次世代通信を支える、低損失・高性能銅箔

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔は、高速伝送が求められる電子部品や回路基板に適した極薄銅箔です。ウェットエッチングを応用したDNP独自の加工技術により、表面粗さを細かくコントロール。密着性を確保しつつ信号の減衰を抑え、安定した通信性能と消費電力の最適化を可能にします。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の製品写真と特長を記した示したイラスト。 DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔は、独自のマイクロエッチング技術で低伝送損失と高密着性を両立します。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の特長を示すイラスト。低伝送損失と密着性を両立し、粗さ・厚みを最適制御。高精度厚み均一化と大面積パターニング技術。





目次





銅箔とは

銅箔とは

銅箔とは、銅を原材料として数μm(※)から数百μmの厚さまで薄く加工したシート状の材料で、電子機器や回路基板をはじめとするさまざまな分野で不可欠な役割を担っています。銅は実用金属のなかでも電気伝導性・熱伝導性に優れており、信号ロスの低減や効率的な放熱が求められる電子基板やバッテリー部材などに広く採用されています。
一般に銅箔は、厚さや表面状態、用途などの物理的・化学的特性によって分類されます。用途に応じて数μm単位の極薄タイプから、機械的強度を重視した比較的厚みのあるタイプまで幅広く選択されており、特に近年は高密度実装や軽量化のニーズに対応する超薄型銅箔やフレキシブル銅箔の需要が高まっています。銅箔は極薄であっても柔軟性と加工性に優れ、複雑な形状や曲げ加工が求められる用途にも対応可能です。
また、銅箔の表面には、樹脂材料との密着性やはんだ付け性、電気的特性を向上させるため、用途に応じた表面処理やコーティングが施されます。これにより、多層基板構造や精密電子部品との高い接合信頼性が確保され、電子機器の長期安定動作に貢献します。さらに、銅は100%リサイクル可能な金属資源であり、環境負荷低減や持続可能な製品開発の観点からも注目されています。
銅箔は、プリント基板(PCB)を中心に、電池、センサー、RFIDタグなど幅広い電子デバイスに使用されており、その性能は製造方法や表面処理技術によって大きく左右されます。
 ※µm(マイクロメートル)= 1cmの1/10000



銅箔の種類と製造方法

銅箔は製造方法により電解銅箔と圧延銅箔に大別されます。
これらの銅箔は、用途や要求特性に応じて選定され、さらに後工程での表面処理や加工によって性能が最適化されます。


電解銅箔の製造方法を示したイメージイラスト。

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電解銅箔の製造方法
電解銅箔は、電気的な方法を用いて銅を薄い箔状にした材料です。
このプロセスでは、銅イオンを含む電解液に電流を流すことで、陽極から陰極に銅が析出し、均一な厚さの銅箔が形成されます。
特に高い純度と均一な厚みが求められる用途に適しており、製品の性能向上に寄与します。
一般的に厚み6 ~ 35μmの銅箔を製造することが多いです。



圧延銅箔の製造方法を示したイメージイラスト。

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圧延銅箔の製造方法
圧延銅箔は、銅の塊を高温で加熱し、圧力を加えて薄く延ばした材料です。このプロセスでは、銅をロール状の機械で連続的に圧縮し、所定の厚さに仕上げます。優れた機械的特性を有しているため高い強度や屈曲性が求められる用途で重宝され、小型化や高性能化に寄与します。
物理的な圧力で押しつぶしているため、一般的に、厚み12~300 μmと電解銅箔に比べ厚みのある銅箔を製造する場合が多いです。




高周波用途における銅箔の課題

高周波信号を扱う回路では、銅箔の表面状態が電気特性に大きな影響を与えます。高周波領域では表皮効果により電流が導体表面付近に集中するため、表面粗さが大きいほど伝送損失が増加しやすくなります。一方で、樹脂材料との密着性を確保するには、一定の表面粗さが必要となるため、低伝送損失と高密着性は本来トレードオフの関係にあります。このバランスをいかに最適化するかが、高周波用途における銅箔設計の重要な課題となっています。





DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔とは

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔は、市販の電解銅箔や圧延銅箔をベースに、DNP独自のマイクロエッチング処理を施すことで、厚さや表面形状を精密に制御した高機能銅箔です。銅箔そのものの製造ではなく、後工程の加工技術によって銅箔の性能を引き出す点が特長であり、高周波用途における課題解決を目的として開発しました。


