
バイオマテックはDNP大日本印刷の登録商標です。
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