ITデバイスのライフサイクル管理(LCM)とは?
企業で利用するITデバイスは、PCだけでなく、スマートフォンやタブレット、POS端末、業務用端末などへ多様化しています。それに伴い、管理対象や運用も複雑化しています。とくに、拠点や部門ごとに管理方法や情報が分散すると、管理負荷の増大やセキュリティリスク、調達・運用コストの上昇など、さまざまな課題につながります。
こうした課題に対応するには、導入時だけを見るのではなく、計画・調達から導入、運用、改善、回収・再利用までを一連のライフサイクルとしてとらえることが重要です。本コラムでは、ITデバイスのLCMの基本的な考え方と、各フェーズで行う主な業務、取り組む際のポイントを解説します。
目次
ITデバイスのLCMとは?
ITデバイスのLCMとは、ITデバイスを導入して終わりとするのではなく、「計画・調達」「導入」「運用」「改善」「回収・再利用」までを一連のライフサイクルとしてとらえ、継続的に管理する考え方です。
各工程を個別に管理すると、資産・契約・利用者などの情報が分散し、工程間の確認や引き継ぎにも手間がかかります。ライフサイクル全体を通して情報と業務をつなげることで、IT資産の状況を把握しやすくなり、運用負荷やコスト、管理上のリスクを継続的に見直していくことにもつながります。
なぜライフサイクル全体での管理が必要なのか
企業のIT環境では、利用するデバイスの種類や台数が増え、利用場所もオフィスだけに限らなくなっています。こうした環境において、拠点や部門ごとに異なる方法で管理・運用されている場合、IT資産に関する情報が分散しやすくなります。
例えば、次のような問題が挙げられます。
・資産・契約・利用者情報を一元的に把握できない
・キッティングや端末展開に多くの工数がかかる
・問合わせ対応やベンダーとの調整に時間を取られる
・申請や貸出管理、棚卸などにExcel・メール・紙を使用しており、情報の集約や処理状況の確認に手間がかかる
・日々の運用に追われ、業務改善や戦略的な取り組みに時間を確保しにくい
こうした問題を個別に改善するだけでなく、ITデバイスのライフサイクル全体を通して情報と業務をつなげることは、管理負荷やリスクの軽減、コストの適正化を図るうえでも重要です。
LCMの5つのフェーズ
① 計画・調達:何を、どのように導入するかを考える
ITデバイスの利用環境や更新計画を整理し、必要なITデバイスや調達方法、導入後の運用方法を検討します。
・利用環境、必要台数、更新計画の整理
・運用設計、システム設計、ポリシー設計
・ITデバイスの選定
・購入、リース、レンタルなど調達方法の検討
導入時のコストだけでなく、その後の運用や更新まで見据えて調達方法を検討することがポイントです。
② 導入:ITデバイスを利用できる状態にして届ける
調達したITデバイスを業務で利用できる状態に設定し、利用者や拠点へ展開します。
・キッティング
・マスタイメージ作成、クローニング、ゼロタッチ展開
・MDM登録、資産台帳への登録
・一括・個別配送、搬入設置、動作確認
対象台数や配送先が増えるほど、作業場所、人員、進捗管理なども複雑になりやすいため、工程を標準化して管理することが重要です。
③ 運用:導入したITデバイスを継続的に管理する
ITデバイスの導入後は、資産・契約・利用者などの情報を把握するとともに、日々発生する問合わせやインシデント、故障などへ対応する必要があります。
・IT資産、契約、利用者情報の管理
・問合わせ受付・回答、インシデント管理
・ITデバイスの状態やセキュリティ状況の把握
・オンサイト保守、センドバック保守
・予備機の保管・管理
管理情報と運用窓口を整理することで、IT資産の可視化と日常業務の効率化につなげることができます。
④ 改善:運用して終わりではなく、継続的に見直す
運用開始後は、IT資産の利用状況や問合わせ内容、作業工数などを分析し、業務や仕組みを継続的に見直します。分析・改善・効果検証を繰り返すことで、継続的な業務改善につなげます。
・IT資産の活用状況分析、棚卸分析
・業務プロセス分析、TCO分析
・業務の標準化・自動化・効率化
・不要資産の削減や休眠資産の再利用
・新しい運用ルールや仕組みの利用者への周知・定着
改善した仕組みやルールを継続的に活用するには、業務プロセスだけでなく、実際にデバイスを利用する人の行動や定着まで含めて考えることが重要です。
⑤ 回収・再利用:使い終わったITデバイスを安全に次へつなげる
交換や退職などによって不要になったITデバイスは、回収して終わりではありません。ITデバイス内のデータを適切に消去し、必要に応じて再利用につなげます。
・ITデバイスの回収
・データ消去
・データ消去証明書の発行
・再利用、予備機への転用
ITデバイスを安全に再利用するためには、回収からデータ消去、証跡管理までを一連のプロセスとして管理することが重要です。
LCMで重要な3つのポイント
ポイント① 工程・部門をまたいだ運用を設計する
調達、導入、運用、改善、回収・再利用を別々の業務としてとらえるのではなく、各工程の情報や業務をつなげて管理することが重要です。まずは、担当部門や使用しているシステム・台帳、工程間の情報連携を整理し、どこで分断が生じているかを確認します。
ポイント② IT資産情報を継続的に把握できる状態にする
機種、資産番号、契約、利用者、利用場所などの情報が分散すると、確認や棚卸の負担が増えます。必要な情報を把握できる運用基盤を整えることが、継続的な管理の土台になります。
ポイント③ 運用開始後も継続的に改善する
運用開始後も、IT資産の利用状況や問合わせ、作業工数などを確認しながら、不要な作業やコストがないかを見直します。仕組みを導入して終わりにせず、業務プロセスと利用者の行動の両面から改善を続けることが重要です。
ITデバイス運用全体の最適化を支援する「DNPマルチデバイスマネジメントサービス」
ITデバイスのライフサイクル管理では、デバイスの調達・設定・配送・保守・回収だけでなく、管理ツールや業務プロセス、複数の関係部門・ベンダーを横断して運用を設計する必要があります。すべての業務を自社だけで見直し、継続的に改善することが難しい場合は、外部サービスの活用も選択肢となります。
DNPマルチデバイスマネジメントサービスは、ITデバイスの計画・調達から導入、運用、改善、回収・再利用までのライフサイクル全体を対象に、お客さまの運用状況や課題に応じて必要な支援内容を組み合わせ、運用の仕組みづくりから実行、継続的な改善までを支援します。
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ITデバイスの管理方法を見直したい、日常運用の負荷を軽減したい、既存の運用をどこから改善すべきかわからないといった場合は、現在の運用状況や課題をご相談ください。
(2026年11月時点の情報です。)