マイクロエッチングによる銅箔の高機能化

当社のマイクロエッチング処理は、独自の設備・プロセスにて実現した高精度な微細加工技術です。この技術により、銅箔表面を微細なレベルで加工し、表面粗さの制御や厚みの制御も可能です。
DNPでは、他社製の銅箔を基材として用い、その特性を活かしながら、用途に応じた最適な表面状態を実現しています。この加工により、プリント回路基板における配線形成性や信頼性および電気特性において飛躍的な改善につながる銅箔提供に寄与できます。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の製造方法を示したイラスト。市販の銅箔に、DNP独自のマイクロエッチング処理を施し、厚さや表面形状を精密に制御します。




高周波用途に適した銅箔設計へのアプローチ

高周波信号を扱う回路では、表皮効果(*)により電流が銅箔表面付近に集中するため、表面粗さが伝送損失に大きく影響します。一方で、樹脂材料との密着性を確保するには、一定の表面粗さが必要となるため、低伝送損失と高密着性は本来トレードオフの関係にあります。DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔は、この相反する要求に着目し、マイクロエッチングによる表面制御というアプローチによって、高周波用途に適した銅箔設計を追求しています。

表皮効果の概念図。高周波交流は導体内部の磁場により電流が表面へ集中し中心部に流れ難くなり、凹凸が大きいほど実効抵抗が増加して電力損失が高まる現象を示すイラスト。

※一般的に、高周波域の交流電流が金属を流れる場合、電流が時間とともに変化するため、導体内部に磁場が発生し、この磁場が導体の内部に流れる電流を妨げ、導体の表面に集中し中心部に流れにくくなります。その結果、電流が流れる距離が増えるため、交流抵抗値によって電力損失が増加します。この現象を表皮効果と呼びます。





DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の特長

特長1.密着性を確保しながら、伝送損失を低減

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の伝送損失特性
DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔は、独自のマイクロエッチング処理により、各種樹脂材料との高い密着性を確保しています。表面形状を最適化することでアンカー効果を発現させるとともに、化学的処理を組み合わせることで、安定した接合信頼性を実現しています。
一方で、表面を粗くすることで課題となりやすい高周波域での電気特性についても、DNP独自の表面制御技術により、伝送損失を抑えた特性を実現しています。
実際に、表面粗さRzを0.6μm、1.2μm、2.0μmと変化させた条件においても、いずれのケースでも伝送損失の増加を抑えた測定結果が得られており、表面粗さと電気特性の両立が可能であることを確認しています。
マイクロエッチングによって形成された表面形状は、一般的な粗化銅箔と比較して、電流経路の無駄な伸長や表層抵抗成分の影響を抑制できる構造となっており、密着性を維持しながら低伝送損失を両立しています。
以下に、DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の表面・断面イメージおよび伝送特性の測定結果を示します。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔と一般的な高粗度銅箔の表面の断面を示すイメージイラスト。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の伝送特性測定グラフ。表面粗さRz0.6~2.0μmでも伝送損失増加を抑制し、粗さと電気特性の両立が確認できます。


密着性と低損失を両立する銅箔設計
銅箔の表面粗さは、樹脂材料との密着性や製品の信頼性を左右する重要な要素です。従来は、密着性を高めるために表面を粗くすると、高周波信号の伝送損失が増加するという課題がありました。
DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔は、マイクロエッチングによる精密な表面制御により、この相反する要求に対応しています。高い密着性を確保しつつ、伝送損失を抑えた特性を実現することで、高速・高周波信号を扱う次世代通信分野や電子デバイスに適した銅箔ソリューションを提供します。
さらに、表面粗さだけでなく厚みの制御や均一性も重要な要素となります。次項では、DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の厚み制御技術について紹介します。





