データ活用でめざす最適な在庫管理
オフセット印刷とオンデマンド印刷の最適な切り替え方法
【連載-販促物管理のポイント 第6回】

近年は、データ活用による出荷予測や在庫分析を行うことで、オフセット印刷とオンデマンド印刷を最適なタイミングで切り替え、在庫の最適化をめざす運用が検討されています。本コラムでは、実績データに基づき製造方法を状況に応じて切り替える、販促物の在庫適正化に向けた運用方法を紹介します。

1.なぜ販促物は余ってしまうのか
2.印刷方式ごとの特徴
3.在庫最適化のカギは「動的な切り替え」
4.最適なアプローチの選択:実績データに基づく販促物管理
5.在庫最適化と環境配慮
6.まとめ「データの可視化から始める在庫適正化」
販促物受発注管理システムのご紹介


1.なぜ販促物は余ってしまうのか

販促物やカタログなどの在庫管理では、欠品を防ぐために多めに製造した結果、使われないまま廃棄されるケースが少なくありません。特に印刷物は「まとめて作るほど単価が安くなる」という特性があるため、できるだけ多く製造した方がコストメリットがあると考えがちです。
しかし実際には、倉庫保管費や廃棄コストまで含めると、必ずしも最適とはいえません。販促物やカタログは、欠品を防ぐために多めに製造した結果、使用されないまま在庫として残り、最終的に廃棄されるケースがあります。
販促物管理において重要なのは、印刷単価ではなくライフサイクル全体でのコストを考えることです。


2.印刷方式ごとの特徴

販促物の製造には大きく分けて2つの方法があります。

オフセット印刷

印刷用の版を作成し、その版を使って大量に印刷する手法です。大量印刷に向いており、部数が増えるほど1部あたりの単価は安くなります。製造された販促物は、一旦倉庫で保管されてから各拠点へ配送されるのが一般的なため、在庫を持つ製造方法になります。そのため、余剰在庫が発生しやすいという課題があります。

オンデマンド印刷

デジタルデータを直接印刷機に送信することで、必要な時期に必要な数量を製造しやすい方式です。少部数での追加製造に活用することで、在庫量や余剰廃棄の抑制につながる場合があります。一方、印刷仕様や部数によっては、オフセット印刷より1部当たりの製造コストが高くなる場合があります。


3.在庫最適化のカギは「動的な切り替え」

従来は、「少量ならオンデマンド印刷」「大量ならオフセット印刷」というように、案件ごとに手法を静的に選択する考え方が主流でした。
しかし、在庫の適正化と廃棄リスクの低減を図る方法の一つとして、販促物のライフサイクルに合わせて製造手法を切り替えるハイブリッド型の運用があります。

初期・大量出荷期は「オフセット印刷」

新商品のローンチや、全国の営業所・店舗で一斉に大規模なキャンペーンを開始する初期フェーズでは、一気に大量の販促物が必要になります。このタイミングでは、大量製造によって部数が多い場合に1部当たりの製造コストを抑えやすくなるオフセット印刷が有効な選択肢となる場合があります。

需要減・追加製造期は「オンデマンド印刷」への切り替え

一方で、展開開始から一定期間が経過すると需要は落ち着き、追加発注も減少していきます。ここで、在庫が切れたからといって慣習的な判断でオフセット印刷を選択し大量に追加印刷すると、販促施策の終了時に廃棄されるリスクが高まります。そこで、出荷量が落ち着いた後の追加製造では、オンデマンド印刷へ切り替えます。データの推移を見極めながら極小ロットで必要な分だけを都度製造し、直接納品先に発送することで、余剰在庫と、それに伴う廃棄リスクの抑制につながります。

つまり運用の要点は、「大量生産でスタートし、需要が落ち着いたら必要量だけを製造する」ことです。

シームレスな製造方法の切り替え

また、オフセット印刷で製造した初回の在庫がなくなったタイミングで、オンデマンド印刷へシームレスに切り替えられる仕組みがあれば、欠品を心配して過剰に追加製造してしまうリスクを抑えられます。


4.最適なアプローチの選択:実績データに基づく販促物管理

では、いつ製造方法を切り替えればよいのでしょうか。
オフセット印刷からオンデマンド印刷へのスマートな切り替えを現場で実践するための最大の鍵は、蓄積された受発注実績データの活用にあります。

属人化した発注から脱却するための受発注データの可視化

欠品を避けたい心理や印刷単価を重視した発注判断、過去の経験則による見込み発注は、結果的に過剰在庫や大量廃棄につながることがあります。この課題を根本から解決するには、「いつ、どの部署が、何を、何部使用したか」という日々の利用・出荷の実績データを管理することが必要です。そして、利用・出荷実績を一元的に蓄積・可視化することで、実績データに基づく需要傾向の把握や、製造部数・製造方法を検討する際の判断材料として活用できます。

データが支えるAI活用

しかし、数多くある販促物の受発注データを一つひとつ分析するには、多くの時間と労力が必要です。そこで近年では、受発注データの管理に加えて、蓄積した受発注実績データは、将来的にAI等を活用した予測・分析を検討する際のデータ基盤として活用することにも注目が集まっています。


5.在庫最適化と環境配慮

販促物を必要量以上に製造した場合、使用されなかった印刷物の製造、保管、輸送、廃棄に伴う資源・エネルギーの使用が発生します。需要に応じて製造量を調整し、余剰在庫を抑えることは、不要となる印刷物の削減につながる可能性があります。近年、ESGやサステナビリティへの関心が高まるなかで、「必要なものを、必要な分だけ作る」という考え方は、販促物運用においても重要なテーマになっています。


6.まとめ「データの可視化から始める在庫最適化」

販促物の管理コストや、余剰在庫の廃棄に伴う環境負荷を抑えるには、印刷単価だけでなく、製造、保管、配送、廃棄までを含めて運用全体を検討することが重要です。そこでポイントになるのは、受発注実績を可視化し、需要に応じてオフセット印刷とオンデマンド印刷を適切なタイミングで切り替えることです。
まずは、自社の販促物データを見える化することから在庫最適化への一歩を始めてみてはいかがでしょうか。


販促物受発注管理システムのご紹介

DNPでは、販促物における制作・注文・在庫管理業務を効率化するサービス、DNP販促物受発注在庫管理システム Connecting One® Cloud(コネクティング・ワン クラウド)を提供しています。
Connecting One Cloudでは、販促物の在庫をリアルタイムに管理するとともに、受発注実績を継続的に蓄積し、在庫推移を可視化できます。これらの情報を活用することで、適正在庫の維持や需要変動に応じた生産計画の検討を支援します。また、将来的にAI等を活用した予測・分析を検討する際のデータ基盤として活用できます。
さらに、販促物の製造方法をオフセット印刷からオンデマンド印刷へシームレスに切り替える運用にも対応しています。これらの機能により、受発注実績に基づく在庫状況の把握と、需要変動に応じた製造計画の検討を支援します。

販促物運用に関するお悩みや課題がございましたら、お気軽にお問い合わせください。



※本コラムに記載のDNP販促物受発注管理システム Connecting One Cloud(コネクティング・ワン クラウド)の機能・仕様は、導入条件や運用設計により異なる場合があります。AIに関しては、将来構想を含み、現時点でAI予測機能の提供を示すものではありません。詳細は下記のリンクよりご確認ください。

Connecting Oneは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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