特長2.用途に応じた表面粗さ・厚みの最適制御

表面粗さRz 0.6~2.0μmに対応する制御範囲
銅箔が使用される製品や被着体は用途によって異なるため、求められる密着性や信頼性に応じて、適切な表面粗さと厚みを選定する必要があります。DNPのマイクロエッチング技術では、お客様の要求特性に合わせて、表面粗さと厚みを組み合わせた最適な制御が可能です。
本技術では、銅箔の厚みが表面粗さ(Rz)を上回る範囲において、表面粗さと厚みの両立制御を行っています。具体的には、厚み1.0μm~70μmの銅箔に対し、表面粗さRzを0.6μm~2.0μmの範囲で調整することが可能です。下図のマトリクスは、現在対応可能な表面粗さと銅箔厚みの組み合わせ範囲を示しています。
銅箔の厚みは、一般(9~35μm)、薄型(5~9μm)、極薄(1~5μm)の3グレードに大別され、表に示す対応範囲内で、サブミクロン単位で狙った厚み調整が可能です。なお、35μmを超える厚みについては、主に表面処理の対応となります。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔で対応可能な表面粗さと厚みをまとめた表。厚み1.0~70μmに対し、表面粗さRzを0.6~2.0μmの範囲で調整可能。

さらにDNPでは、その先を見据え、厚み1μm以下の極薄銅箔の開発にも取り組んでいます。
表面粗さと厚みを最適化するだけでなく、設計通りの性能を安定して発揮させるためには、厚みの均一性も重要な要素となります。次項では、DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の「高精度な厚み均一制御技術」についてご紹介します。





特長3.高精度な厚み均一制御技術

DNPの高周波対応マイクロエッチング銅箔は、用途に応じた厚み設計だけでなく、長尺・広幅での高い厚み均一性を実現しています。
幅1200mm・全長1000mの銅箔を厚み3μmで製造した場合でも、ロールのスタート・中間・エンドの各測定点において、厚み分布のばらつきは、工程能力の指標として一般的に用いられるσ(シグマ)換算で約0.1程度、実力値としては平均値±0.2μm程度となっています。この高い厚み安定性は、回路特性のばらつきを抑制するだけでなく、後工程であるパターニング加工時のエッチング均一性や歩留まり向上にも寄与します。
以下に、厚み3μmを狙って製造した際の評価結果の一例を示します。
 ※本データは代表例であり、保証値ではありません。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の厚み制御測定結果を示す表。工程能力はσ換算約0.1、実力値は平均±0.2μmの高精度制御を示している。

このように、銅箔そのものの厚み精度を高いレベルで管理することで、微細パターン形成においても設計通りの加工精度が実現しやすくなります。
次章では、こうした材料特性を活かしたパターニング加工・パターン形成の対応力についてご紹介します。




特長4.大面積・高精度パターニング技術

パターニング加工における対応寸法例
高精度な厚み均一制御により材料ばらつきを抑えたDNPの高周波対応マイクロエッチング銅箔に対し、これまで当社で培ってきたパターニング加工と組み合わせることも可能です。過去には大型ディスプレイ80インチクラスの製品に対応した実績をもち、高い再現性での供給能力を備えています。
具体的には、基材幅1,300mm、絵柄サイズ 最大1300mm幅×1,990mm長の大型サイズ、
ライン幅6μm以上、スペース15μm以上、ピッチ30μm以上、孔径20μm以上の加工に対応しており、設計要件に応じたパターン形成が行えます。なお、対応可能な寸法は、銅箔の厚みや金属種、用途条件によって異なります
これらの加工は、銅箔単体の供給にとどまらず、材料特性を理解した上での加工提案まで一体で対応できる点が特長です。試作検討や設計初期段階での評価用途などについても、ぜひご相談ください。

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔へのパターニング例を示す写真とイラスト。基材幅1,300mm、絵柄サイズは1300mm幅×1,990mm長の対応が可能。








高周波通信機器・基板用途での適用例

DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の活用事例を示すイラスト。 5G基地局や高周波通信機器向けプリント基板に活用できます。

5G基地局や高周波通信機器向け基板
5G基地局や高周波通信機器、RFモジュール用基板では、高周波領域における信号の伝送損失をいかに抑えるかが、性能設計の重要なポイントとなります。特に高速・高周波化が進む通信分野では、配線材料の表面状態が伝送特性や信号整合性に大きく影響します。
DNPの高周波対応マイクロエッチング銅箔は、独自の表面設計により、樹脂材料との高い密着性を確保しながら、低伝送損失を両立しています。これにより、基板全体の伝送特性の安定化や信号劣化の抑制に貢献します。
5Gをはじめとする次世代通信規格や高周波対応設計において、信号品質と実装信頼性の両立が求められる基板用途に最適な材料ソリューションを提供します。




DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の活用事例を示すイラスト。 スマートフォン・ウエアラブルデバイス向けフレキシブルプリント基板(FPC)に活用できます。

スマートフォン・ウェアラブル機器向けフレキシブルプリント基板(FPC)
スマートフォンやスマートウォッチをはじめとするウェアラブルデバイス向けのフレキシブルプリント基板(FPC)には、高周波領域での低伝送損失に加え、小型化・軽量化、高密度実装、繰り返し屈曲に対する耐久性といった、複合的かつ高度な性能要求が求められています。これらを実現する上で、銅箔の薄膜化と表面設計の最適化は不可欠な要素です。
DNPの高周波対応マイクロエッチング銅箔は、精密な厚み制御技術により、設計意図に沿った安定した薄層化を実現。さらに、独自に設計した微細な表面形状によって、被着体との密着性を確保しながら、信号の伝送損失を効果的に抑制します。これにより、屈曲信頼性と電気特性の両立が求められるFPC用途において、高い信頼性と長期耐久性を提供します。用途や屈曲条件に応じて、圧延銅箔・電解銅箔の選択が可能な点も特長です。




DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の活用事例を示すイラスト。 データサーバーに使用されているプリント基板に活用できます。

AIサーバー向け高速・高周波対応基板
AIサーバーでは、生成AIや大規模言語モデルの処理に伴い、高速かつ大容量のデータ伝送が常態化しています。そのため、基板材料には高周波帯域における信号の低伝送損失と、信号波形や位相の安定性が強く求められます。
DNPの高周波対応マイクロエッチング銅箔は、独自に設計した表面形状により、被着体との高い密着性を確保しながら、信号の伝送損失を効果的に低減。これにより、信号波形の乱れや位相ズレを抑制し、安定した高速データ伝送を実現します。
さらに、長時間・高負荷での連続稼働を前提としたAIサーバー用途においても、優れた耐久性と信頼性を発揮。通信品質の向上を通じて、AIサーバーの処理性能とシステム全体の安定稼働に貢献する、基板向け材料ソリューションを提供します。




DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔の活用事例を示すイラスト。 ミリ波レーダーに使用されているプリント基板に活用できます。

ミリ波レーダー向け高周波対応基板
自動運転車における障害物検知、気象レーダー、空港での航空機追跡、さらには5Gなどの通信システムに用いられるミリ波レーダーは、おおよそ30GHz〜300GHzの高周波帯域で動作します。そのため、基板材料には極めて優れた高周波特性に加え、信号の安定性や再現性が強く求められます。
DNPの高周波対応マイクロエッチング銅箔は、独自の表面制御技術により、被着体との高い密着性を確保しながら、伝送損失を効果的に低減。高周波帯域においてもノイズや歪みを抑えた安定した信号伝送を可能にし、レーダーの分解能や検知精度の向上に貢献します。
さらに、高周波特性を最適化することで回路設計の自由度が広がり、レーダーモジュールの小型・軽量化や部品点数の削減にも寄与。先進的な高周波アプリケーションにおいて、高性能と設計柔軟性を両立する基板材料ソリューションを提供します。





ご提案から生産までの流れ

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お問合わせ
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ヒアリング
DNP高周波対応マイクロエッチング銅箔には規格品はなく、すべてがオーダーメイド生産になります。
被着体への密着性を考慮した表面粗さ、銅箔の厚み・サイズなど、お客様のご利用目的にマッチした銅箔をお作りするため、課題や運用イメージについてヒアリングさせていただきます。



ヒアリング内容をもとに、提案している際のイメージイラスト

お見積・ご提案
ヒアリング内容をもとに、ご要望にマッチした仕様をご提示いたします。
仕様についてお客様と協議の上、価格を提示してまいります。



サンプルのイメージイラスト

お客様の要件にあわせた表面粗さ/厚み/サイズで作成したサンプルを作製、ご提供いたします。これらのサンプルでご評価いただき、量産仕様を決定します。
 ※ご要望の際はこちら からご連絡ください。
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契約成立を示すイメージイラスト

初回導入・量産
量産仕様にて初回導入を行い、お客様内で問題ないことをご確認いただいた後、本生産を開始します。量産開始後のアフターケアも含めて、しっかりとサポートさせていただきます。





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サンプルのイメージ写真

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